床屋の順番待ち
髪というものはいつの間にか伸びてきて、気がつくとかなり鬱陶しくなる。
そうでありながら、丸坊主にする勇気はないから難儀なものである。
そんなわけで、今日は床屋にやってきた。
壁も天井も白く、床がやや青い。
そんな床屋の店内で順番を待っている。
流れているラジオ番組から知ってる曲や知らない曲が流れてくる。
私の前にはまだ10人くらいの順番待ちがいる。
店に入った時点、もっと言えば外から窓越しに中が見えた時点でかなりの人数が入っているのが見えたのだが、私はよく考えずに入店して番号札を取り、今も待っている。
一応、ここがいつも通っている店であるのだが、他にも床屋があるし、入ったことがある床屋もないではない。
しかも、そこはここよりもだいぶ安いのだ。
加えて、ここは電子マネーが使えないし、クーポンもしょぼい。
髪型のバリエーションもそれほどあるわけではない。
それでもこうして順番待ちを続けている理由は、もはや自分にもわからない。
強いて上げるなら、髭を無料で剃ってくれるところだろうか?
ものぐさが祟ってシェーバーで処理できなくなるほど伸びた髭が綺麗になるのは気分がいい。
しかし、今の髭はそれほど伸びていない。シェーバーで処理できる程度だ。
なので、今日ここに来る理由は、やっぱりわからないままだ。
きっと、他の客や、私の後に入った客も同じなのだろう。慣れというのは恐ろしいものだ。
私が入店した時は、従業員が2人。
正直に言うと気が遠くなったものだが、いつの間にか3人に増えていた。
これならば、いくらか早く順番が回ってくるだろう。
小さい本棚には知ってる漫画や知らない漫画、そしていくつかの雑誌が小ぢんまりと収められている。
昔から床屋には雑誌や漫画が定番だが、スマホ全盛の現代では、それほど需要はないのだろう。
私も、スマホの充電に余裕があれば、そのままスマホで何かしらを見続けるのだろうが、最近はバッテリーの保ちが悪く、すぐに充電がなくなってしまう。
順番が来るまでバッテリーは保たなそうなので、目を引いた漫画を一冊、読んでみるとしよう。
日常風景の切り取り あらやしき @arayashiki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。日常風景の切り取りの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
春はあけぼの、夏は夜最新/mamalica
★112 エッセイ・ノンフィクション 連載中 303話
独り言を少しかしこく見せたもの/on
★3 エッセイ・ノンフィクション 連載中 10話
須川庚の日記 その3/須川 庚
★15 エッセイ・ノンフィクション 連載中 232話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます