しっぽ4本目 『昔』と『これから』
ベッドに入ってからどれくらいだろう。時計は、夜中の十二時を過ぎてる。
覚悟を決めなきゃって思ってもやっぱり、ムリこわくて。もし、ダメだったら。
どうなるんだろう。おばあちゃん、パパ、ママ。わたしの恋も……
学校に行きたくないな。不安なまま、
「震えてらっしゃるの?」
丸まっていた
「これからのことを思うと。怖くて」
「
「聞かせて。お願い」
「ワタクシは生前、体が弱くて見た目もご覧の通り白い色でしたの。目の色は赤くて普通の狐とは違う姿でしたわ。仲間は気味悪がって、いつも独りぼっち」
「え? 妖狐になってからじゃなかったんですか? 体が弱かったって?」
「生まれつきですわ。そのままでは大人になる前に死んでいました。そんな時に、
「ええと。
「いいえ。茂みで丸くなっていたワタクシの前にペルソナを置かれて、「〝約束〟しなさい」。と一言残して去って行かれましたわ。あら
だってだって、信じられない。何かのおとぎ話みたいで不思議。
そんなことってある? でも
「
「ええ。
「だからペルソナを守ると〝約束〟したんですね。
「はい。ワタクシの死後は
「はい」
「ワタクシの守る、は人がペルソナとの〝約束〟を破らないようにさせること。つまり、欲深になって不幸にならないように、助言や注意をして正しく導くことですわ」
それが銀子さんの役目……。人って欲におぼれると、歯止めが利かなくなるのかな。
「でも」
あれ、「でも」って。
「
赤子って、赤ちゃん? まさかそんな……。
ということは…長い間にペルソナは、便利な道具と思われてしまって。
〝約束〟は都市伝説みたいになったのかな。
だから人は簡単に結んだ…願いを叶えるためだけに。欲のためだけに…………。
わたしもそう……。
何度も見てきたなんて。ということは、それは。
「
「はい。呪いですわ。ワタクシの魂はペルソナに閉じ込められましたの。〝約束〟を果たすまで。いえ、一度や二度くらいでは無理かも。永遠に、かもしれません」
でもそんな、永遠にってひどすぎる。罰を受け続けなきゃいけないなんて。
「ワタクシはもう限界でしたの。それでペルソナと共に隠れました。知られないように、見つからないように。守るにはこれしか思いつきませんでしたわ」
思い出してきた。おばあちゃんから聞かされた、とっても大事なこと。
「それで
「はい。
その神社は今は
その表面には約束の地、後ろには
〝約束〟を忘れないように。
でも、それは永遠に続く〝約束〟。ペルソナに縛られている
「ねえ
「…………」
「
不幸じゃない? わたしは不幸な方かな。だって。
「呪われるのは不幸なんじゃ」
「あなたはまだ、〝約束〟を破っておられません」
「あ……」
言われてみればわたし、怖がってるだけだ。人と話すのも、告白するのも。
「あの、
「不幸とは絶望だと思いますの。ワタクシはそれを感じておりませんわ。
そうか。だから見つかりにくいようにテレビボードの中に。
「大切なペルソナが、まさかクッキーの缶に入ってるって誰も思わないですもんね」
「ええ。念を入れてこの家全部が結界の中にあります。ペルソナの霊力をもらさないように、邪悪な者どもが入らぬために。
これは聞かされていない。
みんながんばってきたんだ。おばあちゃんも……。
「ワタクシは、ペルソナを一生をかけて守りますわ。あら? ワタクシ、
それなのに、わたしは。わたしも、決めなきゃ。ううん、決める。
「ねえ、
「ワタクシに、ですか? とんでもございません! 恐れ多いですわ」
すごくびっくりしてる。
「受け取ってください。
「ワタクシの、勇気?」
そうよ、ちょっぴりの勇気! このままじゃダメよ。進まないと。
「まだ起きてるの? 二人とも」
おばあちゃんが来ちゃった。そんなにうるさかったかな。
「あのね、
「ンまっ、イヤーカフ! 今からですの? ご無理はなさらない方が」
わたしが出来る精一杯のお礼。それと、わたしの勇気を忘れないために。
どうしても作りたくて、オリジナルにしたくて。
「朝までには間に合います。がんばる」
「うれしいですわ! 楽しみですの!」
喜んでくれて良かった。ステキなイヤーカフを贈りたい。
「ちょうどいいわね。それを結界にしましょう。
はい? 結界にする…
「なんでなの? おばあちゃん」
「願いを叶えるには、ペルソナといつも一緒にいなければならないの。
ああ、ペルソナを持ち歩くわけにはいかないから。
おばあちゃんが言うには、ちょっとした
「でも
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