理解できない 神奈川県庁の世界⑨

霧野 ぬん

第1話 県庁内の障がい者の扱い方とは。

今年もまた、職場での障がい者を集めた集会を開催される。

障がい者のぬんにもお声がかかった。


ぬんは、T気水質課の時の上司のいじめで、手術をしなければいけなくなり、その時から、月に何度か療養休暇を取って通院するようになった。

そして、K光課では、仕事中、凶暴な高森担当課長が60㎝しか離れていないところからのハイヒール投げで、ヒールがぬんの頬に当たり、顔が血まみれになった。

言葉によるパワハラもひどかった。

毎日毎日、言葉の刃でぬんをボロボロに傷つけてきた。

そして、そういう状況の中、耐えに耐えて、仕事をしていたら、心臓の調子がおかしくなった。

精神は自分を慰めながら頑張れたとしても、体は正直だ。

完璧な障害者になった。


ぬんはこの障がい者の集会に数回参加した。

でも、障がい者を集めて、「いい職場とは」みたいなことを話し合いをさせて最後に発表させて終わる。

しかし、そのあとのフォローは何もない。

「そのような会って話をする意味あるのかな。」と思って、開催趣旨を再度見てみたら、総務室が書いていたのは、今まで開催した障害者の会でのアンケートが「またやってほしい。」と言う意見が多かったのでまた今年も開催します、と言うことが書かれていた。


「ふうん、なるほど。そうなんだ。」と思った。

最初、どうして始まったのかわからないけれど、総務室は決して、障がい者の意見を聞くのに良い機会ということでやっているわけではないことが分かった。

障がい者のみんなが、やりたいって言っているから、やりますよって感じ。


グループで話し合う時間は、障がいの種類も全く考えず、みんな一緒こた。

精神障害も肢体不自由も内部障害も。

それに、障がい枠で入った人も、後から障がいになった人も一緒こた。

障がい者はキーワードは一緒かも知れないが、障がいの中身は全く違う。

だから、グループ分けして話し合いをしても、相手の障害がよくわからないので、結構、お互いに気を遣う。

確かに、終わってアンケートを書いても総務室は何のフォローをしないのだから、やることに意義があり、何かに生かそうという気はしていない。

話し合いの場は、愚痴言いつつの障がい者のおしゃべり会と言う感じ。

いつも出席する人は一緒。

障がい者たちが「こういうことをされた、あーいうことをされた」というだけでは、ポジティブな意見はない。

あくまでも、健常者の上司たちに、ひどいことを言われたとか、いじわるをされたとかいう話ばかりで、少なくとも「ともに生きている」感はない。

総務室も障がい者いじめのはけ口の場を作っているだけで、話し合った結果を建設的意見と聞き入れてくれているわけではない。


現に、今年の3月の某新聞によると、K奈川県の人事評価制度は中堅職員の4割が「不満」とアンケートで言っているではないか。

そのあと、神奈川県議会の常任委員会でも、「職員がモチベーションを維持できる評価制度にしてほしい」という意見も出されている。

でも、そういう話の中では、障がい者の存在意義は担保されているのであろうか?

健常者も含めた職員全体のアンケートですら、こういう考えを持っているわけだから、健常者との差別がある障害者においては、神奈川県の人事評価制度、4割どころか7、8割の人が「不満」と思っているだろう。


話は戻って、集会をやって、障がい者のことも考えていますって言うパフォーマンスなのかもしれないけれど、何か差別を感じてしまう。

そういうつもりで、超個人情報である障害者手帳を所属長に見せたわけではない。

現に、仕事の事務分担だって、他の人と同じだけ持っているし、健常者と同じだけ働いている。


津久井やまゆり園事件以来、「ともに生きる」を掲げて、いかにもK奈川県は障がい者とともに生きてる感を出しているけれど、ぬんの小説を読んで、意見を言ってきてくれた方の話だが、「(障がい者を)健常者と同じように昇格させたら、健常者に失礼だろう。」と上司に言われたとのこと。

健常者は人として良くできていて、障がい者は人としてダメな人間なのか。

誰だって、好きで障害があるわけではない。

それは、健常者に生まれたかったし、ぬんだって、周りの上司が良かったら、いやいや、良い人でなくてもいい、普通の人達だったら、ひどい障害者にはならなかっただろう。


福祉子どもみらい局共生推進本部室は「ともに生きる社会かながわ憲章」などを打ち出し、「利用者目線に立った新しい障がい福祉」などを考えているけれど、

K奈川県の組織としての考え方はどうなの?

昇格の差別をしているJ事課はどうなの?

個人の人権を守ってくれているの?

同じ県庁でありながら、考え方が全く違う別の組織なの?


障がい者は昇格させないのが現実。

上司たちはぬんが障害者になったとたん「霧野、おまえはさあ、障害者だから昇格しないよ。」とか「霧野さんは頭打ちだね。」という「障害者ハラスメント」を口に出してあからさまに言う。

この上司たちは、J事課の考え方を知っているから、そういうことを言うのだろう。


「ともに生きる社会かながわ憲章」は、県民に対する障害者に優しい神奈川県と言うイメージアップのパフォーマンスで、現実は「障害がある人は偉くさせない」のがJ事課の職員に対しての考え。

全く理解できないK奈川県庁の現実の姿。

K奈川県の中で、組織によって、ここまで考え方が違うなんて、ぬんには全く理解できない。

でも、ぬん的には、基本、K奈川県職員の考え方は、J事課的考え方なんだと思う。

K奈川県庁と言う組織に「障害者ハラスメント」が無くなることはない。

これも現実。

障がい者だって、健常者並みに働いている人はたくさんいる。

障がい者だから働いていないっていう思い込みで、昇格させないのはおかしいのではないだろうか。

不公平を是正してほしい。

普通に、副主幹にしてください。

お願いします。

人として扱ってください。


そういう事実がある限り、障がい者を集めた集会も開催したというパフォーマンスにしか見えない。

でも、今年も開催されるとのことだから、また行ってみようかな。

所属のどうしようもない下っ端のこともこぼせるし。

いいかも!


今日はこれで終わり。












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理解できない 神奈川県庁の世界⑨ 霧野 ぬん @kiri-nun

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