しっぽ17本目 〝約束〟と、わたし。
ペルソナのつむった右目に、四本の深い爪痕。
「ワタクシは平気です
「二人とも怪我は?
おばあちゃんもわたしのところに来た。
「
おばあちゃんが叫ぶと彼女は魂とともに弾け飛んで、地面に押しつけられた。
「うああああ!!」
彼女の悲鳴が響く。苦しいはずなのに、まだ睨んで立ちあがろうとしている。
「
「
「良かった。おばあさんも。
「とんでもございません。ご覧の通り、ワタクシは平気ですわ」
ふらふらなくせに無理してる。
やだ、泣きそう。
「泣かないで。よく聞いて
そんな、わたしたちの声は?
「本当に、本当にもうだめ?」
「ごめん。ぼくは君と一緒に、助けることができなかった」
「ワタクシが行きましょう。その間にみなさんはお逃げください。こんななりですが、なんとかできますわ。
「その体では無理よ
わたしは自分の耳を疑った。二人の言っていることは、つまり。
「そんなのダメ!
「
「おばあちゃま……。よろしいんですの?」
「付き合ってくれてありがとうね
なんでうなづいてるの
「〝約束〟はどうなるの! ペルソナは!?
「イヤですわ、そんな顔をして。ペルソナは守ります。そんなに
「
そう言うと二人は前へ出た。おばあちゃん、ウソよ。そんな目をしていない。
【〝約束〟……と、わたし】
ある。見つけた。
「ねえ、
彼は見開いた。わたしの目を見て、とても悲しそうな顔を……。
「ダメだ。まだ〝約束〟を果たして ない。君が 幸せになったなんて 思ってない」
うまく話せなくなってきている。でも必死に止めようとしてくれて。
もう、充分に幸せよ。わたしを信じて人に戻してくれた。救ってくれた。
あなたは、〝約束〟を果たしている。きっと、あなたのペルソナは叶えてくれる。
それまで待ってる。
「もう休んで」
痛いのに我慢するからよ。わたしはその手を強く握りしめた。
「
声がゆれる。いけない、しっかり言わなくちゃ。本当はもっと早く言いたかったけど。
学校で、元気な彼の前で言いたかったけど。
「
この勇気を最初に使えたら良かったな。
ごめんなさいおばあちゃん。
ごめんね
わたしは今から、獣人になって
「わたしは、〝約束〟を破ります!」
振り向いた二人は何かを叫んでた。
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