しっぽ3本目 ムリこわい〝約束〟
──やっと、家に帰って来た。ヘアクリップのおかげで誰にも見えなかったみたい。
「
「いけません、失礼しましたわ
ところで、さっきの。
ペルソナと〝約束〟はしたけど。言われている意味が分かんない。
「おばあちゃん。覚悟ってなに? どういう意味?」
「ペルソナとの〝約束〟を果たせなかったらどうなるか。は覚えているわよね?」
聞いたことあったかな? 覚えていない。思い出せなくて黙ったままでいたら。
おばあちゃんの目が。目つきがムリこわい。
「
ビクッてなった。そんな、いきなり怒鳴るなんてムリこわい。
目を合わせられなくて、うつむいたまま体が固まった。
「み、
「
やだ、不安になる。何を聞かされるのかな。
「ペルソナから呪いを受けますわ」
今、なんて。
わたし、変な顔であぜんとしていたみたい。
「お怒りになったペルソナから、罰が与えられますの」
罰。呪い。
「どんな呪いが、わたしに!?」
「それはペルソナがお決めになること。ですので、破られて初めて分かりますの。最悪の場合は……
〝約束〟を破ったら、みんな死ぬ……頭が混乱して。信じられなくて。
だって、おまじないなのに命を、死ぬなんて。
そうだ。『おまじない』は漢字で書くと『
おばあちゃんはとても辛そうな顔をしている。そんなの、見たくない。
「わたし、やめたい。なんでもするから、どんなことでもするから!」
「
またビクッてなった。わたしの恋が軽いと思われたのかな……。そうじゃなくて。
なんか悔しくて、涙があふれてきた。
わたしは本気だった。だからお願いした。引っ込み思案だから必死に! でも!
「だって、わたしが失敗したら…おばあちゃんも、パパもママも、どうなるか」
涙が止まらない。つっかえながら言うのがやっと。
「方法はありますわ。
「それにね
どうしたって守らなければならない。どうしてもやらなきゃいけない。
でも怖くて、できると思えなくて。
おばあちゃんが泣いている。下を向いて、手で顔をおおって。わたしのせいで……。
わたしの欲のせいで。おばあちゃんの話しを忘れていたせいで。みんな、わたしが。
「ごめんなさい……おばあちゃん。
謝ることしかできなかった。
「……今日はもう、寝なさい
(
(
二人の声が小さくて、落ち込んでたわたしには聞こえなかった。
「
「もちろんですわ」
「ありがとう
「思い出して、
おばあちゃんはそれだけ言って口を閉じた。
〝約束〟を必ず守れ、とは言わずに。
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