しっぽ18本目 恋と勇気と友情で!
どこかしら、ここは。
わたしは金色の中にいる。モヤのような霧のような、上も下も、見渡す限りの金色。
おかしい。獣人になったはずなのに手や足や顔も、体もわたしのまま。
「誰かいませんかー。ここはどこですかー」
──いるのはわたしだけ? また〝約束〟を破ったから、もしかして死んじゃった?
「
「
「二人ともどうして。
「あれ、痛くない。いやそれより
「そうですわ
すごく静かに怒ってる。ムリこわい。そうよね、勝手に〝約束〟を破ったんだから。
二人の決意と努力を無駄にしたんだから。わたしは黙って頭を下げるしかなかった。
「
そうだ。あそこにはおばあちゃんと
「大丈夫だよ。私が保証しよう」
いきなり聞こえた太い、落ち着いた声。男の人だ。二人にも聞こえたみたい。
「この声!
「ここだよ、ここ。久しぶりだね
「「ペルソナが喋っている!」」
わたしと
「なんてこと! 教えてくださいまし。どうしてあなたが、ここはどこですの?」
「ペルソナの中だよ。正確にはペルソナの魂と私の魂が合わさった世界だ。分かりやすい様に
たしかに。目の前にいてもらったほうが安心だけど。
「あ、
「
……笑ったらいいのかな。
「悪いね。私の体はもう無くて、ここが私そのものなんだよ。許しておくれ」
「
「まあ落ち着きたまえ
ちんぷんかんぷん。
「つまり向こうでは、ぼくたちの体はあるけれど時間が止まっているようなものですか。だから
「そういうことになるね。
心が? 三人がひとつに…でもわたしは勝手に。
どうして、わたしの心なんかが二人と一緒になれたの?
「わたしは〝約束〟を破りました。
「不安になるのは分かるよ。でもね、君はみんなを思いやってそうしたんだろう?
わたしの……。それがきっかけになって三人で
ああああでもでも、彼の前で恋だなんて! 恥ずかしくて両手で顔を隠した。
恐る恐る、指の間からチラッとみてみたら。
「あのう。それは、一体どういうことですか。恋心って?」
バレてない。っていうか、ドンカン? なんか残念なような、フクザツな気分。
「うーん、どう伝えればいいかな。ぶっちゃけ愛だよ、愛。三人の愛が奇跡を起こした、かな。知らんけど。いやあ、自分から愛なんて言うのは照れるね」
知らんのかーい。心の中でつっ込んじゃった。
「『恋
あら。
「ええと、えーと。相乗効果…なの?」
か、
「まあ、愛は置いといて」
照れてもまた愛って言うのね。意外とカワイイ。あ、招いたって言ってたけど。
「
「は、はい」
「
「はい? ぼくが?」
「分かりづらいかな。では。私が、
「私の本当の名は、『
「ぼくと同じ、かりおもて?」
ええっとそれってつまり。つまり!?
「
「ぼくが、後継者……」
「はいいいいい!? ですわ!!」
びっくりした!
それに、
「
自分のことのように喜んでくれている。
彼女も
「ありがとう
「良かったね
「ありがとう。
わたしの言葉を聞いて、彼はハッて顔をした。
「ぼくは、後を継いで良いんだ。ペルソナのために生きることができるんだ」
今度はわたしがハッとした。最初から〝約束〟を果たしていたのに?
「
「あの時点で君は、
納得した。それが〝約束〟の厳しさなんだ。
そうだいけない、一番大事なことを。
「あの! わたし、どうしても
その先は言いづらい。あんな言葉は。
優しい彼女はもう、いない。わたしを信じてくれない。
みんなとペルソナを守るにはこれしか。心がチクチクした。
獣人になれないなら
それをしたらわたしは、
「
それは、決まっている。
「
「うん。マアミには聞こえない、気づけないんだね。だったら、
直接って、二人は会えないのに。どうやって。
わたしの顔を見て察したのか、
「君自身でマアミの魂を、直接チョーカーに入れる。
それが出来るなら、良い方法だと思う。でも。
「今の、なんの力も無いわたしじゃできません。無理です」
「力を、私とペルソナの霊力を貸そう。
「マアミを止めることが出来るのでしたら、惜しみませんわ」
「ぼくも、
二人の言葉でわたしに勇気が湧いた。
わたしたちは、お互いの決意を確かめてうなずきあった。
「ただし」
「どうしても駄目なら、私が手を下そう。
わたしの気持ちはもう変わっている。それは絶対、させない。必ず、二人を助ける。
「では
金色の霧が、この世界が輝いた。──希望の光。
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