【詩】グレープフルーツの月を今 あなたに
菊池昭仁
グレープフルーツの月を今 あなたに
会いたい
死ぬほど会いたい どうしようもなくあなたに会いたい
翼が欲しい 天使のような白い翼が
魔法の箒が欲しい かわいい魔女になって あなたの元に飛んで行きたい
ひとりの夜は寂しくないの?
私は凄く淋しい 死んでしまいたいほど淋しい 独りぼっちの冷たい部屋
あなたはいつもやさしかった 誕生日には私の年齢と同じ数の赤い薔薇をプレゼントしてくれた
美味しい物もたくさんご馳走してくれた 一緒にケーキも食べたね? お酒も飲んだ
今年の薔薇は32本だった 来年は33本になるのよ 忘れないでね?
声だけじゃ足りない あなたの温もりが欲しい
ぎゅうっと強く抱き締めて 骨が軋むほどに
今 あなたは何をしているの?
お酒を飲んでいるの? それともピアノを弾いているの? 私はあなたのショパンが好き
まさか女の人と一緒なんてことはないわよね?
あなたに会いたい 今すぐ会いたい 死ぬほど会いたい
でもあなたは もう新幹線では行けないところに逝ってしまった
飛行機でも お船でも行けない遠いところへ
あなたはお星さまになってしまったから
あなたと紡いだ愛の日々 流星のように 後から後から流れては消えてゆく
あなたが買ってくれたこの指輪 私はそっとキスをする
もう一度 あなたに会える気がして
あなたのいない明日が見えない
私もあなたのところに連れて行って
あなたという杖がないと 私はもう一歩も歩けない
私の涙を拭いて 「お前は泣き虫だな?」と やさしく微笑んで
今夜は月のない夜 私は夜空に向かってグレープフルーツを放り投げる
あなたに見せてあげたい そんなグレープフルーツの月を
愛してるわ いつまでもいつまでも ずっとあなただけを愛してる
もうすぐ夜明けね? また私ひとりの今日が始まる
【詩】グレープフルーツの月を今 あなたに 菊池昭仁 @landfall0810
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
未完成交響曲/菊池昭仁
★6 エッセイ・ノンフィクション 連載中 12話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます