アーカイブ~【第2回 女性作家の集い】

【企画ページはこちら】

https://kakuyomu.jp/user_events/16818093075364492898




───以下の記事は、過去の近況ノートに掲載されたものを転載したものになります



(以下記事)

(2024.03.18掲載)

(祐里さま作品名訂正 2024.07.09)



………………………………………………………


※長文注意です


 自主企画

【第2回 女性作家の集い】【天川賞進呈企画】


 おかげさまを持ちまして、上記自主企画は盛況のうちに終える事ができました。

 改めまして、厚く御礼申し上げます。

 ご参加いただきましたみな様、ほんとうにありがとうございました。


 短編を中心に選ぶ事になってしまい心苦しいのですが、

 いずれ、長編企画も考えておりますので、その際はぜひよろしくお願いいたします。


 今回の参加作品は、過去の私の企画のうちでも最高の内容の充実度だったように思います。

 今回お集まりいただいた38作品(終了時点)は、一通り目を通させていただきました(長編作品は完読とはいきませんでした。申し訳ありません)。


 一方で、読後感質量の大きな物語も多く、読み終えた後しばらくの放電期間を要するものもあり、一筋縄ではいかない読書期間となりました。

 わたくしの、拙い読み解き能力で、どこまで作品の核心に迫れるか……。

 重ねて申し上げますが、独断と偏見による選考であり、また、何の権威も無いものであることは、ご承知おきいただきたいと思います。


 それと、たぶん末筆でもお詫びすると思いますが、先にこちらでもお詫びいたします。今回の作品群、ほんとうに選考に悩みました。ちょっと気を抜いたら、全部の作品の名前を挙げてしまいたくなる衝動に駆られました。よって、優劣をつけたということではなく、最終的に天川の胸に残っていた作品を推薦したい、という思いとご解釈いただければ幸いです。涙賞のほうは、当初2作品を予定していたのですが、候補となる作品があまりにも多く、今回は敢えて1作品のみの推薦といたしますことをご了承下さい。


 よって、ここに名前の上がらなかった作品も、ぜひ一度目を通していただきたいと思っています。そして、私はこの作品が好き! というご意見がありましたら、こちらのコメント欄でも、少し前のご批判窓口の方でも構いませんので、お寄せいただければ幸いです。名前の挙がった作品につきましては、改めて紹介するページを考えようと思います。


 なお、本ページに於きましては、作品名と作者名を紹介いたします。

 こちらのコメント欄に、一言いただければ作品ページへのリンクも追加いたしますので、お寄りいただいた受賞者でリンクの紹介希望の場合はコメント欄にリンク希望とお記しください。


 それでは、天川賞の発表となります。



【天川の涙賞】


◯ 花は、咲う。  /  祐里(猫部)さま

https://kakuyomu.jp/works/16818093073805452885


 売春島という、かつての日本の暗部を描いた物語。

 いえ、かつて……と言ってしまっては、事実に蓋をすることになりますね。


 その、主人公の友人は……いわゆる、ちょっと頭の弱い娘。

 でも、そんな彼女は疑うことを知らず求めることもせず、誰よりも純真で真っすぐで、そして………稼ぎが良かった。

 そんな彼女に、人の世の悪しき触手が絡みつく──。

 今は、多少の問題があっても命の危険にさらされることの少ない、平和と呼べるであろう、この国。しかし、目を伏せてはいけない、知らないままで終わらせてはいけない歴史というものも、存在するのです。


 そこに放り込まれた、花という女性。

 彼女の人生は、誰のものだったのでしょう。

 ここではない場所でなら、きっと別な物語を紡いだであろう、少女───。


 それでも、彼女はここで生きていた。


 主人公の、後悔にも心を寄せつつ……、

 私は、花という名の少女のことを、ずっと忘れないと思います。


 ───企画を始めて、最初に読んだのが本作だったため、次の作品が読めるようになるまで、私は一日の放電期間を要しました。最終的に、すべての作品を駆け抜けた後でも、私の心には、花がいました。最初に読んだ作品を選ぶという、罪な選択に手を染めさせた、ほんとうに罪な、そして素晴らしい作品です。読後質量の重さに、慄いて下さい。





【天川の翼賞】


◯ 灰色の男 #002  /  崇期さま

https://kakuyomu.jp/works/16816700426122222094



肌の色が、違う。

そのことを実感するのは、この国で暮らしているとあまり多くないのかもしれません。すなわち、肌の色の違いはそのまま国籍と文化の違いに直結することがほとんどだからです。生まれも育ちもぜんぜん違う、あらかじめそれを念頭に置いておける……その事が、我々を違った文化に触れさせる際の距離感としてちょうどいい塩梅になっているのかもしれません。


彼は、生粋の日本人(たぶん)。生まれも育ちも、我々と同じ(きっとそう)。

ただ、肌の色だけが、他人と違う。

差別を嫌う人は多いと思います。しかし、彼に相対した時……貴方はそれを表に出さずにいられるでしょうか?


彼は、清潔で優しくユーモアもあり、そして……なにより誠実。

そんな彼に、正面から向き合った時、貴方の心は何処に向けられますか?


彼の肌の色は、私達の心を映す鏡なのではないかと、思い知らされます。

できることなら、作品を何度も読み返して下さい。そして、肌の色を一度忘れて彼に向き合って下さい。そうすることで、貴方の心が何処に向いていたかが、きっと見えてくるはずです。




◯ とりあえず結婚した、40歳美里の場合  /  千織さま

https://kakuyomu.jp/works/16818093073920168276/episodes/16818093073920427654



【以下、ネタバレ要素を含みます。未読の方はご注意を】





軽妙な物語のリズム。

5000文字足らずの文章の中に、これでもかと散りばめられた、要素の数々。


40過ぎ、結婚もせず孫の予定もなく、親不孝でごめんなさい。

読者(私)の胸を切り裂く、いたたまれない事実の羅列……。


15歳年下彼氏、同性愛、男女の友情、腐れ縁、高齢出産───

ざっと挙げただけでも、これだけの要素が含まれており、驚くのはその要素のどれもが「暇そうにしていなくて」全部働いているのです。


自身と重なる部分があまりにも多く、少々主観的に過ぎますが……。

それでも、こういう人って案外多いのではないかな、と思ったりもするのです。


結婚しないのは、けしからん。はい、言っていることはよく分かります。

でも、さすがに全体の三分の一を超えてきたなら、どこか社会の方に歪みがきているのではないかな、とも思うのです。


私は、この作品を通じて世間体という現代の病巣に目を向けました。

その結婚、ほんとうにお互いのために決断しましたか?

どこか、世間体を気にして結婚に踏み切ったりしてませんか?


それがいけないわけではないです、たぶん多かれ少なかれその要素はあると思うんです。でもそこに、譲れない何かを諦めざるをえないほどのものがあるなら、やはり悩んでいいんじゃないかな……。


主人公は、決断します。

悩んだ結果は、意外と堅実で……実は本質を捉えていたようにも思えます。

多様性を語るなら、こんな生き方もアリと思ってみても、いいじゃない?





【天川のひとひら】



※ご注意

作者様と作品を非難する意図は全くありません。

拙い文章ゆえ、誤解を与えてしまうことがあるかもしれません。

どうか、ご容赦下さい




◯ 宅配便。  /  オレンジ11さま

https://kakuyomu.jp/works/16818093075524929156


こちらの作品は、ここ数日の私の悩みの元とも言える作品です。

当初、レビューを残した作品から選定する、という基準でしたが……この作品については、本当にレビューが付けられなかったのです。

いろいろな理由がありますが、まず作品がとても素晴らしいということは大前提として、申し上げておきます。本当に、染みます。


ですが、作者様のページを拝見した所、

掲載作の多くが、☆の数すごいことになっておりまして……💦

書籍化もされている方らしいですので、ちょっと躊躇してしまったのです。


私如き、無名の変人が賞を進呈していいものかという葛藤もあり。

そして……、作品のテーマと私の感想が、もしかしたら全く違うところを向いていたのではないかという、もう一つの葛藤もありました。


ですが、それらを差し引いても、傑作と言えるような物語でした。

ぜひ、皆さまご一読下さい。


「ひとひら」と表題したこの作品は、いまでも私の胸に棘として残っています。でも、決して痛い棘ではありません。

 この作中の母親像は、じつは私の母親とそっくりなのです。その母は、東京へ出ていった私の兄の元へ今でも作中の母と同じような贈り物をしています。そんな実体験があったため、(おそらくは)毒親がテーマの作品でありながら、私は母親の心情の方に心が傾いてしまったのです。

 この読み方は、果たしてどうなのだろうか、という躊躇。

 それと同時に……。

 カクヨムを始め、ネット上で複数の人との感想を交換できるという仕組みに、可能性を感じた作品でもありました。


 ここで、すべてを語るわけにはいきませんので、後ほど別ページにてこの作品への想いを掲載したいと思っております。


ぜひ皆さん、この作品を読んでみて下さい。

そして、感想を寄せて下さい。



今回の作品は、ほんとうに名作ばかりでした。

女性作家の皆様の、筆の確かさ、心情の深さにただただ敬服いたします。

重ねて申し上げますが、

本企画は作品の優劣をつけるものでは、決してありません。


https://kakuyomu.jp/user_events/16818093075364492898

上記アドレスにて、企画参加者様の作品の一覧が確認できます。

どうか、他の作品もご一読下さい。

どれを拝見しても、自信を持っておすすめできる作品ばかりです。


最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました✨️

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