えらぶもの

自慢してみろよ その状態で

　はあああ。

　ため息からはじまる世界観で生きているとこの役割を続けることに嫌気がさす。

「貴様の未練の重さ、実に強き力となるだろう。さあ、我がために使うがいい」

『えらぶもの』として探しに探しつづけ見つけた人間へ力を手渡して計画を実行してもらう。

　人間が調子に乗らないよう人間を使って繁栄（はんえい）を邪魔させる仕事を四月に与えられてしまい、こっちは人間じゃないのに人間のような労働を強いられて人間をあやつるなんて本当になぜ存在しているか分からない人間に使う労力とは一体なんだと今日も練界（れんかい）で愚痴るかもしれない。

　上から目線なわけじゃない。

　それならこんな役割をいやいや続けていない。

　金欠だからやっているだけ。

　人外（じんがい）に通貨なんてないだろと思われるかもしれないが変に人間を真似る人外として産まれたのだから嫌な話だ。

　はやくこの馬鹿な種族と人間から離れて一人で暮らしたい。

　幸い人間にはある面倒なシステムがなくても子孫は増やすことが出来てしまうとはいえあまり人間へ強気に出られないのが自分たち種族の良心だと思っている。

「ちっ」

　舌打ちからはじまる会話でストレスを減らす。

　人間も自分たちも嫌な生き物でしかないのだから。