喪われても、その『沼』は、傷つけられた心をひそやかに迎え入れる

おばあちゃんが話してくれた、お姫様と沼の精との物語。
幻想的なその物語の結末は、どうしようもなく冷酷で悲惨な史実と入り混じり。
それでも水の底の美しい世界は、血と欲望に穢れた世界と、かすかにどこかで繋がっている。
そんな、はかなく哀しげに、それゆえに美しい夢が、ここにきらめきを湛えています。