第4話「新たな魔法習得」
俺は入学式の後のことだ。放課後になったので、俺としては自主訓練に励もうと言う動きを見せた。そこで俺以外にも今日のうちでお喋りをして楽しんでいた三人も付いて来たのである。そこで魔法を極めることに励もうと、そんな課題を持って行動に移した。
「まず俺は全身の重力を奪って浮遊に慣れたいと思う。これを扱うには宙に浮いていてもバランスを崩さないで動けることが大事だとお父さんは言ってた」
「凄いなぁ〜。そんなことまで出来ちゃうなんてさすがに透一くんは才能があるよ」
「俺だって負けないぜ? 俺の掌から出た鎖を操って縛ったところを鋼鉄化した拳で殴るのを鍛えるぜ!」
「私は早く筋肉増強の幅を広げたい。それで通り魔が使っていたとされるまでの効能を発揮して、透一くんに追いつくんだ!」
「私は氷結する速度を底上げしたいわね? 凍らせる速度が上がればいち早く戦闘不能に追い込めるし、さらに【ボルトハンド】の電力を強化して触れた際に流れる威力が強くなれば、一撃で仕留めることができるもの」
そうやってそれぞれのやりたいことは決まった。そこで各々の課題はできたのだから、それらを強化させることを今はするべきなのだ。
(まず全身の重力を奪って浮遊する技から極めて行こう。この技は宙に浮いた状態で動きを加えるのが特徴だ。そこから対象者の頭上に回って一気に重力を付加させることで、相手に強力な一撃を食らわせる。多分これを受けたら即死は魔逃れないと思うので、あまり好まないがそれでもやむを得ない時は使って見るのも良いだろう)
俺が考案した技は名付けて【フォールキック】だ。落下しながら蹴り下ろすと言う意味でそう名付けた。それが完全に習得することが出来れば大きな戦力になると思う。
そんな感じで俺は計画を立てると、早速全身の重力を奪ったら、慣れない宙での態勢を整えるのだった。そして宙に浮くことに馴染むと、そこから移動する練習を施す。宙に浮いたまま移動して行くのは中々難しくて気を抜くとバランスを崩しそうだった。しかし、バランを保ったまま動くことに慣れ始め、俺は開始してからすぐにマスター出来る。
「よし! 後は重力を付加させることで落下させて見よう!」
そして自在に宙を移動して、狙いどころを決めると、そこに向かって落下する。
「はぁっ!」
どーん!
勢い良く落下して、重力が付加させられたのをきっかけに地面がめり込むのであった。
「凄い威力だ。しかし、足にダメージが来るな? 何とかしないと折れる可能性がある」
それを考慮した上で二度目を行う前にその対策を考えた。結果としては硬化すればもしかしたら問題ないのではないかと考える。それなら剛也の使っていた【鋼鉄化】の魔法を習得すれば足の補強にもなるし、さらに威力も底上げ出来ると、そんな工夫を思い付いたのであった。
「なぁ、剛也! 実は教えて欲しい魔法があるんだけど?」
「んぅ? 何だいきなり? 俺に教えて欲しい魔法ってなんだ?」
「それは【鋼鉄化】だよ。さっき考案した技にぴったりな魔法なんだ。聞いてくれ?」
それだけ伝えると、俺はそこで考案した技について話したら、それに彼は納得してくれた。そして【鋼鉄化】と言う魔法をおしえてくれるそうである。
「まず全身じゃなくて一部に【鋼鉄化】を施して見よう。この習得は極めて困難とも言えるほどのことでもない。だから、きっと透一も習得に時間は掛からないと思うぜ?」
「なるほど。分かったよ。それじゃあ早速お願い?」
「オーケー。それじゃあ俺の習得方法を教える。まず腕を【鋼鉄化】させることにする。腕に魔力を集中させてみろ。すると、そこで硬くなって行くように意識して、魔力に変化をもたらせるんだ。大体は魔法の習得ってそんなもんだろ?」
俺は言われた通りにそうやって見ると、腕が硬化して行くのが分かる。しかし、まだ多少しか出来ていないのは見たまんまだ。これをしばらくやっていると、疲れが見えて来るのであった。
「くっ! さすがに疲労が見えて来るな?」
「それはきっと無駄があるからだよ。最初は俺もそんな感じだった。しかし、徐々にどこが無駄なのか分かって来るから、それに従うと良いと思うぜ?」
剛也の言っていることは大体分かっているつもりだ。それは魔法の習得に付きものとされるほど稀な現象ではない。それほどよく見られることだったのだ。
そして【鋼鉄化】の習得に入って数時間が経った。俺はそろそろ魔力に限界が見えて来て、これ以上は続けることは出来ないと判断する。
「大分近付いてたけど、まだまだ始まったばかりだね? 俺の愛用してる魔法が君の技に適応しているなら応援するよ。だから、その調子で続けてみな?」
「分かった。そうするよ」
俺はしばらく疲れ切った体を休ませるために自分の部屋に行った。そこでベッドに寝転がって一休みする。疲れが溜まっているせいか、眠るのにそれほど時間は掛からなかった。それぐらい疲れていたのだと思うのが自然だろう。
そして俺がぐっすり眠っていると、そこで剛也が俺の部屋に訪れ、風呂に入らないか誘って来た。風呂は男女別になっており、安心して入ることが出来るのである。
「ふぅぅぅ〜! 気持ちが良いな?」
「最大四人まで浸かれるほど広いなんて、これだから寮生活は好ましいんですよね?」
「そうだな?」
誰か知らない奴が言ったことに納得していると、そこでそんな彼からこの場で自己紹介があった。
「僕の名前は未影分斗。【分身】と【影術】を得意とする魔導士です。およそ四人から五人ほどに分散できて、それに影で形成した斧を振り回すのが僕としてはあります。中々手強いですよ?」
「ふーん? 俺は夏条透一。【重力操作】の魔法が得意だ。自身が対象物に重要を付加または奪うことが出来る。色々と応用が利く魔法なんだ」
「それ知ってますよ! 確か実技試験で高速移動によってもの凄い速さで周囲を圧倒した魔導士ですよね? さすがにあれは凄かったです!」
「ありがとう。そう言ってくれるとなんだか照れるな?」
「はい!」
そこで俺は分斗と仲良くなった。
そして風呂から上がると、寮内にある自販機でコーヒー牛乳を購入して飲んだ。やはり風呂上がりはこの一杯に限ると思わせられてしまうのであった。
それにしても一学年の総人数は大体四十八人とされている。二クラスしかない中で、俺らはここでの関係性としては、やはりまだ完全じゃないところがあった。しかし、一部の人間に関しては、良好な関係が築けているのではないかと思われる。なので、俺もそのうち仲良くなれる日が来ると嬉しいって思う気持ちでいっぱいである。
そして夕食を済ませてから、俺らは今日を終えようとしているのだった。明日になればまた学校があるが、まだ本格的な授業は行われないだろう。だが、俺としては放課後に行う予定でいる魔法の習得がしたいと思う気持ちの方が強かった。
それから次の日。俺は朝早くから起床すると、一階に降りてから自販機でジュースを買って飲んだ。
「はぁ〜。何だか疲れも取れたし、絶好調だな?」
魔力も大分回復を見せて来たと思うから、俺としてはまた魔法の習得に励もうと決意する。そこで俺はパワーアップするのだ。
そしてもう一眠りすると、丁度起床時刻になって放送が掛かった。それに従って俺は起きると、朝食を取るために食堂に行く。
「あ、おはよう! 昨日はよく眠れた?」
「あぁ。もちろんだ。魔力も大分回復したから、また新たな魔法習得に挑戦できる」
「へぇ? それじゃあ今日も放課後にでも訓練しようね!」
「おう!」
俺は朝っぱらから稲音にそんな一言を受け取った。俺としてはその言葉が励みになってくれる気がするので、かなりやる気が出て来るのである。それに稲音自身も気合いが入っていて、積極的に取り組もうとする意識が見られるのであった。その態度に対して俺は負けてられないと思い、彼女以上の気合を入れて放課後の訓練に取り掛かろうとするのだ。
それから登校する時刻となった頃。俺らはいつものメンバーで一緒に教室に向かった。そこまで向かう途中の間はお喋りをしながらがとても無駄が省けると思って、何かしら話題を上げた上で教室を目指す。そこで出た話題としては、昨日の訓練で起きた出来事などが主に話し合う内容となった。
「へぇ? 透一くんは【鋼鉄化】を習得したいんだ? それも新技を完成させるためだもんね? それって凄いよ!」
まずは俺から新技の内容について話すと、それに稲音が一番良い食い付きを見せる。彼女の反応はとても深く、俺としてはかなり照れ臭い気持ちを抱かされるのであった。
「その新技が完成したら相当強いよな? 一撃で仕留められそうじゃん!」
「あぁ。そのための技だからな。【鋼鉄化】を施すことで、足の補強と威力の底上げに繋がると考えた時には、かなり期待できる技になってた」
「なるほど。それ以前に浮遊なんてされると、私の魔法が不利になるわね? 私が放つ氷結は地面に触れていないとまず効果を発揮しないわ。そこでどうやって浮遊を攻略するかが私たちの課題になるかも知れないわね?」
「確かに。空中にいる透一くんを相手にどう攻撃を仕掛けるかが私たちにとって難題になるね?」
そこで挙げられた話によると、宙に逃げてしまえば、剛也などの攻撃は届かないと言った意見が出た。しかし、そこで唯一攻略可能な奴と言えば、剛也だったのである。
「だったら俺の【鉄鎖】で縛ってこちら側に寄せればバランスも崩れて良いかも知れないな!」
「それは厄介だな。確かに宙に浮いた状態だと、その分だけ踏ん張りどころがないと思った方が良い。俺の課題にもなるな」
「だろ? これで一歩リードだ!」
そこで剛也が良い気になっているが、それはそうでもない気がする。だったら剛也相手の時だけ真正面から向かって行けば、大抵は攻略できるのではないかと思われるところがあった。それをここで剛也に伝えると、彼はがっくしお肩の力を落として、かなり落ち込んでいたのである。
「畜生ぉ。透一が無敵に見えて来たぜ。透一に敵う奴なんているのか?」
「それだったら私が【筋肉増強】を極めることが出来れば、透一くんにも及ぶんじゃないかな? 通り魔の時もそれで透一くんの高速移動に追い付いたなら、それに徹しない手はないよね!」
「それもそうだな。それはかなり俺としても警戒しなくちゃいけないところだ」
「じゃあ私頑張る! それで透一くんを超えて見せるよ!」
そんな風に稲音は言うが、俺だって【筋肉増強】の魔法に対抗できる策を考えているところだった。そこに攻略法があれば、その分だけ俺が優位に立てるはずだと、そう考えるのが普通だろう。だから、俺は近いうちに本気を出した通り魔を倒せる戦術を見出したいと思った。そうすれば俺に怖いものなんてないのだから、それだけでかなり頼もしくなるに違いないだろう。
そんなことを考えながらも、俺は教室にたどり着くのだった。そこに着いた時には、レディウェザー先生が迎えてくれて、元気よく挨拶を交わしたのである。
こうして俺は二日目の登校を無事に済ませた。今日のうちに行う授業は何ぢろうと気になるところだが、それはこの後で分かる訳だから、その時まで待つことにする。
史上最強を目指す青年は魔導ヶ嶺で成り上がる シャチマくん @mukuromukuromukuro
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