第20話 【リード殿下side】最終話
ダンスを終えて、私たちは2人でバルコニーに出た。
今日は卒業舞踏会なので舞踏会会場はかなり盛り上がっているので、バルコニーには誰もいなかった。
「イザベラ、卒業おめでとう」
「リード殿下、卒業おめでとうございます」
『カチッ』そう言って私たちは会場から持ってきた飲み物でグラスを合わせて乾杯をした。
「夢みたいだ。こうしてイザベラとまた笑い合っているなんて」
私は思わず呟いた。
「ふふふ。私もです。てっきり殿下以外の方のところへ嫁ぐのだと思っていました」
私はそれを聞いて思わずイザベラを抱きしめた。
「きゃっ! 突然どうされたのです? 殿下?!」
「……イザベラが私以外の人の隣にいると思うと……イヤだと思って……」
正直に白状すると、イザベラがくすくす笑い私を抱きしめ返してきた。
「ふふふ。私もイヤです。殿下が他の方と一緒にいらっしゃっるのを見るのは……」
私は腕の中のイザベラに語りかけた。
「ねぇ、イザベラ。イヤなこととか、不安なことがあったらこうして伝えて」
イザベラが呟くように返事をした。
「はい」
私はその返事を聞いてさらに続けた。
「嬉しいことも、好きなことも伝えて」
「はい」
そしてイザベラの顔をみるとイザベラが微笑んでくれた。
「好きです。リード殿下」
「え?」
私は顔が真っ赤になるのを感じた。
笑顔で『好きです』なんて不意打ち!!
そしてイザベラは最高の笑顔で言った。
「大好きです」
「~~~~~~~~~!!!!!!」
私は思わず倒れそうになった。
最高の笑顔と『大好きです』は爆薬級の破壊力だった。
私は動揺して慌てながら言った。
「私もイザベラが好きだよ!! 大好きだよ!!」
きっとすごくカッコ悪かったと思う。だがイザベラは真っ赤な顔で微笑んでくれた。
私はチラリとイザベラを見た。
「イザベラ、…キスしてもいい?」
するとイザベラは照れながら「どうぞ」と言って目を閉じてくれた。私はイザベラに口付けた。
そのまま私たちは互いの額を付けた。
「イザベラ……私は明日からしばらく休暇なのだけど……」
するとイザベラが小さく笑った。
「ふふふ。私もです。」
そして私はもう一度、口付けて言った。
「え……と、その…色々とその覚悟してね? イザベラ?」
その問いかけにイザベラは真っ赤な顔をして頷いてくれた。
そして私は再びイザベラの唇に自分の唇を重ねた。
すれ違った時が長かった私たちだが……。
もう離れることはない。
なぜなら……私は壊れた彼女でさえ、手放して上げられないほど、彼女の全てに溺れているのだ。
【リード殿下side『君を救えるのが婚約破棄なら、それしか選べない』完結】
終わりが婚約破棄ならば……始まりも婚約破棄なのかもしれない 藤芽りあ @happa25mai
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