しっぽ13本目〝呪い〟と〝贄〟と。
いない。
(ああ、
地面に、黒い色と白い色。焦げてる。何? これ。
「
(マアミはすでに去りました。その、あなたに負けて……逃げたのです)
負けて、逃げた? わたしが、勝った? どういうこと。
(覚えていらっしゃらないのですね、
「狐の化け物! なんでペルソナを被っているんだ!?
(
「
「イヤーカフとブローチ…その声は、
化け物? そうか。ケモ
(
〝約束〟を。獣人……わたしは、手と足を見た。ケモ
(獣人の力でマアミを降参させたのです。あいつは逃げました。おお、なんとおいたわしい……あなたは、ペルソナの呪いを受けたのですわ)
『絶望』……これが、銀子が前に言っていた……いやだ。そんなの。
「
いや。だめ。こんな姿じゃ。見ないで。
(いけない。マアミの結界が消える。人に見られてしまいますわ!)
「待って!
わたしは、逃げた。高く
◇ ◇ ◇ ◇
夢中でどこをどうやって逃げたのか。気がついたら夜で、家の前にいた。
おばあちゃんが今のわたしを見たら……でも、帰ることができるのはここだけ。
「
いつの間にか扉を開けてたおばあちゃんが、抱きしめてくれた。
「〝約束〟を破っちゃった……ごめんなさい」
「謝らなくていいのよ。感じたの。よく無事で帰って来てくれたわね」
そう言って、もっと強く抱きしめてくれた。わたしを責めずに。
「おばあちゃま。申し訳ございません。ワタクシがついていながら」
「
──
もうクラスのみんなにも会えない。
涙が止まらない。もう、どうにもできない。
「ごめんなさい
「いいえ、もう泣かないでくださいまし。これかからのことを考えましょう」
「その通りよ。二人ともお腹がすいたでしょう。食べやすいものを作るわね」
おばあちゃんは、たまご粥を作ってくれて。フーフーして食べさせてくれた。
おいしい、とっても。また泣いちゃった。今度は、幸せすぎて。
◇ ◇ ◇ ◇
「
やっと落ち着いたわたしにおばあちゃんは突然、言った。
あれ銀子、何? どうしてあなたの悲しい気持ちが伝わってくるの。
「昔、六十年前。私が六歳の時にその方法を知ったのよ。
「ワタクシがおばあちゃまにお会いしたのもその頃でしたわ。その一人は勝手にペルソナを使い、欲がふくらんで結局…その……。お伝え出来ません」
わたしのひいひいおじいさんが、止めてくれた。その時に初めて二人は出会ったんだ。
「よく聞いてね
「
聞きたくなかった。
「イヤよ!
「
そんなのイヤだ! わたしはこのままでいい! 誰にも見つからなければいい!!
「わたし、死ぬまでこの家に隠れる。そうすればいい。
「
何も言えなくなった。でも。わたしのために。
「分かってちょうだい。
「ごめんください。
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