第27話 ふふふふ
王妃様とお話しして疲れ切ったわたしは、体調が悪くなったとお父様に伝え、部屋に戻ってすぐに寝てしまいました。
王様一家は公爵家の別館にお泊まりしたそうです。
そして王様達はもう一泊する事になったとのことです。
(王妃様と同じ敷地で、寝泊まりすると疲れちゃうな。
宿屋でなく、王族も泊まれる宿泊施設が欲しいな)
予定を簡単に変更できるなんて、王様は暇なのかしら?
グイダからそんな話を聞き、わたしとメリア、リーサお姉様、ライナー兄様と同じ馬車に乗って小等学校へ行きます。
馬車の中でライナー兄様は、
「昨日、殿下お二人と行動を共にしていたけど、ここの領地の識字率の高さには驚いていましたね。児童達は全員字を読めるし、街へ出ても、領民が店に出ている看板や飲食店のメニューも普通に読んでいると驚いていたよ」
「そうですよね。きっと王都だけでなく、オッソ(リーサ達の領都)でも、役人や商人ぐらいしか文字を読めないでしょうね」
リーサお姉様が答えました。
「だから、ベルティン。今はベルンに留学して教育体制の勉強に来たんだけどね」
「でもお兄様。ベルティンブルグのような教育体制は莫大なお金がかかりますわね」
「領地の体制作りだけでもきっと僕の代になってからの取り組みになるだろうね。先ずは領地のお金のまわりをよくして税を多く取れるようにしてか・・・
エルーシアちゃんみたいに奇抜なアイデアでもあれば違うけどね」
「そうですね。領都を新しく作るくらいの税収は欲しいですね。
そしてこの街は何よりも治安がずば抜けて良いですし」
「そうだね。昨日のバーベキューでも王族ご一家にこれと言って警備を増やさなくても大丈夫だったね。でも王族お一人に対して一人、人がついていたけど・・・」
「ああ!アレは鑑定士です。まわりに変な輩がいないかとか、召し上がる食べ物に毒が入っていないかとか鑑定してもらっていたんですよね。
でも、この街、領地にも問題がいっぱいあるんですよ。光りが強ければ強いほど陰が深くなります。
領主一家の知らないところで、裏社会の人間などこの領地に出入りしているかも知れません」
「エルーシアちゃん。そんな傾向があるのか?」
「兄様。実はベルンは、ベルティンに比べると治安は良くないようなのです」
「そんな事ないとおもうけれどな?」
「いいえ。わたし達児童の立場で言うと、ベルティンからベルンに引っ越しをした子の数人が小等学校に通わなくなっているの」
「う~ん。それは、僕ら貴族と違って引っ越しに手間と時間がかかるから出ないかな。きっと親が働いている時間に、子供が後片付けをしていると思うよ」
「そのような理由だといいけれど…… 」
「そんな心配はしなくていいと思うな。
そのようなことは大人達に任せる事だと思うよ」
(ライナー兄様は、そう言うけれど、鑑定士などを使って悪人でないことを確認してから、街に住むことを許可しているけれど、住みだしてから悪い心が産まれる可能性もあるし、それに魔法やスキルを隠蔽し欺いている者もいるかも知れない……)
「ほかにこの領地の問題は、医療です。人口が増えているので治癒魔法師だけでは、対処出来なくなりますし、お医者様の増員とスキルアップ。薬草やポーションも自領で賄えるようにしたいのですけど・・・」
「「え!? エルーシアちゃんはそこまで考えているの!!」」
驚く兄妹にメリアがかえします。
「エルお嬢 いつも 先 考えている 大人より 賢い」
「わたしは賢くなんて無いですよ。全ては女神様のお告げです」
「「「うそだ~! 女神様のお告げのせいにしているけど、絶対自分で考えているじゃん!!!」」」
3人は私にジト目をして言いましたが
「ふふふふ」
といつもより ふ を1つ多くして笑ってごまかしました。
話しているうちに馬車は学校に着きました。
今日の授業はいつもの時間に戻りました。
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