記念特別SS:ただイチャつくだけのお姫様

PV数1,000越え記念SS:お姫様はイチャつきたい

『響谷くんとイチャイチャしたい。家行っていい?』

「随分とストレートな要求の仕方だことで。OK、いいよ」

 …あれ、なんかこの会話ちょっと前にもした気がする。デジャヴってこういう事なんだな。

 そんな事を考えながら、結華が家に来るのを待っていると、またスマホに電話が掛かってくる。今度は葵からだ。

「もしもし、どした?」

『わり響谷、諸事情あって今週は家帰れねぇわ』

「うぃ、りょーかい。あんまし無茶すんなよ、倒れられたら困るのは俺だかんな」

『こっちのセリフだってんだ。まあともかく、体調崩さずにしとけよ』

「はいはい、そんじゃぁな」

『おう、来週月曜には帰るから』

「わーった」

 俺がそう返答すると、通話が切れる。

 …大丈夫かなぁ。…まあ、大丈夫か。



 結華に電話してから数分後、家のインターホンが鳴る。モニターに映ってるのが結華であることを確認して、家の鍵を開ける。

「いらっしゃいお、姫様」

「…むぅ、お姫様はやめて」

「はいはい、いらっしゃい結華」

「うん、お邪魔します」

 玄関で靴を脱いだ結華がそのまま手洗い場に向かう。…結華、荷物ちょっと多かったし今日は泊まんのかな。


 手を洗い終わった結華がリビングに来る。

「なんか飲み物とかいる?」

「いらない」

 ソファから立ち上がろうとした俺を、結華がソファに押し倒す。

「捕まえた」

「…捕まった」

 そして、そのまま結華が顔を近付けてきて、キスをする。


「…ねぇ響谷くん」

「ん?」

「…今日、泊って行ってもいい?」

「別に問題ないよ。っていうか、そのためにあの荷物持ってきたんでしょ?」

「うん、響谷くんなら許してくれるかなって」

「そっか」



 そしてまあ夕飯までイチャついて、夕飯を食べ終えてまたイチャついて…もうそろそろ入浴するくらいの時間になった。

「響谷くん、一緒にお風呂入ろ」

「…え、何故?」

「…響谷くんは嫌?」

「嫌…じゃないけどさ…」

「じゃあ一緒に入ろ」

「嫌じゃないけど嫌だ」

「…どういう事?」

「理性が持たなさそうだから」

「それなら大丈夫、響谷くんならいつでもどこでも何されてもいいから」

 そう言う問題じゃないんだよな…。

「とにかく、一緒には入らないよ」

「…むぅ」

「俺の精神衛生上よくないの」

「…分かった」

 そんな残念そうな顔しないで…。

「…じゃあ」

「じゃあ?」

「じゃあ、一緒に寝て」

「分かったよ」

「やった」

 結華が小さくガッツポーズをする。

「…それじゃ、先お風呂入ってきな」

「うん、分かった」

 そう言って頷いた後、結華が風呂場の方へと向かう。

 …あ、結華着替え持ってってないじゃん。

 ソファから立ち上がって、結華の荷物から着替えを取り出して風呂場に向かう。


 俺が脱衣所のドアに手を掛けようとした瞬間に、結華が先に内側からドアを開けた。

「「あ」」

 一糸纏わぬ姿の結華と目が合って、思わず目を逸らす。

「…きゃ、えっち」

 …こんな状況でもデジャヴを感じるのはなんでなんだろうか。…前は下着姿だったっけ。

 って、そうじゃなくて。

「着替え、持ってきたから」

「うん、ありがとう。私も今取りに行こうとしてたところだったから」

「…その状態で?」

「…?うん」

「…えぇ…寒くないの?」

「…確かに、バスタオルくらいは巻けばよかったかも」

 …まぁ…それくらいしてくれれば…いいのか?

「…一緒に入る?」

「だから入らないって」

「…こっち見て」

「無理…」

「なんで?」

「異性の裸は流石に見れない。…ましてや結華の綺麗な体は余計に」

 一瞬視界に映っただけでも、結構記憶に残るものだ…。

「…私の体、綺麗?」

「…まぁ」

 肌白いし、体のラインも綺麗だし…。…あとは…、まぁ…うん…。………。

「…っていうか、いい加減風呂入ったら?いつまでもそのままだと流石に寒いでしょ」

「…うん、そうする」

 そう言った後、俺の頬にキスをした結華が脱衣所の扉を閉める。

「…はぁ~…」

 …今この場に葵が居なくてよかったわ…。マジで…。



 …響谷くんに、裸…見られちゃった…。嬉しいような…、恥ずかしいような…。

 あのまま響谷くんを抱き締めても良かったけど…流石にそれはやめた。

 あんまりやりすぎて響谷くんに嫌われるのは嫌だから。

「…それにしても…私の体…綺麗って言われちゃったな…」

 …えへへ…。

 前まで自分の体はそんなに好きじゃなかった。変な男たちが寄り付いて面倒だったから。

 …けれど、響谷くんが綺麗だって褒めてくれた。だから嬉しいし、少し好きになった。

 そう言えば、響谷くんは私の着替え持ってきてくれたけど、私の下着も持ってきてくれたのかな…?

 あとで確認しておこうっと。


 それから暫く湯舟に浸かって、浴室を出る。ちなみに、ちゃんと響谷くんは下着を持ってきてくれていた。

 パジャマに着替えて、リビングに向かう。

「お風呂、上がったよ」

 ソファに座っている響谷くんに向かってそう言う。けど、返答はなかった。

 正面に回ると、響谷くんはソファに座って眠っていた。

「…響谷くん、早く起きないとキスするよ」

 …起きない。…なら…。

 私は響谷くんの頬にキスをする。…でも響谷くんは一向に起きる気配を見せない。やっぱり、熟睡しているようだ。

 …もう少しだけ、響谷くん寝顔を眺めていようっと。


――――――――

作者's つぶやき:普通の特別編SSを書こうとしたらPV数1,000越えてたのでこっちを先に書きました。明日は普通の特別編SSを書きます。

…して、相変わらずイチャイチャと…どこからともなく『爆発しろ』と聞こえてきそうなイチャイチャ具合ですね。

…なんて言えばいいんでしょうか、ギシカノよりもこっちの方がより…ディープって言えばいいんでしょうかね、そんなイチャつき方なのではないかと思います。

――――――――

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クラスの姫(通称)は俺にだけ微笑む ますぱにーず/ユース @uminori00

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