第57話 暗闇の襲撃

リディアたちは再び北の森へと向かい、ゴブリン退治と薬草採取のクエストを開始した。森の深い緑に囲まれながら、彼らは慎重に進んでいった。




「ゴブリンの巣はこの先にあるはずよ。警戒して進みましょう」とエレンが地図を確認しながら言った。




 フェンは鼻をひくひくさせながら、「なんか変な臭いがするにゃ。ゴブリンの臭いじゃないにゃ」と警告した。




 リディアは周囲を見渡し、剣を握り締めた。「みんな、準備を。何か来るぞ。」




 その瞬間、5人組の黒っぽい服装をした人物たちが無言で襲いかかってきた。彼らは顔を隠し、素早い動きでリディアたちに攻撃を仕掛けた。




「なんだこの連中!」リディアは剣を振るい、敵の攻撃を受け流しながら反撃した。敵の一人が鋭い刃を振り下ろすのを、リディアは間一髪でかわし、逆に相手の胸元を突いた。エレンは素早く魔法のバリアを展開し、飛んできた矢を防いだ。「エアシールド!」彼女の声とともに、透明な風の壁が周囲を覆った。




 フェンは猫のような素早い動きで敵の背後に回り込み、弓で攻撃を繰り出した。「これでもくらえにゃ!」そのままの勢いで肩口に深い傷を与えた。




 戦闘は激しさを増し、リディアたちは次第に優位に立ち始めた。リディアは敵の動きを見極め、連続で攻撃をかわしながら、隙を見つけては反撃した。「エレン、左側の敵を頼む!」リディアの指示に、エレンは即座に応じた。「了解。アイス・スピア!」氷の槍が形成され、敵の一人を貫いた。




 フェンは敵の隊長と思われる男に狙いを定め、敵の背後から致命的な一撃を繰り出した。




 一人、また一人と敵を倒していく中、最後の一人だけを生かして捕らえた。リディアはその男を地面に押し付け、「お前たちの目的は何だ!」と問い詰めた。男は無言のまま、突然口を大きく開けた。リディアは一瞬の異変に気づき、急いで止めようとしたが間に合わなかった。男は口の中に仕込んでいた毒を飲み込み、自ら命を絶った。




「なんてことだ…。自ら命を絶つとは…」リディアはその場に膝をつき、無力感に打ちひしがれた。「何か手がかりを見つけなければ…」




 エレンはリディアの肩に手を置き、「リディア、まだ希望はあるわ。ギルドに戻って報告しましょう」と優しく言った。




 フェンも頷き、「そうにゃ。これで終わりじゃないにゃ。何か見つけられるはずにゃ」と励ました。




 リディアは深呼吸し、仲間たちに支えられながら立ち上がった。「ありがとう、エレン、フェン。さあ、ギルドへ戻ろう。」








 リディアたちは無事に戦闘を終え、森を後にしてギルドへ戻った。受付嬢に一連の出来事を詳細に報告し、捕らえた男が自ら命を絶ったことも伝えた。受付嬢は驚きつつも迅速に衛兵への報告を行い、リディアたちの証言を基に対応を進めた。




 次の日、リディアたちは衛兵と共に遺体を置いていた場所に向かった。しかし、そこには何も残っていなかった。遺体が跡形もなく消えていたのだ。衛兵たちは一瞬リディアたちを疑ったものの、現場の状況から何らかの外部の介入があったと判断し、リディアたちは罪に問われることはなかった。




 その夜、リディアは宿屋で休んでいた。深夜、静寂を破って微かな音が聞こえた。リディアは目を覚まし、暗闇の中で何者かが近づいてくるのを感じ取った。忍び寄る影は、リディアのベッドに向かっていた。




「誰だ!」リディアは素早く起き上がり、手元の短剣を握り締めた。襲撃者はためらわずに攻撃を仕掛けてきた。リディアは暗闇の中でも鋭い動きで敵の攻撃をかわし、反撃に転じた。襲撃者は素早く、暗闇に慣れた動きでリディアに迫ってきた。リディアは一瞬の隙を突いて、敵の腕を捉え、力強くねじり上げた。襲撃者は苦悶の声を上げながらも、必死に抵抗する。




 激しい格闘が続く中、リディアは敵の動きを読みながら、効果的な攻撃を繰り出した。数回の打撃の後、リディアは襲撃者を床に押し倒し、短剣をその喉元に突きつけた。




「動くな!」リディアは鋭く命じた。襲撃者は苦しげに息をつきながらも、抵抗をやめた。




 エレンはすぐに宿屋の店主を呼び、衛兵にも連絡を取った。店主が駆けつけ、リディアの足元に倒れている襲撃者を見て驚いた表情を浮かべた。「すぐに衛兵を呼んでくる!」




 襲撃者が連れて行かれた後、リディアはエレンとフェンと共に状況を整理した。彼女たちは、獣人の子供たちを助けたことが原因で狙われ始めたのではないかと考えた。リディアは「なぜ俺たちが狙われるのか…」

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