しっぽ9本目 第一ラウンド、ファイ!
彼は静かに先生のところまで行った。ただ、わたしの横を通り過ぎる時に一枚の紙をそっと机の上に置いて。
慌てて隠して机の中を探るフリして読むと、そこには走り書き。
『ごめん。戻るまで、できるだけ他の人と一緒にいて』
(
(自分から声をかける自信はないけど、がんばってみる)
今日一緒に話しをした子を探した。もう…帰ってる。みんなも次々に帰って行く。
どうしよう。独りになったら、
(
(油断はなりません。
(そ、そんなことをしたら
(ご自身の安全が優先ですの。さあ、急いで)
とかやってるうちに、みんな帰ってしまった。わたしはひとり慌てて教室を出た。
「おう、
「「ヒエっ!
イヤな人に捕まった。昨日のこと、どこ吹く風の態度がラージサイズ。お腹いっぱい。
「また変な声出しやがって。昨日はジャマが入ったけどよ、やっぱオレが良いもん買ってやんよ。そんなイヤーカフよりもな」
うわああ、
(ここで
(ナイスでグッドなお考えですわ!
あんなに
「ワタシが先約よ」
「「きゃっ!」」
(気がつきませんでした。非常にヤバイですわ!)
「ワタシが
そんなんこと、決めてない。ムリこわい人たちにはさまれた。早く来て
「ナンだ、おまえ。見たことないヤツだな」
「
「アンタ!? てめぇ馴れ馴れしいな!」
ど、どの口が。なんか揉めだした。あ、あれ?
「お、おう。今日のところは勘弁してやんよ。じゃあまたな、
彼はあっという間に帰って行った。どういうこと? 妖力を使ったとか?
「あ、あの。ありがとう」
思わずお礼を言っちゃった。
「これで大丈夫よ。しばらくはちょっかい出してこないから。おまじないみたいなものよ。そうそう、変な気はおこさないでね」
(変身しましょう! ケモ
(だ、ダメ。誰かに見られたらよくない。それに、変な気はおこすなって脅されたし)
ムリこわい。不気味な人。
ケモ
せめて、
「今のアイツ、
バレてる。でも何をしたいのかな。すぐにどうこうするつもりはないみたい。ペルソナを狙ってるはずよね?
「あの、き、今日一日、ずっとわたしを見ていましたよね。な、なぜですか? 何がしたいんですか?」
「あら、ワタシは友達になりたいだけよ」
本当のことは言わない、のは当然か。ムリこわい。
さっきからチョーカーを触ってる。撫でてる? くせ? 大切な物のように見える。
「それより。ステキなイヤーカフね」
((!))
パシッ
思わず彼女の手をはたいた。いきなりイヤーカフを、わたしの
「あら、ごめんなさい。よっぽど大事なのね。フフ」
「狐、だから? いるんでしょう? その中に」
((!!))
イヤーカフを指さしてる。結界が効いてない?
「な…んの……ことですか?」
(
「隠さなくったて良いのよ。あの夜、ペルソナと
(感じた…山奥にいて? やはり妖力が強い! どこまで知っているんですの)
おばあちゃんが言ってた「ペルソナの霊力は解放された」が頭をよぎった。
「ワタシが有効に、──痛い!」
な、何? 急に胸を押さえて苦しみ出した。
(今ですわ! 職員室へ向かえば
(タスケテ…アゲテ)
声?
思わず振り返ってしまって。あれは違う人の声。大人の女の人。聞き間違い?
(
(タスケテって聞こえなかった? タスケテアゲテって)
(ワタクシには何も。それより逃げないと)
彼女は追いかけてこようとしない。
うずくまってしまって動くのも辛そう。そんな苦しんでる顔を見てたら。
「タスケテアゲテ」。の声も気になって、思わず戻ってしまって。
「あ、あの。保健室に…一緒に行きましょう、か?」
(
だって、こんなに痛そうにしているし……。放っておけない。
「なに言ってんの? ワタシが怖くないの!? 平気、すぐ治る。イタ、痛い!」
「だ、ダメです。が、我慢しちゃダメです。保健室へ連れて行きます」
(ああ、もう! 何を考えてらっしゃるの
「
安心して、わたしはその場にへたり込んでしまった。
「イタタ、今日は帰る。…………………………ありがと」
え、お礼? わたしは思わず。
「お、送ります」
「なんなのよ腰が抜けてるくせに! 敵だと思わないのワタシを! もういい!!」
「
わたしは、今あったことを彼に話した。へたり込んだままの情けない格好で。
聞き終わった彼は不思議な顔をして……安心したような、呆れたような。
「君が聞いた声は気になるけど…
差し出してくれた右手をつかんで、なんとか立てた。
今は、わたしが
わたしが、「
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