プロットを細かく書くと、物語がダメになる

最近、短編を書くのにハマっています。

短いのでサクッと書けるし、書きたいことを熱量のままに書けるので、楽しいです。

そして構成の勉強として、起承転結から「プロット」を作ってから、物語を書きます。


しかしこの「プロット」。

細かく書きすぎると、物語がダメになります。


先日、私はプロットを細かく書いてから短編を書こうとしました。

具体的にはプロットの時点ですでに1万字あるようなプロットです。

それぞれの場面で、キャラクターのセリフや展開を簡単に書き起こしてありました。というのも「プロットの時点で書いておけば、本文執筆時に楽ができるのでは?」という目論見でした。

1万字あるプロットの推敲が終わり、さぁ本文を書くぞとなったときに……物語が書けなかったのです。あんなにセリフや行動が細かく書いてあったのに、全然書けなかった。というより、書く気になりませんでした。もちろん、キャラも物語も自分の好きなものですし、プロットの時点でよく出来た!と思いました。


本文が書けなかった原因を考えたとき、真っ先に思いつきました。「プロットの段階で細かく書きすぎてて、本文を書く意味ないじゃん」と。

小説を書く皆さんなら体感したことがあると思いますが、何もないところから本文を書いていくとき、頭の中からスラスラと言葉があふれ出てきて、バーっと書けるときがありますよね。俗に言う「ライターズ・ハイ」状態です。小説という長い作業は、マラソンのように興奮状態になることで、高いパフォーマンスが出せるのです。むしろ、そうなったほうがうまく書けることが経験上多いです。


しかし、プロットがすでに細かく書かれすぎていると、どうでしょう?

書く必要がないところを探す作業や、本文を直す作業、足りない言葉を補う作業――そう、これは「本文執筆」ではなく「推敲」なのです。それもたちの悪いことに、「本文が完成していない文章の推敲」になってしまっている。だから、本文を書いているというよりは「本文を直しながら書いている」のです。


以前、「推敲が大嫌い」という記事を書きました。

2023/05/31 小説の推敲つらい問題

https://kakuyomu.jp/works/16817330656107781807/episodes/16817330658157714647

本文を直しながら書くというのは、大変集中力が削れる作業です。直すと作るは同時にできません。絶対に一緒にやってはいけない作業だと強く思います。

しかし、気付けば陥っているのです。この「細かいプロットを書いてしまった」ために。


では、どうすればいいのか?

簡単です。「プロットを細かく書かないで、本文執筆時に自由に書けるようにする」のです。

私は非常に飽き性で、長編を書き始めても時間が経つと飽きます。具体的には1ヶ月です。この期間でアイディアから本文までを完成させないと、飽きて書かなくなります。

なので、自分の熱意をうまく利用して、プロットの時点で「あえて細かく書かない」ようにする。大まかな流れ(キャラや物語の方向性、自分がやりたいことなど)だけを書いておいて、本文を書く自分にパスする。本文はそのときに書けること、書きたいことを書く。プロットから逸脱しても構いません。プロット作成時の自分と本文執筆時の自分は別人だと思ったほうがいいです。


つまり。

「本文を書くときは、プロットに縛られず、自由に書こう」ということです。

プロットを書かないで書くのもいいのですが、それだと方向性がずれるので、最低限大まかなプロットは用意しましょう。しかし何度も言いますが、細かく書いてはいけません。お楽しみは後に取っておく。メインディッシュは空腹だからこそ美味しいのですよ。


あと、「アイディアを書き出さずに、脳内で妄想する」のも良いです。書くと満足して想像しなくなるので、書き出さずに考え続ける。そうすると、ある時点でふっとアイディアが降ってきて、「ここだ!」といてもたってもいられずに書き出す。このはじめ方はけっこう上手くいくことが多いです。ぜひとも参考にしてみてください。


本文を書く喜びを、もう一度感じてみましょう。


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