英雄の集い

 ヒュリグス王国 省部会議

議長ニシュタル「永続の賢者フォーレン、黒鉄くろがねの剣士マサムネ、神秘の魔女メア、泉下の使者メギア、叡聖の勇者メルス、以上の五名が揃ったためこれより省部会議を始めます。」


フォーレン「で、急に私達五人を集めて何を話し合うつもりじゃ」


議長「お前たちも知っていると思うが先週クルス様が北側諸国の支援という名目で護衛38名を連れて旅だった。そして昨日にある映像が送られた。それを見てくれ。」



映像鑑賞中


メア「うわぁ、ジャイアントオークが出てくるのは王子も運が無いね~。見た目がオークっぽいから初めて見たとき巨大化したオークの亜種だって勘違いして名付けられたみたいだけど、実際はオークとは名ばかりの邪鬼の特殊進化だからね~」


フォーレン「クルスの奴め、修行が足りておらんな。この程度の鬼もどき魔法でちゃちゃっと片づけられるであろう?」


マサムネ「それはあなたの魔法が規格外なだけじゃ、ッて何だこいつ!いきなり出てきていきなり魔物を切り殺したぞ。護衛か?」


議長「最後まで映像を見ていただければ分かります。」



映像鑑賞後


メア「いやぁ~途中で出てきたギルって子すごかったね。強制的に通信の魔力回路を切っちゃうなんて。相当な技術が要るよあれやるには」


マサムネ「しかも...」


メルス「ああ、名前にエリカールが入っていた。」






国家舞踏館本館火災事件


それは五人の英雄が忘れることの無き忘れることのできない戦い。

 

 その日は暑さに酔うような晴天で、王族と貴族とその家族32名、使用人39人、舞踏会主催者側52名の合計123名でその舞踏会は行われた。

 王族を含め32名も貴族がいるとなると警備は厳重にしなければいけないので一般兵27名当時英雄ではなかった勇者と五人の英雄で護衛をしていた。この警備の中で何かする事などできないだろうと勇者と英雄達も油断していたのだ。

 誰も気づかぬ内に死は会場にいる貴族達をゆっくり覆い込んでいた。

 ボツリヌス菌。それは帝国の極秘研究機関の研究対象の一つで次の戦争では兵器としての運用も考えられていた物質。ボツリヌス菌によって生み出されたボツリヌス毒素を成分とした生物剤はパーティーが中盤に差し掛かった時に散布された。


 その後パーティーから帰った貴族たちは次々と全身の違和感や筋力の低下、めまい、頭痛、視力の低下、物が二重に見える等の症状を訴える。そして、その後100名近くの人が呼吸困難で死亡した。その中には貴族が25名と第二王子と王妃も含まれていた。国王は悲しみに暮れた後に舞踏会の二日後に四人の英雄と勇者を呼び出し「お前たちは何をしていたのだ!何故大勢の者があの後死んだのだ!五人の英雄と勇者、お前達六人の全力を以て必ず原因を突き止めるのだ!」

 だが国王はここである事に気づく。

 「英雄が一人足りないぞ。ガインはどうしたのだ。」

しばしの沈黙と重苦しい空気が空間を覆う。


フォーレン「ガインは、昨日自宅で呼吸困難を訴え死にました。」

その場にいた者はだれもが信じられないという表情をしていた。


英雄が病に侵され死んだという事実は瞬く間に王国中に広がり、やがて他国にも広がった。


 その後一か月に渡って主にメアの記憶再現によってこの事件について調査していくとある一人の男にたどり着いた。


事件47日後

その男、ルザック・カーメルンは再び暗殺の依頼で王国に来ていた。

メルス「お前がルザック・エリカールで間違いないか?」

ルザック「..いえ、人違いだと思いますよ。私の名前はカイルです。」

 ルザック自身は英雄と言われるカーメルンがいきなり現れたので多少慌ててしまって聞かれてない名前まで答えて少し不自然だったかもしれないと後悔していた。

メルス「無駄だ。お前の魔力の量、形、流れは記録してある。それら全てがお前と一致している。」


 こうして伝説の殺人鬼対英雄と勇者の戦いの幕が下りた。


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果ての島への物語 @sagasiya

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