第21話 〈嵐の王〉

「……帰っていいか?あまりにも俺にとって不利すぎるんだが?あの街」


 マジシャルテ。その街の中に足を踏み入れた俺は、直ぐさま踵を返して立ち去る。


「こらこら、逃げない逃げない」


 アレクは途方も無く渋い顔でつぶやく。


「やだが?あんなとこ、誰が行くかよ。だって街歩くだけで死にかけるとか普通に考えてクソステージすぎるだろうが。そもそも何だよあの街、街として破綻してるだろ」


「正論だねぇ。まあそれは私も思うけどさ」

「ふむ、アレク。私の加護を使えば問題ないと思うが?」


「あ〜そんなものもあったっけ……え?いやほんとに知らないんだけど?!」

「君のステータスに追加しておいた筈だが?」

「そ、そんなことがあるわけが───」


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【アレク・フール】■歳


【HP】EX+

【基礎総合ステータス】EX+

【魔力】EX+

【ギフト】〈割合化〉〈愚者〉〈嵐の王〉


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 なんか増えてるッ!!


 嵐の王って何?!


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〈嵐の王〉

 嵐の王は自己強化系のギフトスキルである。嵐の王を発動すると、術者に嵐の王の力を付与する。


 嵐の王により付与されるのは、風と雷の力。即ち攻撃に追従して風の追撃が発生するようになり、また雷の追撃も同時に発生する。


 この効果は攻撃が連続する度に練り上げられ、その出力を増幅させていく。

 そうして最大出力まで嵐が吹き荒れた時、その力を全て解放する事で〈トルメンタルインストーム破壊の暴風〉を発動出来ます。


〈トルメンタ・ルインストーム〉

 風属性と雷属性の複合神域スキルの一つ。体に纏わせた嵐をそのまま破滅を呼び覚ます勢いのまま、相手にぶつけるスキル。

 最大ヒット数【50】を誇り、その一撃一撃に風雷の追撃が発生する大技。


 ただし、このスキルを発動するには〈嵐の王〉発動中に攻撃を連続して30回当てる必要がある。


 嵐の王発動中、術者には暴風障壁が展開されるようになり、【地形ダメージ】【一定値以下の攻撃の無力化】【特定の属性を無効化】といった効果が発生する。

 しかし───このスキル〈嵐の王〉を発動することが出来るのは一日にのみである。


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 あ〜かなりチートだった。

 と言うか50回ヒット攻撃?!

 そんなものがあっていいんですか?!


「……ちなみに【世界】には届かぬぞ?このスキルで生み出す嵐はこの世界のものだ。あいつはそれを無効化できるからな」


 なるほど、だから世界の外から来た俺に世界の外から眺めていたフールのスキルを使って倒せと言うわけだね?なるほど。


 ……?でもこのスキルを発動したとして、に行けなくね?


 そう、そこが問題だった。

 いや確かに一定値以下の攻撃を無効化できるとは言っている。

 しかし嵐を纏うスキルを発動したままで街に入ればたちまち俺は攻撃されまくるだろう。


 何より、魔術師……そんなやばそうな奴らが俺のスキルを見て……とか言い出さないか心配だ。


「───だから今回はこの街に行くのはやめておこうかと思うんだけど、フールさんはそこのところどう考えですか?」


「うぅん、魔術師に会いに行く必要があるし、何よりここで逃げちゃ話にならないんだよね。というわけで無理やりにでも行くよ!!」


 やっぱりそうなるか。まあ別に問題は無い。

 アルカナの力を奪い取ればいいだけなのだから、最悪街ごとぶっ飛ばせば────、


 それは最終手段として封印しておくべきかもな。







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召喚されたら攻撃力が無さすぎて即追放された俺が最強割合ダメージ持ちだということを【世界】はまだ知らない。 ななつき @Cataman

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