第53話 みんな一緒。


朝、起きて。


窓を、少し開けて。。。


清んだ空気を、胸いっぱいに吸い込む。


「おはよ。。。あけみ。」


「ん。りさが、しおりよりも、

早く起きるの、珍しいね。」


「んー。何か起きた。」


猫の様に伸びをして。


りさが、あたしにくっついた。


「んー、今日もいい匂い。」


「もう。ほんと、りさは子供みたい。」


「ふふっ。じゃあ、あたし、あけみの、

子供で、いいや。」


「同い年の子供って、どういう、

設定よ。」


「こう言う設定だよ。」


「ふふっ。変なの。」


暫く、りさとじゃれあって。。。


「あー。二人ともずるい。」


振り返ると、しおりが、むくれてる。


「ふふっ。」


「あはは。」


あまりにも、しおりが、可愛くて。


「ほら、こっちおいで。」


パタパタと、小走りで、しおりは、

あたしの腰に抱きついた。


すんすんと、しおりも、匂いでは、


「あけみお姉ちゃんの匂い、

落ち着く。」


「もう、しおりも。」


そんなしおりに、苦笑い。


暫く、三人で、何を話すでもなく、

ゆっくりと、外を眺めて。。。


凄く、心が落ち着いて。

とても、穏やかな気持ちになる。。。


「ねぇ、二人とも。そろそろ、

ご飯にしようか?」


「昨日の、すき焼きの残り、

食べないとね。」


りさが、スッと立ち上がると、


しおりも、それに続いた。


あたしも、その後ろをゆっくりと、

ついて行く。


鍋に火をつけて、沸かした所で、

卵でとじる。


すき焼きの卵とじ。


それを、みんなで、ご飯にかけて。


「いただきます。」


少し、七味をふって、食べると、

体がポカポカ。


「あけみ、あたしにも。」


りさが、真似をすると、しおりも、

七味を、かけて食べる。。。


「あたたまるね。」


しおりが、にっこりと笑うと、

あたしも、りさも、思わず微笑んだ。


お腹も満たされて、少し休憩して。


帰る支度を整えて。


二人を見つめながら、あたしも、

鞄に、荷物を詰め込んだ。。。



「帰る前に、お風呂するでしょ?」


二人の、片付けが、終わった所で、

あたしは、二人に声を掛けた。


「うん。」


二人とも、子供みたいな顔で、

あたしに返事をすると、あたしの手を、

二人で、引いて、お風呂場に。


「ふふっ。何なの?そんなに、

しなくても、お風呂は逃げないよ。」


服を脱いで、お風呂に行くと、

桶の中に、あひるさん。


「ふふっ。何これ?」


「しおりが、最後のお風呂は、

あひるさんと、

入るって買ったんだよ。」


「えへへ。」


凄く嬉しそうに、笑う。

そんな、しおりを見ていたら、

何だか、あたしも、嬉しくなった。


「あひるさんかぁ。。。」


体を、シャワーで流すと、

桶の中の、あひるさんを、投入。。。


プカプカと、小さな、あひるさん。


湯船に浸かると、目の前に、

あひるさん。


こんな風に、おもちゃを持って、

お風呂に入るなんて発想は、

あたしや、りさには、無いものだ。


「小さい時ね、こうやって、私、

あひるさんと、入ってたの。」


「へぇ。」


思わず、口からそうこぼれた。


「じゃあ、あたしも、子供が出来たら、

その子と、

あひるさんで、遊ぼうかな?」


「ん。あけみ、そう言う相手、

見付かったのか?」


興味ありそうに、見詰めるしおり。。。


「ん。いないよ。そんなの。

でも、何かさぁ。そう言うのも、

いいなぁって、思った。」


「なぁんだ。」と、何か嬉しそうな、

りさ。


「あけみお姉ちゃんが、誰かに、

取られちゃうって、心配しちゃった。」


「全く、

二人とも、何、喜んでんのよ。」


ため息混じりに、あたしは、二人に、

そう言った。


「だって、あけみお姉ちゃんに、

そう言う人出来たら、一緒に、

お風呂に入れなくなっちゃうもん。」


ちょっと想像しただけで、

へこむしおりを見ていたら、

あたしの、彼氏とか、結婚て、

まだ、先かもと、思って。


「はぁ。」とため息。


「まぁ、もしもの話じゃん、

りさだって、しおりだって、

彼氏とか、結婚とか、いつあっても、

おかしくないんだからね。」


「まぁ、確かにそうだけど、

あたしは、あけみと、しおりと、

もう少し、このまま一緒にいたいよ。」


りさも、少し、しんみりとして。。。


「ふふっ。何だかなぁ。。。

だけど、あたしは、自分の子供も、

見てみたいし、りさと、しおりの、

子も見てみたい。そしたら、

きっと、賑やかになるもん。」


二人とも、あたしを見ると、

少し、ぽかーんとして。


「まぁ、確かに。そう言うのも、

幸せそうだね。」


そう言って、りさが、微笑んだ。


「子供かぁ。」


と、しおりも、ポツリ。


でも、あたしは、自分で言って、

何だけど、知らないうちに、

自分の口から、家族を持ちたい

みたいな、話を言った事に、

ちょっとびっくりしていた。。。


「じゃあ、子供が出来たら、

洋食屋で、みんなで育てようよ。」


りさが、ポツリとそう言った。


「それは、いいかも。」


しおりも、嬉しそうに、呟いた。


「なるほど。」


三人で、顔を見合わせると、

にっこり微笑んで。


「あたし達の、旦那さんは、それに、

付き合ってくれる人じゃないと、

駄目だね。」


みんな、同じ事を言うから、

何だか、楽しくなって。


「まぁ、あたし達の輪に、

入れる事が、条件だから、ハードル、

結構高いね。」


そうあたしが、言うと。


「そうだね。」


りさが、そう言って、微笑んだ。


「そんな、彼氏いる?」


しおりが言うと、あたしも、りさも、


「どっかには、いるんじゃない?」


そう言って笑った。


あひるさんを、手ですくうと、

何だか。。。

自分にも、りさにも、

そんな話をする日が、くるなんて、

想像出来なくて。


でも、そう言う幸せを、今なら、

感じられる。


これも、普通なんだ。。。


そう思った。


りさが、あたしの前にちょこんと、

座ると。


「あけみ。」と一言。


なるほど。。。


「はいはい。」


取りあえず、りさを抱っこして。


りさが、しおりを抱っこして。


「ふかふか。。。」


二人が、声を揃えるから、

あたしは、思わず吹き出した。


「あけみ、あたしさ、あけみが、

選んだ人なら、反対しないからね。」


りさが、そう呟いた。


「あたしも、りさが、そう言う人、

連れてきたら、反対しないよ。

でも、観察は、するかも。」


「観察?それじゃ、お母さんじゃん。」


「あはは。」


しおりが、笑って。


「あけみお母さん。」


嬉しそうに、そう言った。


「じゃあ、あたしも、あけみが、

彼氏出来たら、観察する。。。

しおりの、彼氏も。」


「うん。私は、付き合う時ね、

付き合う事があるなら、お姉ちゃん達に

真っ先に、紹介するね。」


しおりが、真面目に、そう答えた。


「ふふっ。わかった。」


あたしは、しおりにそう答えると、

身体を洗いに、湯船から先に出た。


そうすると、アヒルの親子の様に、

二人が着いて来て。。。


結局、三人で、洗いっこ。


何だか、そんな事も、本当に楽しくて、

幸せだ。。。


その後、少し湯船に浸かってから、

お風呂を後にした。。。



「はぁ。。。のぼせた。」


最後だと思って、少し長く入り過ぎ。


窓を開けて、外の涼しい空気で、

二階の、ベッドの上で、三人で、

身体を冷ました。。。


風が、フワッと窓から流れると、

ひんやりして、とても、気持ち良い。


「お風呂、入り過ぎたね。」


あたしが、そう言うと。


「うん。でも、風が気持ちいい。」


りさが、そう言うと、


「また、来ようね。」


しおりが、嬉しそう微笑む。


暫く、そのまま。。。


汗が引くと、りさが、


「喉かわいたね。」


そう言って、アイスコーヒーを、

作ってくれた。


りさのアイスコーヒーの、

スッキリとした美味しさに、

あたしも、しおりも、


「美味しい。」


と、自然に言葉が漏れた。


「ふふっ。」と笑顔の、りさ。


美味しいアイスコーヒーの、

おかわりを、貰ってから、

暫く、三人で、くつろいだ。


「幸せだなぁ。。。こう言うの。」


りさが、ポツリ。


しおりも、りさを見て、微笑む。


そんな、あたしも、二人を見て、

微笑んだ。


「あけみ、また、来ようね。」


「うん。何か、ここ、落ち着くよね。」


「うん。私も、このログハウス、

大好き。」


「じゃあ、決まり。年内に、また、

来ようね。」


三人で、にっこり微笑むと、

あたし達は、ログハウスに、

感謝をこめて、掃除して。


「また来るね。」そう言って、

ログハウスを、後にした。。。


帰りは、みんなで、交代しながら、

ゆっくりと、帰る。


新しい、アザラシを連れて。

みんな、一緒に。。。
















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