異世界に行けるVtuberのあれこれ!

美澪久瑠

オーシション編

やりたいことないから超ヤバ倍率オーディションに応募してみた。#1

「うがー。」


季節は夏。

最高気温35度の猛暑日。

涼しい部屋でゴロゴロとベットでくつろぎながら変な声を上げているだらしない人影は、ベッドの上で前回りをして落ちるか落ちないか、自分で自分に賭けるという謎ゲームをやっている。


「落ちるだろうなぁ。」


そう呟いて前転をする女性。

頭おかしい。


「わぁー。」


落ちた。間抜けな声を出して。

これがなんにもすることがない人の末路だ。(個人の感想です。)


「コンビニ行こ。アイス食いたい。」


容姿を整えるために鏡の前に立つ。


「髪の毛切らないとなぁ。」


さて、ここで自己紹介だ!

頭おかしい暇人の名前は「戸賀瀬 萌とがせ もえ」暇人!

ニートではない。「暇人」という名の仕事をしている。

なんて言っているのかわからい?我も☆

年齢は20代中盤。

胸まで伸ばした栗色の髪の毛を首あたりで一つに結び、前髪は目まで伸ばしている。

ツリ目がちな目。真っ黒の瞳に宿っているのは「暇」この一文字。


「コンビニ行くだけだからな。これでいっか。」


シンプルな半袖真っ黒のパーカーに、真っ黒なジャージのズボン。真っ黒な靴下を履き、真っ黒なスニーカーを履く。

全身真っ黒な変人と変した萌は、元気よく外へ行…


「うわ。暑。ダル。」


ったわけではなく、小股でトボトボと家を出た。


「やっぱやめようかな。」


はい。さっさと行きなさーい。


「いらっしゃいませー」


無事にコンビニにたどり着いたと思っただろう。

あの暇人ニートの萌様だ。

何回も倒れそうになった。徒歩5分のコンビニのはずなのだが、25分もかかった。

汗ダラダラ。

パーカーびしゃびしゃ。


「…お客様?あの…大丈夫でしょうか…?」

店員さんに心配された挙げ句…


「おぉ〜…嬢ちゃん、汗すごいが大丈夫かのぉ?ほれ、冷たいお茶じゃ。遠慮せずの

みなさい」


ニッコニコの萌よりも元気でサングラスを掛けたおじいさんにお茶をもらい、出た言葉は


「…あざす。」


もっと社会性を身につけようネ。


お茶を飲んで、店員さんにもお礼(…あざす。)をして、アイスコーナーへ行く。

種類豊富なアイス。


「…これしかないやろ。」


他のアイスに目移りをせずに、手に取ったアイスは、世界一硬いと言われている「あずきバー」だ。

なかなか渋いチョイスをする。


「さっさと帰って我が嫁を食べるんだ〜!フフフ…」


キモい。嫁を食べる。その発想は本当にキモい。


レジにあずきバーを持っていったときに、店員さんにまだ心配されていた。

その時、萌はこう言った。


「あ、大丈夫っす。ハイ。本当に。」


今日も元気にコミュ障発揮してるね。よかったよかった!


家に帰った。

「あずきバー」及び「嫁」の力なのか、コンビニから家までをなんと3分で帰ったのだ。

もちろん汗ダラダラ。パーカービショビショだが。


「我が嫁!いっただきま〜す!」


家に帰った瞬間、エアコンが効いている部屋であずきバーを食べている。


「うまぁ〜!硬〜い!」


固いより硬い。この言葉が世界一似合うあずきバーを臆せず食べている萌は、とてつもなく勇敢だった。

しかもスマホをいじる余裕もある。


「ん?」


スマホイジイジ。ネットニュース読み読みしている時、なにかを見つけたらしい。


「大型Vtuber事務所オーディション決定…?」


Vtuber。

可愛い、かっこいいアバターを使って動画投稿、ライブ配信などをするもの。

最近はちゃんとした職業になり、稼げているらしい。

事務所に入ればしっかり「職業」として機能している。

最先端な職業。


引きも森出身のニート、戸賀瀬萌はVtuberはよく見ており、もちろんオーディション決定した、大型事務所のことも知っている。

が、見ているのは「タレント」のみ。事務所のことなんて全くわからなかった。

それもあり、最初はピンとこなかったこの記事も、あずきバーを食べているうちに、意味がわかるようになり…


「えぇぇ!?マジで言ってるんですかァァァ???」


近隣のことは考えず、思う存分叫びまくり、落ち着いたと思うと、もう一度叫ぶ。


「応募するぅぅぅぅぅ!!!!!!」

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