そばとスイカ

シノ

蕎麦とスイカ

その日の仕事を終わって家への帰り道を歩いた私は、新鮮という気持ちを感じたかったのだろう。なので、あれを作りました。いや、私にはあれを作るしかなかった。

歩きながら、休日の昨日の食欲を思い出した。昨日、確かに蕎麦食べたくてコンビニで買ったなぁって。それはインスタントのやつじゃくて、自分で作るやつだった、実際に作ってみると美味しくにはならないが、食べないほどまずいでもないやつだった。だから、今頃に家の冷蔵庫にその美味しくもまずくもない蕎麦は私を待っている。

それは、嫌だった。新鮮な経験が欲しがっている私は、昨日から待っている退屈なその蕎麦を許せなかった。しかし、お金に困っている私には、その蕎麦を食うしかなかったんだ、今更外食費を払える訳がないだから。家に辿り着いた私は冷蔵庫を開き、蕎麦を見つめていた、頭の中は嫌がりつつお腹が鳴いた。

自分の身体は迷う中、携帯電話は急に音楽を流し始めてくれた。農業をしている従妹という天使からの電話だった。もうちょっとでそっちに来てもいい?でかいスイカもあるからって報告をした。それを聞いて、私は決断をしました、待つことを決めた。お腹に逆らって、何も食べずに待つことだ。だって、今は夏だし、夏といえばスイカだし、スイカといえば新鮮でしょう?。蕎麦を食うしかなかった私には、他の選択は見せられた。

鹿を捕まる獅子の気持ちを、スイカは手に入れた時に私は分かった。が、その途端、蕎麦とスイカという二つの選択肢を持つ私の脳の中に、何かが動き始めた。

その何かとは何なのかはなんとなくしか分からないが、私にこう囁いた、化け物を作りなさいって。それは、醜い化け物ではなく、優しくて柔らくて甘い化け物だ。そのささやき声に、私の腕は支配された。左手は蕎麦をお椀に詰めながら、右手はスイカを小さい分に切った。最後に、二つのの食材を一つの器に混ざて、化け物は完成だった。私は化け物を見つめた、残るのは食べるだけ。

私はそれをした。その化け物は美味しくも、まずくもなかったが、新鮮だった。

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そばとスイカ シノ @Shino22

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