しっぽ8本目 謎の転校生。が、わたしに刺さる。
(んまっ!
(やっぱり分かる? だって秘密よ。ひ・み・つ。二人の)
(分かりますとも。ワタクシも自分のことのようにうれしいですわ)
パーとかなんとかって聞こえたけど、どうでもいい。今も二人で歩いているし。
(油断は禁物ですわよ。どこに落とし穴があるか、分かりませんわ)
(分かってる。分からないのは分かってる。日本語が変になっちゃったのも分かってる)
(ああ
ほっといてよ。
「おおう。二人で何してるんだ? 早く教室に入れー」
先生と鉢合わせしちゃった。
あら、先生の後ろにいる女の子は……キレイ。わたしに笑顔を…キレイ。
「あの、先生。その子は?」
「おおう、
「…………」
わたしは思わず彼の後ろに隠れた。引っ込み思案のせいじゃない。
(
──席で待っていると先生が入って来た。さっき会った女の子と一緒に。みんなが一斉にざわめいてる。背が高くてスラッとしてるし、大きな猫目が可愛い。白いチョーカーにずっと手をそえてる。前髪が一筋、すごく自然な感じで灰色がかってる。生まれつき?
わたしの席の左隣りの列、一番後ろの席にいる
さっきより厳しい目をしている。ずっと彼女を見てる。
「おおう、みんな。新しいクラスの仲間です。はい、自己紹介してー」
「
もう一度ニコっと笑って深くお辞儀して。礼儀正しい。
((ヒェっ))
彼女が顔を上げたとたん、わたしを見てきた! ずっと睨んでる!
(ゆゆゆ、
(ムリこわい! なんで今、気づいたの!?)
(たった今、こちらに欲望をむき出しにしましたの! 強い妖力ですわ!)
「おおう、じゃあ
先生が指をさしたのは、窓側の一番後ろ。教室全体を見渡せる位置だ。彼女は静かに席についた、と思う。怖くて見られなかったから。とたんに。
刺さる、刺さる! 彼女の視線が! わたしを見ているのが分かる。視線を感じるってこのことか。いえそれ以上。痛い、痛い! なに、この感覚!
(あああの
(そう言われても!
もう一度、
早く放課後になれ!
(
(そうしたいけど、いつも一緒だと彼の迷惑になるんじゃ。みんなの目も気になるし。とにかく今日はおとなしく…)
(言って場合じゃありませんわよ)
授業が始まってもずっと視線が刺さったままで、先生の声が頭の中を通り過ぎて行った。永遠に続きそうな一限が終わってやっと休み時間。
「
え、え。え?
「み、みんなの目が」
「みんなは
ヒソっ「でもここじゃ無理だから、あの時の場所まで。急ごう」
(
──屋上への踊り場に到着するなり。
「
(はい!
「廊下で会った時、何か変だと思っていたけど。彼女の君を見る目は、獲物を狙ってる目だよ。心当たりはない?」
どう言おう。もう嘘は、つきたくない。……けど。話題をすり替えるしか。
「ゆ、
やっぱり、やっぱり辛い。
「考えられるのは、
(
「た、多分、
「謝らなくても大丈夫だよ。今日はできるだけそばにいる。いくらなんでも学校で襲ってはこないだろうから」
「ありがとう。お願いします」
「学校が終わったらすぐに帰ろう。ぼくが家まで送る。打ち合わせは帰りながらで」
とても苦しかった。完全な嘘は言ってないけど、どうしても心が引っかかってしまう。
それから今日一日は気が休まらなかった。
◇ ◇ ◇ ◇
やっと帰りのホームルーム。帰ったら、すぐおばあちゃんに知らせよう。
「おおう、
((せんせいいいい!))
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