エピローグ 二人の少女

 天もない地もない、光で満たされた静寂な世界で、美しい真紅の光体が、優しく温かく瞬いている。


 繰り返し繰り返し瞬くそれは、星々と比肩しうる圧倒的な存在感を放ち、またワタツミのような絶対的な恩威も内包していた。


 真紅の光体は強い光を発すると、陽炎のような揺らめきを立ち上らせる。


 揺らめきの中には、二人の少女たちが浮かび上がった。


 どこか幼気なその少女たちは、列車の後部座席で、深い眠りについている。


 少女たちの深い眠りに反して、列車は目覚まし時計のような、けたたましい警笛を鳴らした。


 それにより、少女たちはゆっくりと目を覚ます。


 同時に、真紅の光体が金色の光を発した。


 光の世界の何もかもを包み込む、その眩しい光は、まるで、真紅の光体の微笑みのようであった。

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死神は世界の果てでアイをうたう 木子 すもも @kigosumomo

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