あとがき・ネタバレ
【鏡の国のマリー】をお読み下さり、誠にありがとうございます。
本作は、作者が百貨店のガラスに映る自分を見て、
「あ。中学生の時に見殺しにした友達とかが鏡の中に居たら青春だな!」と思ったことから生まれました。
作中には、作者の思う“とっておきの時間”を詰め込んでいます。
夜の学校に友達と忍び込んで、七不思議に挑戦したり。
ちょっとマセた中学生と、夜のファーストフード店に行ったり。
自転車に二人乗りして、夜の街を駆け抜けたり。
友達と背中合わせの共闘で、悪魔に打ち勝ったり。
マリーと共に、煌めく時間を体感していただけていれば、何よりです。
さて、まずはマリーが吸い込まれた鏡の世界について。
あの世界は悪魔が作り出した、「マリーの見たい現実」を映したまやかしの世界です。
愛嬌はあるけど世話の焼ける後輩と、理想の先輩がいる世界。
鏡の悪魔なので、文字を反転させたりしようとも思ったのですが……パソコンや飲食店のメニュー表で気付くな~と、そういう描写は入れませんでした。マリー自身、あの世界では認識が歪んでいるので。
まやかしの世界に、手を加えるマコト。
街から中学校への道は、マコトがマリーの脳内イメージから、繋げました。自動販売機はマリーのイメージにあったから使っただけ。お汁粉飲みたかったし。
*
そんな不思議な世界に介入できたマコトとは……
最終話で明らかになったように、その正体は神様でした。
鏡がご神体で、人の姿を映しとったり、攻撃を反射したり、もう一つの世界と行き来出来たりします。
マコトは信仰ある限り、生き続ける存在。
既に数百年の時を過ごし、その中で数多の出会いと別れを経験してきました。(今はマサトの姿を借りていますが、どのような姿にでもなれます。姿を借りている時は、普通の人間と同じように目視可能。最終話では姿を隠していましたが、マリーの想いに応え、マサトの姿を借りて現れました。)
マリーの祖母は、かつて彼が密かに恋心を抱いていた相手。
祖母は子供の頃からずっと視える人で、自分が生きている間はずっと、マコトの好きな甘味を供え続けていました。自分の子や孫を守ってね、と無邪気に祈る残酷な女性。まあ、それを穏やかな気持ちで見守ることができる位には、優しく淡い感情でした。
神社によく連れられてやって来た幼少期のマリーを、彼は知っています。
大切な人の孫の危機に、鏡の世界に救出に向かったマコト。
昔よく自分のお供え物を奪おうとしていた幼子が、あっという間に成長していて、ちょっとは彼女の祖母の面影もあったりして……色々思うところはあれど、何しろ生きてきた時間が違う。達観しているので、飄々と接します。(どんどん乱されていくけど)
人間の儚さを知っているので、軽々愛だの恋だのは口にしない。ただ、マサトの真似をしたりマサトと過ごしたりしている内に、思春期の少年の感情に影響されてしまっています。
人間に関わると、いずれ悲しい思いをするのは自分なのに……なんだかんだ人間が好きな神様。
*
本作の主人公であるマリーは、思春期をこじらせた少女。
鏡の世界では大人の女性ですが、メイク状態に慣れていなかったり、大人の女性に対するイメージのリアリティのなさが、真相への伏線になっています。(仕事終わりに「駅ナカでちょっと良いお惣菜を買って帰り、ドラマを見ながら晩酌をしよう。半身浴とパックをして、アロマを焚いてぐっすり眠ろう」とか、夢見がち)
恋愛経験値も初心な中学生レベルなので、押せ押せなSにたじたじ。
実年齢的に同年代(に見える)マコトには親近感を覚えたり、色々意識したりしていました。大人に憧れるマリーは子供っぽい男子には興味ないけど、大人っぽい(数百歳)マコトは別だった。
何でも知っていて、何でも出来そうな彼に、信頼を寄せるようになります。
悪霊に追われるし、会社の先輩も怖いし……他に頼れる人が居ない状況って、めちゃくちゃ相手に依存してしまいそうですよね。
恋心は、元の世界に帰って来てから、本格的に自覚しました。
何度も思い出すことで、どんどん想いが高まってしまった。会えなくなってから好きになるって切ない。
鏡の世界で大人を仮体験した後は、精神的にちょっと成長して、素直な自分で居られるようになりました。
*
マコトが姿を借りていたマサトは、マコトと交流がある少年でした。
マサトは本人が語っているように、幼い頃からマコトに助けられ、からかわれ、一緒に遊んだりしていました。マコトにファーストフードのポテトを教えたのもマサト。今度はハンバーガーを持ってくるよ! と言い残し入院生活に。
入院してからも、マコトは病院にちょくちょく遊びに行っていた、そんな気軽な関係。
マサトはマリーと同じ高校に進むので、気になるのは高校生活!
マコトが時々マサトと入れ替わって登校し、マリーを驚かせたりしてたらいいなあ。
マサトも時々マコトのフリしたり。(マリーは気付くけれど)
粗暴なマコトと柔和なマサトが入れ替わるので、クラスメイトからは優等生と不良の二重人格なのでは? と噂されたり。
でも実は、真面目なのはマコトの方。マサトは優しそうに見えて実は喧嘩っ早かったり、腹黒だったりする。
そんな三人のわちゃわちゃ高校生活を想像しながら……あとがきを終えます。
最後までお付き合いくださり、本当に有難うございました。
【鏡の国のマリー】 夢咲咲子 @sleepism0x0
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます