しっぽ20本目 憎しみも悔しさも無い、〝約束〟に一番近いところ。
(みんな。これから起こることに耐えてください。ペルソナの九尾の霊力を弱めます。それで痛みや苦しさはあるかもしれません。でも、
全員がうなずくのを確かめてから、霊力を弱めた。
爪の一撃が伝わる。ペルソナの左ほほに、傷がついた。攻撃は止まらない。
ついに胸に強い衝撃と激しい痛み。みんなの苦痛が分かる。
それでも待った。しっかりと立って、彼女のほんの隙を、狙う。
ドンッ!!
今までとは違う黒い雷撃が。痛い! 黒い太い電流がしつこく体をはい回る! しびれが取れない。彼女の渾身の攻撃に思わず膝をついてしまって。耐えてみんな!
顔を上げて
彼女が笑った。『勝った』。そんな目だ。来た! わたしは右手を、素早くのばす。
チョーカーをつかんで、引きちぎった!
「ごめんなさい。
ミシッ ビシッ! チョーカーにヒビ。
「お母さん!!」
今しかない。左手の
「
もっと大きく、力強く込める!!
「誰も!! 不幸にはさせない!!!!」
まばゆくて優しい光が
◇ ◇ ◇ ◇
ここは。白い、まっさら。二人だけを小さなペルソナに送ったはずだけど。
「なんと、本当に
「ここが、ぼくのペルソナ……」
「あら、なんて静かな。暖かいですわ」
人影が浮き上がってきた。ひとり、ふたり、三人? 四人も? それに四つ足の影。
「
あれ? おばあちゃん。
「
おばあちゃん何を言って。あ。わたし、元に戻ってる。知らない人もいる。
長い白髪を一つにまとめて後ろで結んだ男の人。背が高くて、すっきりとした顔立ち。
借表君に似ているような。手に、
「
「
初めて見る
「あら? あれ? 無いですわ」
肉球でペタペタと自分の顔を触りだした。思わず彼女の顔に手をのばすと、暖かい感触。魂なはずなのに、
「
そうだ。
「
人になった
二人はじっと見つめ合ったまま。
「
──どのくらい時間が過ぎたんだろう。風。暖かい風がほほを撫でる。
風が、
二人は、抱きしめ合った。お互いを慈しむように。
やがて、
そしてチョーカーが現れて。でもそれも
羽みたいに花びらみたいに、静かに降り注いだ。
わたしには、
「ねえ、
「それはないよ。
そうだよね。二人はこれからも一緒に生きていくって思いたい。
「お母さん……
「
たまらず彼女の元へ走った。そして抱きしめて、
「良かったね。
わたしの胸の中で、マアミは涙声で、
「チョーカーはいいの。お母さんに会えたから。それよりごめんなさい。あんなひどいことをして。わたしの欲でつらい目に合わせてしまって。その……ありがとう」
「いいのよ。マアミが幸せになってくれれば」
くすっ
ん? 今、マアミが笑った? わたし何か変な言い方したかな。
「ふふっ、
キュン! てなった。彼女の髪を撫でながら、
「いいのよー。いいのよー。わたしをお母さんだと思って甘えて」
「それは断る。ワタシのお母さんは、
ガクってきた。わたしの愛を返して。
マアミは涙でグシャグシャな顔を思いっきりほころばせた。
「マアミ。私も君を祝福しよう。本当に良かった」
「だれ。このおっさん」
言い方!
「ねえ
マアミが向けた顔、の先には。あああ忘れてたたた。
「捨てとく?」
ちょっとちょっとおおぉ。ムリこわいこと言わないでよ。
「そ、それはダメだよ。
「そうだぞマアミ。彼が不幸のままじゃ、〝約束〟を破ることになる」
それもムリこわい。呪いはもうたくさんよ。
「わたしからもお願い。
「ん。
マアミは
メリッ ズブッ ズブズブ ズブブブブ
うわあ、やっぱりイヤな音。
魂が戻ったとたん、
「あれ、ココはだれ? 僕はドコ?」
……なんだか様子がおかしい。いつもの彼と違う。
わたしと目が合ったとたん彼は、ニコニコして。ムリこわい。
「やあ
「これは……。彼の魂から邪悪な物が、はがれてしまったのかな」
そんな
「やだキモっ!
「乱暴な
「あの
わたしも言いたい、思いっきり。
「キレイな
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