ヨーロッパの歴史と文化をたくみに織り込んだ美しい世界。
そして、争いの悲惨と哀しみを、真摯にして冷静に描く筆致。
実に鐘古さんらしい力作だと感じました。
冒頭の語りはじめが、白ユリ姫の物語の末尾を染めるフス戦争から二百年が経過したドイツ三十年戦争のただ中であり、またその中へと戻ってゆくという構成の緻密さと劇的さに、ただ茫然とせざるを得ませんでした。
小瓶のなかの沼さえも喪われてしまいましたが、それでもどこかに水の館があって、ヴォドニークの腕に抱かれた小箱が眠っているのだと信じたくなります。
作者からの返信
武江さん
物語の背景に横たわる歴史と文化、そしてファンタジーをしっかりと受けとめて示唆してくださる素晴らしいレビューコメントを、ありがとうございます!
私らしいと言っていただけて、伝説や神話など普遍的な語りに寄せながらも個性が発揮できたのかなあと、とても嬉しい気持ちです(#^^#)
また、フス戦争と三十年戦争をそれぞれの時代背景として重ね合わせた点も、「構成の緻密さと劇的さ」と感じ取っていただけて、大変光栄でした。
醜悪な争いや悲しみばかりが受け継がれるのではなく、それに抗う美しいやり方も人々の心には伝えられる……という表現ができていたらいいな、と思っていましたが、レビューコメントで頂いた「ここにきらめきを湛えて」という部分が、まさにそうではないかと感じました。
お読みいただき、ありがとうございました!
悲しい結末なのに、どこか美しいお話でした。ただのお伽噺で終わらせず、醜悪な現実にリンクさせているのが見事ですね。他の作品と同じく、このお話もとても好きだと感じました。
こよみさんの作品って、なんだか額に入れて飾りたくなるんです。この作品も……。イメージカラーはもちろん沼色で☆
作者からの返信
圭以さん
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
悲しさと美しさを同時に感じていただき、好きと言ってくださって、すごく嬉しいです。しかも、額に入れて飾りたくなるですとう……!?
わああ、なんて素敵な感想を頂いてしまったのでしょう♡
画家・橋本圭以作「沼にて」というタイトルの、ヴォドニーク伝説をモチーフにした絵画が額に入れられてウフィツィ美術館に飾られているところまでは想像しました。沼の濃淡が美しいー!(≧▽≦)
編集済
仔細は忘れてしまったのですが、昔読んだ神話学の本に「神話は必要性があって語り継がれる」といった趣旨のことが書かれていました。
共同体のルールを伝える神話が語り継がれていたのであれば、つまりその守られるべきルールが侵されつつあったということです。その本ではあくまで神話の話でしたが、伝承や物語にも共通の機能、役割があると思います。
親から子に、本来侵されざるべき尊厳や魂だけでも守らなければならない、と語り継がれる物語があるとすれば、その子の先に待ち受ける運命の凄惨さは如何ばかりでしょうか。そして白ユリ姫の物語の中でさえ、「小箱に閉じ込める」=「外界から閉ざす」という形でしか魂を救うことができないのが遣る瀬無いです。
悲惨で救いのないお話ですがどこか美しさを伴っていて、読んでいて引き込まれました。
ヴォドニークが親子の心に僅かでも救いを与えてくれることを祈っています。
素敵な物語を読ませていただきありがとうございました。
作者からの返信
栄さん
その神話学の本、興味深いです!
同じことは民話や童話にも言えると思っていて、長い時をかけて洗練され、凝縮された生きるための知恵や歴史の真実が、そこには必ず隠されているのだと思います。
時代や環境が変わっても決して変わらない本質的なものが、残っていくのだろうなあと思います。私が書いていきたいのも究極的にはそういうお話で、いろいろなものを削ぎ落して磨きをかけると、自然と神話や伝説風の物語になっていくのが面白いです。
「小箱に閉じ込める」=「外界から閉ざす」という解釈はおっしゃる通りで、それしか選択肢がないというのは、悲しいことですよね。
現実世界でも、たとえば核兵器のボタンが押された時の地下シェルターだったり、パートナーのDVから逃れるためのシェルター組織だったり、外界から逃げこめる場所があるだけ良かったけれど、本来はそんな場所に行かなくてすむ方がずっと良いというパターンがたくさんあると思います。
そうした空気をしっかりと感じ取ってくださって、嬉しいです!
暗い結末ですが、美しさを感じ取り、引き込まれたと言っていただけたことも、とても励みになりました。
こちらこそ、深く考察してくださって、本当にありがとうございました<(_ _)>
読むのが遅くなってしまい申し訳ございません。
白ユリ姫のあまりにも残酷な結末に言葉を失いました。
二つの悲劇のうち、必ずどちらか一方の結末を選ばなければならないとしたら……。
そういう救いの無い選択を迫られた場合、人はどうするのか。
それはとても酷いことですが、実はまだ選べる権利が与えられただけ白ユリ姫は幸運だったと言えるのかもしれませんね。
またヴォドニークについては、彼は恐ろしい魔物には違いないものの厳格な掟に縛られた存在であり、ちゃんとルールに乗っ取って彼女の魂を手に入れたと言えるのではないでしょうか。そう考えるとこの物語の中では魔物よりも人間の方がずっと悍ましい無法者であると感じました。
今尚、この世界では無秩序で無慈悲な争いにより善良な民が悲劇の結末を選ぶことすらできずに犠牲になり続けています。
どうか少しでも多くの人がその災厄から逃れて一片の幸せを手にできる世の中が来ますように。そう願わずにはいられない作品でした。
いつも素晴らしい作品を読ませていただきありがとうございます。
作者からの返信
那智さん
遅くなったなんてとんでもない。読後感の良くない話にも関わらず、読んでくださってありがとうございます!
しかも白ユリ姫の結末について、真摯に考えていただけて、大感謝です。
死んだ方がマシと思えるほど残酷な事態というのが、特に戦場では数えきれないほど起きるものだと思います。
「どうやって生きるか」ではなく「どうやって死ぬか」を考えざるを得ない状況に人を陥らせてまで、何を手に入れたいのか。
ヴォドニークは魔物ですが、おっしゃる通り、ルールを守りました。
では人間の守るべきルールは何か? どうやら神様が決めてくれるわけではなさそうなので、自分たちでしっかり、踏みとどまるべき境界を決めなければいけない……そんなことを思います。
作品の枠を超えて、現実世界の今ある犠牲にまで思いを馳せていただけて、とっても嬉しいです。物語にそんな力があるとしたら、これからも書くことに誇りを持っていけそうな気がします。
嬉しいコメントを頂いた上に、お、お中元まで!!
ありがとうございます、大変励みになります!<(_ _)>
想像していたものとは、まったく違ったラストに驚きました。
救いは物語の中には無く、これを読む人々が、その手で成すべきものだと……。そう感じました。
色々と想いの残る、深い物語でした。ありがとうございます。
作者からの返信
イルカさん
いろいろ注意喚起していたつもりなのですが、幻想的で美しいだけの物語ではなく、ショックを与えていたらすみません(*_*;
物語ではなく、現実世界の人々の手による解決を……と感想を抱いていただけたこと、ありがたいです。最終的には、それしかないんですよね。
そう簡単にいかない現実を、追い詰められた人々がどう乗り越えていくのか、そうした姿の一部に想像を寄せることで、現実に良い影響がもたらされたらと願います。
お読みいただき、ありがとうございました!
編集済
涙が出るのです。
今、自分の心の表面にくっついたものを、言葉にするのは難しいことではないのだけれど、こよみさんがその一番奥底で望んでいるものを想う度に、私の心は痛むのです。
愚かな争いのない世界はやってきません。
あなたがどんなに強く望んでもきません。
私達が人間である限り。
そう、あなたの両手を握りしめ、言ってあげたい。
そして、それはあなたのせいではないのですよ、と。
それをとっくに知っていて、それでも私は書くのだと、仰るあなたには敵わないのだけれど。
作者からの返信
緋雪さん
涙させてしまってごめんなさいと言うべきか、泣いてくださってありがとうと言うべきか、正解がわからないのですが、読んでいただけたことがまず嬉しいです。
その上にすごく真摯なコメントを、ありがとうございます!
緋雪さんのおっしゃることは、まったくその通りだと思います。
逆に平和なだけがいいかというと、歴史を学ぶたび、争いごとが人類をここまで発達させてきたのだという現実にもぶち当たります。
限られた大地に生きる以上、野生動物の間にだって、争いごとは必ず発生するのです。
でも、それが本当に生きるための必要な戦いであるかというと、とてもそうは言えない部分まで人類は逸脱してしまいました。
それを仕方ないと諦めるか、声を上げ続けるかは、各人が選び取ること。
ならば私は後者でいようと思っているのは、確かに感じ取ってくださった通りなのです。
緋雪さんは丸っとぜーんぶお見通しなのね! と驚くと同時に、両手を握り締めて言ってあげたい……という部分に、ウルッときました。
いつも親身なコメントをお寄せくださって、本当にありがとうございます。緋雪さんの感じる力のすごさに、改めて尊敬を覚えます。
また、今月もギフトを頂戴し、ありがとうございました!
編集済
「――ヴォドニーク、ヴォドニーク
――私を小箱に隠しておくれ」
「小箱に何を隠しているの」から変わるここ、とても良かったです。
文章や描写が美しく、辛い話なのですが一気に読めました。
童話的な世界の中に、どうすることもできない弱者の苦しさをきちんと書ききっていてすごいと思いました。
そこまで詳しくはないですが^^;私もチェコ好きなので、チェコのお話嬉しかったです。
作者からの返信
なおさん
歌の部分、気に入ってくださって、嬉しいです!
気持ちや環境の変化が歌でも見えるといいなあと思っていました。
チェコがお好きなんですね、仲間ー♡ そんな方に読んでいただけて、良かったです(´▽`*)
本当は美しいものが蹂躙されていく悲劇なので、綺麗なものや水底の描写は楽しいけれど悲しいという、複雑な気持ちでした……でも、頑張った点をお褒めいただけて、励みになります!
お読みいただき、ありがとうございました✨
拝読させていただきました。
帰宅途中の電車で一度途中まで読みすすめていたのですが「あ、これはちゃんと向き合わないとダメなやつだ」と少し時間をかけてしまいました。その分、こよみワールドを十分に堪能させていただきました。
奪われる者たちがどのような思いでその世界で生きていくのかということをとても考えさせられるお話でした。
乱食い歯の男にしてもヴォドニークにしても、何かを奪っていくのですよね。ただ、そこにどんな気持ちがあるのか。受け入れることができるのか。
今回私が特に気になった表現は「沼の色」でした。
ヴォドニークとの邂逅の中で、深く美しい色合いから、話中で陰ってしまった沼の色でしたが、最後のシーンではどんな色味だったのか。
>ヴォドニークは沼色の目で
ここで中立に読者に色味を委ねるのがさすがやなぁ。
もちろん、深く美しい碧でした。
作者からの返信
葉さん
じっくり腰を据えて読んでくださって、ありがとうございます。
ワールド全開にすると往々にしてエンタメから逸脱するのですが、たまに片鱗を見せてもこうして受け入れてくださって、とても嬉しいです(*^^*)
奪われる者の立場に思いを馳せてくださったのですね。ヴォドニークも魔物の理で生きており、姫に思いやりを持っているわけではないのですが、絶対的な境界を侵してはいけないことを知っています。そこは人間よりずっと厳密なのだと思います。
秩序も何もかも滅茶苦茶で、人権などゼロに等しい世界で生きるようになった時には、そんな魔物の理すら救いに思えてしまうのではないか。
高度な文明を築くより自然の一部として生きた方がずっと幸せと思えてしまう悲劇を描きたかったように思います。
沼の色に着目していただき、いつもながら細部まで読み込んでくださって、さすがだなあ~と感じ入ります。
おっしゃる通り、そこは深く考えたわけではありませんが、限定しない方が良いと思ってそうしました。
何が正解というわけではないのですが、深く美しい碧に感じてくださったのは、物語に美しさを見出していただけたからではないかと感じられて、作者としては大変嬉しいです。
お読みいただき、ありがとうございました!
鐘古こよみ様
読ませていただきました。
こよみ様にしては珍しい、ダークファンタジーだと思いました。
文章も描写も、さすがこよみ様と陶然とするほど美しく……。読後の深く沈むような鬱の感覚は群を抜いています。(賞賛しています) 私(読者)の魂はヴォドニークに沼の底に連れて行ってもらったかのようです。
物語が語られるのは、恐ろしいことが起きた時。ならば、もう決して語り継がれることはありませんように。そう願わずにはいられませんでした。
こよみ様の作品の中で一番、哀しみと鬱が濃い小説だと思いました。
こういうお話も書けるこよみ様は、やっぱり才能が底知れません。
素晴らしいです。
ありがとうございました。
作者からの返信
ブロ子さん
あの作品の後にこの作品、テンション急降下で戸惑われたことでしょう……! ガラスの心臓は大丈夫ですか? 申し訳ない~( ;∀;)
ダークファンタジー、あんまり表立って書くことはないのですが、元々はこういうことを考える方が多い人間です。でも、暗い現実を突きつけるだけでは多くの人の心を揺るがすことはできず、本当に伝えたいものが伝わらないと思うので、美しいことや楽しいことの中に一滴の真実や悲劇を織り交ぜることにしているんです。野生の勘ですが、その方が伝わるのではないかと思いましtて。
そんな中で、こちらの作品はおっしゃるとおり、ダイレクトに悲劇を描いた珍しいものかもしれません。
>語り継がれることはありませんように。
そう思ってくださるブロ子さんの優しさが、沁みます。
これがただ、魔物に魂を奪われた悲劇であると語られるようになったら、その世界はきっと平和で、誰にとっても安心なところなのだと思います。
鬱展開ですが、文章と描写を美しいと感じていただけたことも、意識していた部分なので、とても嬉しく励みになりました!
お読みいただき、こちらこそありがとうございました<(_ _)>
編集済
白ユリ姫とヴォドニークの伝説、これって捏造なんですか!? 本当に昔から伝えられているお伽噺みたいです。いやヴォドニークの言い伝えもこれが真説ということでよろしくおねがいします! 水の魔物ですよ、水も滴るいい男じゃなきゃ困ります(困るんかい) 河童とかカエル男とか不気味なのは嫌です、緑色でもかっこいいのはピッコロさんだけです……!
と、ついいつもの調子でコメントしてしまいましたが、まさかここカクヨムでフス戦争や三十年戦争を背景としたお話が読めるとは、想像もしたことがありませんでした。こよみさんの作品はSFでもファンタジーチックであっても、なにかしら史実や専門用語などが効果的に組み込まれていることで説得力があって、お話がリアリティをもって響いてくるから好きです。うん、やっぱりすごい。
ご存知かもしれませんが、フス戦争については『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』という漫画がとてもよくて、わかりやすかったです。チェコの人が実際に読んで作者と対談している記事も読みましたが、ツッコミどころも特にないそうで。フス戦争その他チェコの歴史についてはウィキペディアや他のサイトでいろいろ読みもしましたが、やっぱり物語として追える作品には敵わないですねえ(笑)
ヴォドニークは最後に魂を救ってくれたんですね。ヴォドニークもこんなぎりぎりのときでなければ魂を奪われ、小箱に閉じ込められるのは恐怖でしかないんだけども、でも彼は三年と、それ以上も望まれるのを待って……侵略し、蹂躙するだけの敵兵たちとは対照的ですね。小説や漫画に出てくる悪魔などもそうですけど、魔物って意外と律儀だったりしますよね(笑) 神はひたすら血腥いですけど。
そして、このお話を読むとなんともいえない鬱な気分になりました。。。400年、600年前の歴史の話じゃない。今のこの瞬間も争っている国があって、そこでは相変わらず脅迫として、攻撃の手段として、兵士への報酬として、そして単に非日常のストレスの発散として、性暴力が行われている。ニュースで視るたびに出ていた溜息ももう枯れました。
それでも、一日も早く世界中に平和が訪れる日がくることを、諦めずに祈り続けたいです。
と、こんなふうに考えさせられるお話でもあり、本当に昔からあるお伽噺のようでもあり、とても読み応えがありました。ブラボーです!
作者からの返信
千弦さん
>緑色でもかっこいいのはピッコロさんだけ
真理すぎてお茶吹きそうになりました。
こちらの伝説が真説でいいですか!? わあい\(^o^)/ やっぱり伝説に出てくる魔物はどこかしら美しくあってほしいですよね……!
(いろんな意味で)チェコを愛する者同士として、千弦さんに読んでいただけて光栄です!
私もまさか、フス戦争や三十年戦争についてなんの説明もなしにわかっていただける方がポンと現れるとは思っていなかったので、感激もひとしお。しかも『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』読んでる……!
私ももちろん集めているのですが、途中で読み止まっているんです。早く最終巻まで買わないと💦 しかし、その対談記事は知りませんでした。チェコ人も違和感ないのはすごい!
魔物って意外と律儀だったりするというのはその通りだと私も思っていて、彼らは彼らなりの筋をちゃんと通して生きている。そうしないのは人間の方で、悪魔の裏をかいて「出し抜いてやったぜ!」とかやっている伝説が結構あるので、モヤモヤします。助けてもらっといてその態度? 悪魔だからって騙していいの? と、何度思ったことか。
神という大義名分があると、本当にタチが悪いです。
悪魔に対してそうなんだから、同じ立場の人間同士では尚更のこと。
この作品を読んで、鬱な気分になりつつも、現在進行形の問題にまで思いを馳せてくださったこと、とっても嬉しいです!
日常でさえ簡単に起こる性暴力が、戦時中に頻発するのは想像するまでもないこと。時には民族浄化を謳って組織的に行われたりするんだから、本当にやるせないです。誰にでも必ず家族に女がいるはずなのに、どうしてなんでしょうね。
戦時中だから仕方ないと諦めてそれを受け入れた結果、戦後になってからそうした女性たちが差別されるという事態も現実に起こっています。一体彼女たちは、何に救いを求めたらいいんですか? という怒り、本当に答えのわからないもどかしさが、常にあります。そうしたモヤモヤに、自分なりに答えるとしたら、こういう物語を作るしかなかったんです。
いつも考えていることを、三題噺をきっかけに吐き出させていただき、千弦さんからブラボーまで賜って、思い切って書いてみて良かったです!
真摯に読み込んでくださった上に、たくさんのコメントを、ありがとうございました!
<(_ _)>
ヴォドニークより恐ろしいのは人間。最後に登場する母娘の行く末を想い悲しくなります。ヴォドニークの箱に仕舞われることによって清らかな魂は救われるのでしょう。その物語が心を守る術だとしたら、切ないです。
美しくも悲しいお話でした。読ませて頂き、ありがとうございます。
作者からの返信
めぐるさん
最後の母娘のような人たちは決して物語上の登場人物ではなくて、今も現実に存在していると思うのです。そして、もし自分がそんな立場になった時、子供たちに何をしてやれるのかなと時折考えます。
物語で救われるというのは、理想が過ぎるかもしれませんが、本当に何もなくなった時に、せめて心の中で美しい物語を思い浮かべることができたらと思いました。
こちらこそ、お読みいただき、ありがとうございました!
読後感、確かに明るくは無い、ですが、けっして悪いものとは思えません。
辛く、美しいものと、やるせない切なさと。
ありがとうございました。私も、読めて良かった。嬉しく思います。
……ヴォドニーク、私の知ってるアイツとは別物なのにゃ……。
作者からの返信
ねこさん
読めて良かったとのお言葉、大変嬉しいです!
読後感も途中に起こる出来事も深刻なものですが、美しさも感じ取っていただけて、人間がたった一つ救いを求める時の真摯さ、純粋さのようなものが書けていたのかなと、安堵しました。
ヴォドニーク、現物(?)に近いのは恐らくカルドセプトの方です……!
お読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
哀しくも美しい……うまく感想が書けませんが、良かった……読めて良かったです。
淋しくて哀しい、清らかな水の魔物よりも、もっと邪悪で恐ろしい醜悪な魔物が、今この世界にはウヨウヨと蔓延っている……心が痛いです。
作者からの返信
成生さん
ご感想、言葉にできなくてもこうして書いてくださって、読めて良かったと感じていただけたこと、とても嬉しいです!
私もなんでこんな話を書いたのかうまく説明できないのですが、神の名のもとに何度も醜悪な行為が繰り返される現実で生きていたら、一体どこに救いを求めたらいいのだろうと考えました。
白ユリ姫がヴォドニークと迎えた結末も幸福ではないのですが、ボロボロになった肉体ではなく魂=本当の自分を見てくれる相手がどこかにいると考えることは、一種の救いになるのではないかと思いました。
絶望以外に何も持たない人々が、最後に救いを得られるとしたら、そういうファンタジーなのではないかなあと。そんなことを考えて書いたのだと思います。
お読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
運命に翻弄された哀れなお姫様。
魔物に魅入られたことは
不幸としか思えないけれど、
彼と一緒に眠りにつくことで、
最後の最後に安らぎを手に入れたのだと信じたい。
弱いもの、非力なものは
食い物にされてしまう現実。
そうじゃない世界を作ることが出来るのは
神か、悪魔か、それとも人か…?
他力本願じゃ駄目ですね。
でも…無力しか感じない。
(鬱コメントになってしまった…)
青褪めた美しい伝説でした。
とっても素敵な作品だと思います。
作者からの返信
はるさん
こちらもお読みいただき、ありがとうございます。
鬱コメントになってしまうのは、この作品が鬱だからで、はるさんのせいではないのです。それなのに素敵なご感想をくださって、とっても嬉しいです……!
小箱に閉じ込められるのだとしても、暴力的な自由が蔓延る世界に奪われる者として存在するよりは、姫は幸せになれたのではないか。
私もそう信じたくて書いたのですが、本当はそれでは駄目で、非力な者ほど自由を謳歌できる世界を目指していかなくてはいけないのだと思います。
完全には無理でも、道半ばでも、そちらに傾く努力はすべきじゃないかなあと。
脈々と受け継がれる伝説には何か、そうした願いが込められていてほしいなあと、そういう気持ちで書いたものです。
青褪めた、という表現がこのお話にぴったりで、水底の風景が目に浮かびました。
素敵に表してくださって、ありがとうございます(*^^*)