第4話 人前ではデレデレな幼馴染は、二人きりになると何故かツンデレる。

「ピンポーン」


 5月某日。テレビでアニメを見ていると、インターホンが鳴る。誰が来たのかは大体分かる。

 今日は幼馴染が来るのだ。名前はなぎさ。女の子だ。

 渚が来る時は大体お泊まりであり、今日は一つ屋根の下で一夜を過ごす事になる。だから今日は我慢だ。何をとは言わんが、今日は我慢だ。


「渚様、こちらです。……初太郎様、渚様が来ましたよ?」


 お姉さんがそう言った後、お姉さんの後ろに居る渚がぴょこっと顔を見せる。

 首の真ん中まで伸ばしたショート、中学生にしては出来上がりすぎて居る顔。多分顔面偏差値70位ある。僕と同じくらいの身長の父さんの友達の娘——神崎渚かんざきなぎさ。そんな彼女は、僕にしか見せない一面がある。それは——


「あ、やっぱり渚だった。いらっしゃい」

 

 ソファに座りながら渚の方向を向き手を振る。すると、渚は全速力で向かってきた。


「初太郎〜、来たよぉ〜!」


 渚がこちらに向かいながらハグを求めるのか、両手を広げてきたので全力で——避けた。

 最小限の動きで済ませて——避けた。

 そして君の悪い笑みを浮かべて。


「遅い」


 と、一言。

 

「うぇー? かわいいかわいい幼馴染からのハグを『遅い』ですませるのぉー? ひどぉーい!」


「中学生男子へのスキンシップがハグは厳しいって。中学生男子に危機感待とうって。マジで」


 中学生男子は少し距離が近いだけで堕ちちゃうんだから。ソースは作者。


「だって私初太郎の事好きだし」


 これは本心なのか? いや、があったから本心か。


「そっか」


「初太郎つめたーい! 笑舞さーん、初太郎が冷たいですー!」


 渚が床に転がりジタバタする。すると、お姉さんが台所から顔をだす。


「初太郎様、渚様に優しくするって約束したじゃ無いですか。……初太郎様、聞いてます?」


「はいはい、聞いてますよ。大丈夫、平気だから」


「ならいいですが。……じゃあ私は渚様にお布団をひいて来ますね」


 そう言い、お姉さんがリビングから出る。

 彼女は、僕にしか見せない一面がある。それは、二人きりになるとツンデレるのだ。理由は恥ずかしいから。

 試しに渚をゲームに誘ってみる。


「渚、一緒にマイ◯ラやろ」


 多分、さっきは潔くokしてくれてただろう。だけど——


「無理」


 といい、部屋の外へ出て行った。

 ……僕がMだったらどれだけ幸せだったことか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人前では物静かなお姉さんメイドは、2人きりになると何故かデレる。 無名のサブ @saku4387

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画