第13話 闇魔法適性のカイ
「これは……」
今自分の目の前にあるこの黒紫色のドロッとした見た目の球体は見た所、見ようによってはボウリングで使うボールのそれに見えなくもない。
もしこれに穴が数カ所空いていれば、ほぼボールそのものだな。
「えっと……ライン。これってどの属性の魔法なのか、分かる?」
「……えっとだな。ぶっちゃけこういったのはあんまり見たことないから、断言は出来ないんだが……」
「いや、それでも構わない。教えてくれ」
「分かったよ……いいか? まず今カイが生成したその黒紫色の球体は少なくともカイの適正属性の魔法によって生み出された魔法エネルギーの塊だ。」
「ああ。そこまではいいぞ」
ここでちょっとだけ俺個人の推測に入るが、おそらくさっきラインがポロっと言った『適正属性』ってのは言葉通りに解釈すると自分が一番使える魔法属性だと予想できる。
それでいて最初はラインから氷属性の魔法詠唱を教わった。これはつまり、俺ではなく、アレンに相性が良い属性が氷だから、俺が出ている時は精神だけじゃなく属性の適正も変わるのが分かった。
「そこでここからは俺の推測……というよりはほぼ確信めいたことを言うんだが、多分カイ。お前の属性は『闇』なんじゃないか?」
「闇属性?」
「ああ。そもそもこの学校だと闇魔法を使うやつなんてそもそもこの学校だと見たことがないからな。おそらくそう見て間違いないだろうな……」
「そうか……ところで闇魔法の特徴ってなんかあるるのか?」
「特徴か……先生に一度興味本位で聞いたことあったかな。確か、基本的に闇属性の魔法は一貫して全てにおいて重力が他の魔法に比べて一段と強いらしい……」
「重力が……」
そう言われて足元のそれを確認してみると、まさにそれがどれだけ重さを持っているのか分かるようにその球体の周りは地面は割れ、土が全体がむき出しになっていた。
「ちょっと持ってみたらどうだ?」
「あ、あぁ……ふん!」
そう言われてその球体の下に手を添えて、そのまま一気に力を込めて持ち上げてみる。
「……だめだ。全然びくともしないや」
持ち上げてみるも、この球体自体がかなり重力がかかっているからか、一ミリたりとも上げられなかった。あるいは
「本当か? どれちょっと俺が持ってみるよ……ふんっ!」
そう言われて今度は俺ではなく、ラインが持ち上げてみることに。少なくとも俺よりも幾分か体格的には大きくガタイも良い。多分ラインだったら持ち上げることぐらいは可能なはず……
「よいしょ……出来たわ」
「は? マジで?」
「ああ、本当だ。ほら」
そう言いながらラインは俺にはとても持ち上げることすらかなわなかった、闇属性の球体を難なく持ち上げている。やっぱりこいつ、完全に脳筋系魔法士だな……いや、この感じなら、魔法戦士にでもなれそうだな……
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