第58話

 身体に纏った瘴気を消された2体のブラッドスケルトンは全身の真っ赤な骨格から煙を上げながらも攻撃を仕掛けて来る。


 古ぼけているが錆び付いていない長剣を振るうブラッドスケルトンたちの攻撃を躱していく。


 振るわれる速度は速いが剣術の技術はそこまでないのか、ブラッドスケルトンの振るう長剣に感じる危険性は速度以外にはない。


 生前も力任せに長剣を振り回していただけなのかは分からないが、今のところは俺も回避を優先していれば回避可能な攻撃しかされていない。


 「こんな感じか。」


 ブラッドスケルトンの振るう長剣のタイミングや身体の動かし方を観察し終えた俺は魔力銃を回避と同時に銃口を頭蓋骨に向けて引き金を引く。


 放たれた聖気の弾丸がブラッドスケルトンの真っ赤な頭蓋骨を貫くが、ブラッドスケルトンがギリギリのところで頭部を傾けたせいで頭蓋骨の一部を破壊するだけに止まった。


 浄化されてカチカチと歯を鳴らしながら苦しむブラッドスケルトンにトドメを刺す前にもう1体のブラッドスケルトンからの攻撃を回避する。


 「チッ、まずはお前からだ!!」


 前に出てブラッドスケルトンとの距離を詰める俺に対して、ブラッドスケルトンはやはり長剣を力任せに振るう。


 ギリギリまで引き付けながらも俺は更に前に出てブラッドスケルトンとの距離を詰めながらも、俺は体勢をしゃがむ様にしながらブラッドスケルトンの頭部を狙って顎に向けて銃口を向ける。


 ブラッドスケルトンが何かをするその前に引き金を2度引き、銃口から2発の聖気の弾丸がブラッドスケルトンの顎下から頭蓋骨の中に入り込んでいく。


 頭蓋骨に入り込んだ聖気の弾丸が炸裂すると、ブラッドスケルトンの頭蓋骨は浄化されて消滅する。


 これで残りは頭蓋骨の一部が破壊されたブラッドスケルトンだけになり、俺はもう1体のブラッドスケルトンを確認すると、そこには瘴気を纏い直して頭蓋骨を瘴気に寄って直し終わったブラッドスケルトンの姿があった。


 俺がさっきのブラッドスケルトンを倒している間に瘴気を使って直したのだろう。


 それに折角の聖気ブレスで消滅させた瘴気が再び纏っている事から、俺が倒したブラッドスケルトンもいつ瘴気を纏い直していても可笑しくなかったはずだ。


 瘴気を纏い直すその前にブラッドスケルトンを倒せたのは良かった。


 これで瘴気を纏い直したブラッドスケルトンを2体同時に相手にするのは厄介だっただろうから。


 現に瘴気を纏い直したブラッドスケルトンの身体能力は上昇しているのか、先ほどから回避がギリギリになってしまっている。


 これで剣術の技量まであったとしたら、今頃俺は切り捨てられているに違いない。


 それほどまでに今のブラッドスケルトンの身体能力は瘴気に寄って強化されてしまっている。


 それでもギリギリで回避することが出来ている程度なのは、瘴気を纏い直す前の動きの観察のお陰だろう。


 身体能力が上がってブラッドスケルトンの振るう長剣の速度や移動速度が上昇したくらいだったお陰でもう慣れた。


 瘴気を纏う長剣を横に飛び跳ねて回避しながら銃口を向けた魔力銃から放たれた聖気の弾丸がブラッドスケルトンの頭蓋骨を貫いていく。


 3発放たれた聖気の弾丸はブラッドスケルトンの頭部に命中し、ブラッドスケルトンはガラガラと音を立てながら地面に崩れ落ちる。


 「瘴気を過信し過ぎだな。」


 ブラッドスケルトンは瘴気を纏い始めてから明らかにこちらの攻撃に対して警戒をしなくなっていた。


 防御は瘴気任せにしたのだろうと予測したが、その予測が当たっていて良かったと思いながら、俺は先ほど倒したばかりのブラッドスケルトンの骨の回収と倒してドロップアイテムに変わったブラッドスケルトンのドロップアイテムを回収してから鉄柵の門を開いてスラム街にある屋敷の中に入って行くのだった。

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