しっぽ10本目 んガー!!
「お願いだから無茶はしないでちょうだい、
「
「うん、そうなんだけど……」
今は夕食の時間。変身して
あの
「今日まで気づかなかった」って。何を守っているのか気になるんだろうな。
「緊張感がないわね」
おっしゃる通りです。おばあちゃん。
二人で向き直した。
「
「彼女がそんなことするかな。「ありがと」ってお礼を言ってくれたのよ」
「
どうしても、
それに「タスケテアゲテ」の声が気になる。
「
何も。チョーカーを撫でていたことくらいしか。わたしは首を横に振った。
「分からないか。しばらく学校を休んだほうがいいかもしれないわ」
「ワタクシも
そんな。
「わたしは行く。
「勇気は万能ではありません! ワタクシは許しません! 間違っておられます!!」
「イヤ! 行きたい! 絶対、学校に行く!!」
「
「なによ!
パンッ!
「はい、そこまで。ああ
ケンカになるところだった。おばあちゃんが止めてくれて良かった。
「……ねえ、
〝約束〟のことを
「
おばあちゃんは許してくれた。でも
「……分かりましたわ。ただし
変身は困るけど、わたしのためを思っているからわがままは言えない。
「ありがとう
「あら、それはお相子ですの。こちらこそ
いくら何でもそれには抵抗がある。四百歳以上も年上の人、じゃなくてお狐様に向かって呼び捨てなんて。あ、敬語も使ってなかった。
「そんな。私と
「おばあちゃんの言う通りです。わたし、敬語も使っていませんでした」
「何をおっしゃいます! タメ口は
つ、強気になってる。歳を武器にするなんてずるい。
「では、ワタクシのほうから親しみを込めて
ゴクリ。な、なんて呼ぶのかな。
「おばあちゃま!」
〈イラっ〉
久しぶりにきた。イラって。わたしのおばあちゃんなのに! わたしだってかわいくそう呼びたいわよ! おばあちゃんの時が止まってる。ショックでカチコチだ。
「
顔が真っ赤。照れてる。
「
ちゃ? ちゃん。ちゃん! そんな、子供扱いすぎる。
「「反対! 断固、拒否します!」」
わたしとおばあちゃんは、抵抗した。
「年長者の言うことはー! んガー!!」
◇ ◇ ◇ ◇
今朝は辛くて遅刻しそうになった。あれから「
「
「お、おはようございます。昨日はおばあちゃんと
危なかった。
「そうだったんだ。(対策は思いついたの?)」
口パクで伝えてくれてる。
(あの場所で)
口パクで返してみた。
(うん)
うれしい。誰も来ない、二人の秘密の場所(♡)。
でも、一緒に出ていったら
(
(ぐー……)
「寝てるんかーい! あっ」
ザワ!
「
「わたしを! 探さないでくださあああい!」
「あっ、
「コントが聞けた!」「今日も新鮮ね」「あれ?
ナイスだわ、
いつものパターンだから怪しまれないはず。
「あら? ココはだれ? ワタクシはドコ? ですの」
ホントに寝てたんかい。寝ぼけて声が出ちゃってる。遅くまでスパルタやるからよ。
──屋上への踊り場で待ってると
「大丈夫かな。どこにいても
「おばあちゃんが結界を強めてくれたから。彼女は気づくかもしれないけど、ここにいることが分かるまで時間はかかると思います。これで」
右耳の二つ目のイヤーカフと、カーディガンに着けた同じデザインのブローチ。みんな結界で繋がってて、どれも
わたしは
なにより、ペルソナを諦めてもらうように直接説得したい。彼女にどんな理由があっても。二人にならない大勢の人がいる場所で、でもだれにも聞かれないように。
「君の考えは分かるけど、そんなにうまくいくかな?」
わたしの真剣さに、彼は納得してくれたみたいで。
「うーん。じゃあ、必ずぼくがいる時に声をかけてみるのは? 見張り役ということで。あっ、二人の話しは聞こえないようにするから」
わたしの秘密を聞かないようにしてくれるんだ。ああ、ペルソナのことを言えたら。
(うまくいくといいですわね。
と、その話しでまとまったはずだったんだけど。
この日、
◇ ◇ ◇ ◇
で、あっという間に図書館へ行く約束の土曜日。
(
(だから、そう呼ぶのはやめて。それにデートじゃないわよ。
とは言ったものの、ちょっと気合を入れちゃった。白に近い黄色のブラウスに、灰色がかった薄い緑色のスカートは膝上5センチ。ブローチはネックレスに改造した。
男の子と出かけるんだもの。恥ずかしくない格好をしたい。褒めてくれるかな。
ただ、ショルダーバッグに付けた大きい防犯ブザーが、カッコ悪。家を出る時におばあちゃんから渡された。何があるか分からないからって……カッコ悪。
「ごめん
っパアアアアアア!
(ンまっ!
ほっといてよ。「ちゃん」はやめてってば。
「い、いえ。わたしも今来ました」
(カッポーはどいつもこいつも同じセリフ言いやがって。ですわ。爆発しろ! ですの)
カッポーって何よ。カップルでしょ。日本のカップル全員、見たことあるんかーい。
「行きましょう。
「
ドキッ、ムリこわい。気になるけど今日は。
「さ、さあ。今日は
ヒソっ「きょ、今日の服、に、似合ってるよ。学校にいる時とはすごく違う」
っパアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
「あ、あああありがと。です」
(
無視。
二人で話しながら歩いた。楽しい。引っ込み思案が嘘みたいにスラスラ言葉が出た。
でも楽しいうれしい幸せな時間は、マッハで過ぎるのね。目的の図書館に着いてホールの中に入ったら。
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