バカなオレ
オレはあやめとの過ごした時間を大切に胸の中へとしまった。
そして…これからは、進学するにあたって勉強一筋になろうと決心したのだ。
なのであやめには、当分一緒に朝も行けなくなるし、帰りも塾に行くからごめんね。と伝えた。
休み時間、たまにあやめを見かける。
でも、その横にはいつもカズマがいた。
「あ、りょうや…」
とあやめがオレを呼ぼうとすると、すかさずカズマが
「あやめちゃーん」
とあやめを引き留めていた。
「あの…待って、りょうや…」
仕方なく対応することにした。
「おっす、お二人さん。何?あやめ?」
「あのね…えと…」
「あやめちゃんは、りょうやくんが元気かって心配してるんだよ」
とカズマが言った。
なんでカズマがこたえるんだよ…
だからオレは、
「元気だよ。じゃあな」
といいその場から立ち去った。
あやめは、幼馴染だ。
そう、幼馴染以外のなにものでもないのだ。
よし‼︎勉強勉強っと。
そして毎日必死で勉強に明け暮れた。
だって…そうすればあの二人のこと考えなくてすむからね。
勉強に没頭していたらいつのまにか世間では、クリスマスというイベントで盛り上がっていた。
クリスマス…か。
よく、あやめと…一緒にクリスマスを…
…
勉強勉強‼︎
それからも勉強に明け暮れてついに試験が行われた。
試験は、精一杯頑張った。
でも、発表までの間…とても不安で仕方なかった。
それに…
…
だから今度はバイトに明け暮れた。
たまにあやめを見かけたけど、あやめは遠くからオレをみているだけだった。
それはオレも同じだった。
あやめとカズマがどうなったのかは、知らない。
でも、オレたちは…幼馴染なんだから…だからそれは幼馴染にとって重大なことではないのだ。
三月…
やっと合格発表だ。
結果は…
見事に合格だった。
…
でも、なんだろう…。
なんとも言えないこの…心にぽっかり穴が空いた感…
…
オレはいつのまにかベッドで寝落ちしていた。
ムックリと起き上がり…
少しボーっとしあたと…
そうだ…コンビニでも行ってジュース買いに行こうと決めた。
コンビニ帰り、ポケットティッシュを配っている人からひとつポケットティッシュをもらってポケットに入れた。
そして…
オレはあやめに似た女性を見かけた。
あぁ、あやめ…元気かな?
「りょうやっ‼︎」
⁉︎
あやめに似た人かと思ったら、本物のあやめだった。
「あやめ?」
「りょうや、おめでとう…」
あやめは、ポロポロと涙を流した。
てか、まだあやめに合格したとか伝えてないんだけどな…。
きっと親同士も仲良いから情報源は、そこからなのだろう。
「なんであやめがそんなに泣くんだよ?」
「だって…だって…」
…
「ありがとう。あやめ」
さっきもらったティッシュをあやめに渡した。
するとあやめもバックからなにやら出してきた。
「はい‼︎これ……受け取ってもらえる…かな…。」
と、恐る恐る出してきた箱にはハッピーバレンタインとかいてあった。
あぁ、すっかり忘れてたけど…そんなイベントもあったっけな。
「ありがとう。毎年もらってたのに…今年は色々ありすぎて忘れてたわ。」
とあやめからのチョコを受け取った。
「わたしも?わたしも忘れてた?」
なんて必死にいうあやめをみてオレはなんだか…なんだか無性にあやめを抱きしめたくなっていた。
というか…
抱きしめていた。
「忘れるわけないだろ…むしろ忘れられなくて大変だったんだぞ」
「え…?」
「オレ…ずっとあやめと幼馴染でいたかったけど…それもうやめるわ」
抱きしめられていたあやめがガバッとオレから離れてオレをじっとみて泣きながら言った。
「また離れちゃうの?わたし…イヤだよ」
と、オレから離れたかと思ったらまたオレにしがみついてきた。
「あやめ…。ずっと寂しいおもいさせてごめん。こんなオレでも許してくれるの?」
そっとあやめの顔を覗き込むとあやめは、
「もちろん。そもそも許すとか、何?わたし怒ってないよ?」
と笑った。
「フッ、あやめは泣いたり笑ったり忙しいんだな。あやめ…大好きだよ。」
「うん。わたしもりょうやが大好き」
オレたちは、抱き合いキスをした。
…オレはあやめを泣かせるくらい寂しいおもいをさせていたことを深く反省した。
あやめは、カズマとお似合いとか勝手に決め込んで…そして勝手に目を伏せて…
情け無いったらありゃしない。
「あやめ、オレさ…オレ、ずっとあやめが大好きで…あやめがオレに笑顔を向けてくれればくれるほどしんどくてね…好きすぎてつらかった。でもさ、好きって認めたら終わりな気がして…だから幼馴染って言ってずっと意地張ってた。ごめん…」
と謝った。
そしたらあやめは、
「ううん、わたしもほんとはずっと好きだったよ。でも…りょうやは、わたしのこと幼馴染としかみてないんだって思ってたから…だから…今ね、すっごく嬉しい!」
と笑った。
「あやめ…ほんっとオレ…バカだったわ」
あやめを抱きしめならがら心から、あやめがまだここにいてくれてよかったと思った。
「好き。りょうや、大好き」
「うん。オレもあやめが大好きだよ。」
オレたちは、長いことずっと一緒にいたけど…やっと結ばれた。
「あやめ、オレ…もっとあやめと一緒にいたい。オレの部屋来ない?」
「うん。行く。」
仲良く手を繋いで歩くのがこんなにも心くすぐったいとは、思わなかったな…。
でも、これは一生の思い出なのかもしれない。
こうしてオレたちは、しばらく離れていた日々を埋めるかのように、オレの部屋で何度も抱き合ってキスをしたのでありました。
「もう絶対に離さないからね。」
「うん、そうして♡」
チュ〜♡
おしまい♡
幼馴染は、ずっと幼馴染なんよね?……ごめんな… 猫の集会 @2066-
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます