第9話 魔法力の大きさは血のつながりなのでしょうか?
新しい街に着くと、立派な門を抜け、新しいお屋敷の敷地内に着きました。
わたしは、レーア叔母様とリーサを見つけたので、いつもの通り回復・治癒魔法を展開。ついでにここにいる全員にもかけました。
辺りはピカピカと光りましたが、
「今日は、良い天気で陽の光が反射してまぶしいね」
とごまかしてみました。叔母様一家には、わたしが聖属性魔法を使えるとばれていないと思っています。
お母様・クラーラ・メリアは生暖かい目で、わたしを見ていましたが、レーア叔母様とリーサお姉様は、
「「本当に良いお天気ですわね」」
――と言いながら目をパチパチしています。
「お母さん、レーア叔母様、
お仕事の邪魔になるようなので、リーサお姉様とファリカ、メリアとホルダを連れて、探索をしてきていいでしょうか?」
お母様とレーア叔母様は、ウンウン頷きました。
ライナーお兄様だけ、少し俯いて暗い顔をしています。
「まだまだ、工事や建築中の建物があるから気をつけるのよ」
「はい。お母さん。あとスライムちゃんのプルプルとポヨポヨの様子をみてきます」
「スライムちゃんの様子をみるなら、下水道や浄化槽は落とし穴のようになっているわよ。とても危ないわ。本当に気をつけるのよ」
「「「はい、気をつけて行ってきます」」」
わたし達女子未成年組は、みんなで手を繋いで移動をはじめました。
兄がいるだけのリーサお姉様は、年下のファリカとホルダの面倒をみるのが嬉しいようで、リーサお姉様を真ん中して、三人で手を繋いで移動しています。
まず、わたし達は新しいお屋敷の浄化槽にいるプルプルとポヨポヨに会いに行きました。
二人は、数日前から自分の子供達(分裂したスライム)を連れて、この新しい街の浄化槽と下水を確かめに来ていたのです。
二人にとっては、(プルプルとポヨポヨ)王都のおトイレ工事の時に、新しい場所でお仕事をしていたので、今回もスムーズに行えるように、わたしがお父様にお願いしてきていたのです。
(この子達本当に魔物のスライムなの? まるで人間のお仕事している人みたい…… )
わたしとファリカがスライムちゃん達と遊んでいると、リーサお姉様が口を開きました。
「ねえ?エル(ーシア)ちゃん。
魔法って難しいよね。でも、貴女は簡単に行使しているよね?
私にコツとか教えてくれいないかな?」
わたしはリーサお姉様をじぃっと見つめました。
(生まれたときから結構な、魔力を持っていたから魔法を使う下地はあるのよね。
それにここ数日で、顔色も良くなってきたし、体もふっくらしてきたし)
と考えていると、
「リーサ様 練習 良い時期 魔法の修行」
メリアはわたしの顔を覗いています。
「そうだね。お姉様最近体調も良いみたいだし、広場を見つけて基礎魔法から練習してみようか?」
ドー―――ン!
ボォォオオオオオオー
爆裂音の後、四階建ての建物を越えるような大きな火の柱が現われたのです。
「ヤバイ?やばい?ヤバイ!やばい!! えっと―
消さなきゃ。消さないと―― 」
《冷却魔法!大きな火を消して!》
わたしは慌てて火の柱を消すために、いままで使ったこともない魔法を使ってしまいました。
そして、冷却魔法って、ただ気温を下げるだけじゃ? と疑問に思いましたが、大きな火を消してと願って使った魔法だからでしょうか、消火に成功です。
「リーサ様 小さく 言った エルお嬢」
(リーサ様、エルーシアお嬢様が小さな火になるように調節して魔法を行使してって言いましたよね!)
「ご、ごめんなさい。
だって、エルちゃんから魔力の練り方とスムーズな魔法詠唱を習って、今までに無いくらいに火属性魔法が使えたから……
ちょっと調子に乗っちゃった。 テヘペロ」
「 …… 」
「 …… 」
わたしとメリアは、無言になっています。
なぜにこんなことになってしまったのか?
そう、それは、領主館予定の建物にある広場で、魔法の行使をスムーズに出来るようになるために、リーサお姉様にわたしの魔力を流し、魔力操作を教えました。
ライトの魔法、風を起こす魔法、水を出す魔法をわたしが教え、メリアが身体強化などの魔法を教えて、それをリーサお姉様に行使してもらいました。
そしていよいよリーサお姉様が大好きな攻撃魔法――火属性魔法を試す時が来ました。
「リーサお姉様。火属性魔法は、殺傷能力が高く、建物なども簡単に壊してしまう魔法です。
ですから、はじめはほんの小さな炎が出るくらいの大きさになるようにしましょう」
リーサお姉様は、超絶笑顔でわたしの説明を聞き入っています。
何なら鼻歌をしながらスキップしそうです。
「先ずは、少量の魔力で魔法を行使しましょう」
わたしは、ここで《ファイア》で小さな火を出す魔法を教えた後、リーサお姉様の魔法があまりにも大きく大惨事になる…… 一歩手前までになってしまったのです。
(嗚呼、よくお母様が自重しなさいと説教することはこういうことなのね)と心に刻みつつわたしは
「いいえ、お姉様。これは、わたしの教え方も悪かったように思いますわ。
けれど、今後は魔力操作がきちんとできるようになるまで、火属性魔法は街の外の広い場所でのみ使うようにしてください」
と説教しているところに
「「まあ、まあ、まあ。
あのような訓練をすると、攻撃魔法をぶっ放せるようになるのね。
エルーシアちゃん。私達にも訓練をして」」
――と双子の姉妹が物陰から出てきました。
「自己責任 建物 損害」
(アルーシャ様、レーア様。エルーシア様から魔法を教わるのは、良いのですが、魔法によって損害をうけた建物などは自己責任で賠償してくださいね)
メリアは、腕を組んでお母様と叔母様そしてリーサお姉様を睨んでいます。
「「だ、大丈夫よ。
わ、私達はリーサ(ちゃん)より魔力は小さいから。
建物を壊すような大きな魔法は使えないわ(よ)」
と仲良く声を合わせています。
その後約一時間後……
ドー―――――ン ドー―――――ン
と大きな音を立てて二つの大きな火の柱が広場に現われました。
「奥様方 小さく言った エルお嬢」
――双子を叱るメリアの声が新しい街に響き渡ったのです。
わたしとメリアは、爆裂雷魔法を行使したとき、長々と説教をされたので、ここぞとばかりに大人の二人に超絶爆裂説教をしました。
その姿をリーサお姉様は、苦笑いをしてただ、ただ大人しく見ていました。
因みに、ファリカとホルダは二人で砂遊びをしていました。
二人はお利口さんです。
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