切華

 レイとリオは双子です。生まれる前はずっといっしょでした。

14ヶ月の時の風が強い夜に窓を閉めたらリオがいなくなっていたのです。


 レイはリオを14年間探し続けて、ようやく場所が掴めました。貴族地区から帰ってきた商人が「レイに似た女性がいた」というのです。ここから貴族地区へは遠いけれどリアが見つかるならばと、鏡を通りました。


 貴族地区は華やかです。入った瞬間に暖かな太陽光が指しますし、道端に生える草どもはレイのいた地区と同じものかを疑う程に青々としているのです。

「あら、見慣れないお方。どうされたのかしら?」

リオでした。この姿は見間違えることはありません。

「リオ……?」

そう言うと、彼女は

「なぜ私の名前を知っているの?」

本当に不思議そうに答えます。ただリオであることは間違いないようです。

リオにこの事を説明しても、信じてもらえるかはわかりません。レイは迷子のふりをしてリオがここにいる理由を探ろうと思いました。


 レイはリオの執事になりました。まだ、見習いに近いですが、顔が似てることがとても不思議らしく気に入られたようです。レイの他にはメイドのマリさん、リナさん、トクさんの3人だけのようです。


 彼女と話していて驚きました。リオはレイのことを覚えていません。それは想像がつきましたが、もうひとつ、リオは貴族地区で生まれたというのです。

それに、リオはとてもワガママに育っていました。なんでも、一つの国王女の娘らしいのです。レイはその王女に会わせてくださいと言った。リオは「お気に入りだから特別ね。」と会うことを許してくれました。


 リリオネ王女は、全て話してくれました。レイがリオの双子だと一目見て分かったと言いました。

「リオは拾い子です。私、病を持っていて、年齢なども重なって、もう子どもはできないの。その時にリオが迷い込んできて。あの子は、私の本当の子どもじゃないけれど、我が子の様に愛したの。リオがもし、レイさんと一緒に帰りたいというなら私は彼女の意見を尊重するわ。けれど、もし、ここにいたいというのなら、そうさせてあげてほしいの。」


 リオは言いました。「私はここが帰る場所です」と。

レイは決めました。2人はここに残ります。


 2人が貴族地区に残ると決めてから数ヶ月が経ちました。

 同時期、魔女の噂が流れ、怪しい者は1人残らず処刑される様になりました。


 あれからリオは溜めていた仕事を少しずつやるようになりました。その仕事っぷりに、周りの人々は驚いたそうです。全く仕事をしなかったあのリオ様が、急にやる気を出したのですから。


 突然、マリに聞かれました。

「魔女を殺せるのか?」と。

魔女なんていないのにと疑問に思いましたが、レイはすぐ、真実を知ることになります。


 メイドの3人です。リオが急にわがままを言わなくなって、仕事を始めたリオに違和感を抱いたそう。そして、噂の事もあり、リオは魔女と呼ばれるようになりました。


 魔女と呼ばれたことで、処刑の対象となりお城にいられなくなりました。

「リオを逃がそう。リオは魔女なんかじゃ無いから、大丈夫。」そう思って。


 「私海に行ってみたいの。」

希望を捨てきれずにいたレイにリオが言った。


 海に入れないから、塩味のする風だけ浴びにきた。


「ねぇ、レイ。こっちむいて。」

やけに苦いお口で。たくさん驚かされた中でこれが一番のドッキリだったなぁ、ははは。


 今年はいつも以上に鮮やかな花火が上がる。その鮮やかさを海面にうつして、2人から見えているだろうか。

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メモリー 黒園ゆうり @yu21ri

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