しっぽ21本目 新しい仲間、新しい誓い。だけど……。
みんなで帰って来た。公園の時計の針は、朝の六時四十分を指している。
わたしたちは元の姿に。
マアミの妖力で、
なんだか長い旅をしてきたみたい。
「マアミ。君はこれからどうするのかな」
「ワタシ、山に帰る。
ええ、そんな。せっかく打ち解けたのに。
「わたしはさみしい。そのまま学校に通えるでしょ? もっと仲良くしたい」
「
そんなこと言ったっておばあちゃん。
「ぼくに提案があるんだけど、いい?
「……いいの?
「かまわないよ。ぼくの家族も歓迎してくれるさ」
マアミが笑った。それは
良かった! これでもっと仲良くできる! うれしい。
「
「いえそんな、どんでもありません」
おばあちゃんも慌てて頭を下げていた。
「
「イヤですわ
ペちっ
おばあちゃんたら。照れて
「痛いですのおばあちゃま。ひどい」
「
「「はい」」
より良い未来。それは……。
「いいね。
「はい」
あら、次にペルソナを継ぐのはパパのはずじゃ。わたしも「はい」って言ったけど、いいのかな。
「マアミ。願いとは未来へ向かうためにある。死をくつがえすことはペルソナはしない。これからを生きてほしい。
マアミは黙ってうなずいた。大丈夫。わたしも応援する。
「あの、これ」
「……そうか
「
「えっ、ちょっっ!
あれ。マアミがほほを赤くした。なんか
ペルソナから光があふれて消えた。
「どうぞ」
「お母さん?
チョーカーを抱きしめて、笑顔で泣いてる。応えるようにそれは輝いた。
「せ、
おめでたいのに、
「あの、ぼくは何かまずいことを言いました?」
「別に変なことは言ってないと思いますけど……?」
わたしも聞いてみた。マアミは
「ゆ、
今度はすねちゃった。どうして?
「冗談だよ。ハハ……はぁ。もう行かねば。このままでいるのは無理だからね」
ああ、もう帰っちゃう。もっとお話しがしたかった…でもそのため息は?
「
「ワタクシは……。離れたくありませんわ。
「そうか。君は私と一心同体だ。これからもよろしく」
「うれしいお言葉。誠心誠意、お仕えいたしますわ」
しっぽがすごい。ブンブン音が鳴ってる。そうか。
「
「
「
「ありがとう。
みんな、思い思いの言葉でさよならを言った。わたしはもう一度、言いたい。
願いじゃなく、誓いを。
「わたし、必ず叶えます! さよなら、
「ああ、
ペルソナがぼんやり光って消えて、それから
青空が広がっている。結界が解けて、元のとても平和な公園に戻った。
(
そう、告白するだけ。でも、
(ねえ
(できますが……? まさか、あきらめてしまったんですの!?)
そうじゃなくて。わたしは、わたしの勇気でこれから生きていきたい。だから、
(誰にも、何にも頼らずに自分から
(後悔はしません? ダメだったとしても
(失敗を受け入れるのも、勇気よ)
(ンまっ! とってもご立派ですわ。ずいぶんと大きく出られましたわね)
言い方! 日本語、変! 大きく成長したと言って。
(喜んで解いてさしあげますわ)
とか言いながら、さみしそう。実はわたしもだけど。
(これで願いは解かれましたわ。
えっもう? この場で終わるなんて。特に変わった様子は無くて拍子抜けした。
これからは、わたしの勇気に挑戦よ。
この
◇ ◇ ◇ ◇
わが
「今夜はお祝いよ。いっぱいご馳走作るからね。
そして夜。新ためて
そしてみんなんでたくさんお話をした。
明日もいっぱい笑いあいたい。
だけど。
〝約束〟を果たして願いが解かれた今、
でもわたしが決めたこと。
──やがて。楽しい幸せな時間が終わって
縁側で、
「ねえ
本当は……。
もっとお話しがしたい。そばにいてほしい。
わたしの恋を見とどけてほしい!
「ワタクシは、ペルソナと共にある身ですわ。願いがある時だけこの世界に現れる者」
「いけないわー。歳を取るとー、すぐ疲れちゃうわー……。おやすみ」
おばあちゃんの目に涙が光ってた。気を使ってくれて、二人にしてくれてありがとう。
「わたしがお願いしたら、〝約束〟したら。いつまでもここにいられるよね?」
「それは…………」
分かってる。わたしは分かってる! こんなのお願いでもなんでもない。
無理だって、ただのわがままだってことくらい!
「
「うん……うん!」
たまらず彼女をギューってした。
「苦しいですわ。ワタクシもギューっ」
「わたしはもっと、もっとギューっ!」
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