リセット
アオイロノペン
リセット
わたしは
零時の時計のように
夜と朝の間に立ち
両の手のひらを見つめた
リセット
白紙の本のように
染まる前の空のように
始まりの場所にいた
まちがったこと
なくしたもの
とりかえしのつかないもの
あやまりたくて
でも
いとしい人々の顔は
閉じた目蓋のうらで
ほほえんでいた
ああ
とっくに
ゆるされていたんだと
なやみなげき
悔いていた日々が
ー ー ー ー ー。
つぶやきながら
白い波にながされていく
どうして
もっとはやく
気づかなかったの
また嘆くわたしに
指がそっと
唇をおさえた
なにがしたい
なにをのぞむ
なんでもできるだろう
たとえたどり着けなくても
それでもいい
息を止めて
生まれ変わらなくても
わたしはわたしのままで
わたしのままでいいと
わかった
零時を少し過ぎた
時計のように
わたしは
朝にむかって手をさしのべ
わたしの影は
握りしめていた手をひらき
昨日へむかって
小さく手をふった
リセット アオイロノペン @blue-ink-pen
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