しっぽ19本目 ペルソナの九尾
「うあああああ!!」
「
おばあちゃんの叫び声。わたしを抱きしめてくれている。
つむっていた目をゆっくり開けると、膝には
(あれ。なんでぼくは、ぼくを見下ろしているんだ?)
はい? どうして。
(協力してくれると言ってくれたじゃないか
今度は
「おばあちゃん。わたし」
「
呪いはかかっていない。わたしの体だ
「あの。えっと、おばあちゃん。みんな一緒にいるの。
「おばあちゃま」
「
「初めまして
わたしの口からみんなの声を聞いたおばあちゃんは、固まってしまった。
「
わたしは
(みんなの心をイメージしておくれ
みんなの心。みんなの──みんな、みんなは強い!
わたしはオーロラのような、虹色の光に包まれた。これはきっと、四人の心の色。
「その姿……。しっぽが九本。ペルソナの、目が」
おばあちゃんの驚いた声。見える、感じる。体が、力が大きくなっていく。しめ縄みたいだったしっぽがほどけて九本。その全部が
そしてペルソナの、目。
「わたしは、ペルソナの九尾」
(
(ああ。
(ぼくにも見える。すごい)
みんなんで
(そうそう、
(え? ぼくは〝約束〟を)
(果たしたよ。大丈夫だ)
(ええ?)
うん。わたしは間違っていなかった。
「おばあちゃん。
受け取った。その時に、ちょっと触れた指先から信頼が伝わる。
「お願いおばあちゃん。
これで彼女は自由に動けるはず。なのに、うずくまったまま。叫び声も
もしかして動けなくなったか、気を失った?
近づいてみよう。ゆっくり、気をつけながら向かう。あと数歩、というところで。
魂が、わたしを狙って撃ち出された。
(やめて!)
魂の動きがゆっくりに見える。金色の目に霊力を込めて、魂を止めた。右手で優しく、直接つかむ。痛くない。手が、焼けない。
ドン!
黒い雷撃と衝撃。黒い電流がしつこく、まとわりついた。
九尾を、白銀に光らせて散らす。これもペルソナの九尾の霊力なのね。
(やめて! マアミ! やめて!)
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
何度も襲う雷撃。白銀の九尾で全てを裂いて、空へ散らした。
(
ドンッ!
九尾の白銀の光りを、雷撃にして
「うあ! うああああ!!」
優和さんは苦しんだ。それでも、突進して来た。二本のしっぽの毛を逆立てて。
猫の瞳をした彼女が人間の顔に。猫又だけど、その体も人間に近づいている。
ペルソナの九尾に
鋭い爪がペルソナとわたしを引き裂こうとするけど、弾く。
「ああ! ああ! ああ!」
それでも、やめなかった。何度も何度も。
大きな涙の粒をまき散らしながら。
((((…………))))
わたしたちは声も手も出せなかった。爪が振り下ろされるたびに、みんなは感じている。
憎むだけじゃない。どうしても生き返らせたいという、必死な願い。
(やめて! マアミ! もうやめて!!)
二人がこんなにすれ違ってしまったなんて。悲しすぎる。
彼女はまだ
「あなたと
(おかしい。マアミの妖力が減らない。こんなに続くのはどうしてだ?)
(
(憎しみも悔しさもない場所ですの? そんなの、このペルソナにしかありませんわ)
(それは、ううむ。出来ないことはないが、しかしきっかけが)
「!!」 みんなの意見のおかげで思いついた。
(大事な人を、物を守ろうとする気持ちがあれば、どう?)
(それはどういうことですの?
今の
二人だけで会えるところへ!
(そうか
(♡)
(ずるいですわ、お二人だけで)
(
ヤダそんな、こんな時に。イヤじゃないけど。ウエルカムだけど。
(え? え? なんでそうなるの?)
(ダメだコイツ。早くなんとかしないとぉぉ!
(えええ! ぼくが悪いの?)
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