第7話 ライナーの悩み




4人で登校を始めてから、数日が経ちました。

わたしは、児童のみんなと少しずつ少しずつ馴染んできていると思います。

リーサお姉様やメリア以外の女の子とも少しずつ構えなくてもお話が出来るようになってきました。

エッヘン


学校生活に慣れてきた頃、ライナー兄様から、思いもしないお話がありました。


「エルーシアちゃん、リーサ、メリア。

3人は学校でも一緒でいいな。授業は、余裕でついていけるけど

1人なのが寂しいよ」


(あれ? 女の子に囲まれているとしか見えないのだけど・・・

あ! きっと男の子達にもチヤホヤされたいのかしら?)

そう考えていると、リーサお姉様が


「あら、お兄様。学校では、ぼっちなのですか?」


(ぼっちってこの世界でも使うの!)と考えていると話しが進んでいきます。


「うん。恥ずかしながらそうなのだよ。

リーサ。僕が貴族だからなのかな。みんなチラチラ見てくるのだが、話かけようと振り向くと逃げられるのだよな。しかも話かけようとすると、気絶する女子もいる。

どれだけ嫌われているかと思って暗くなるよ」


「お兄様。お声をかけるときに、あまりにも必死なお顔になっているのじゃなくて?」


リーサお姉様が兄様を揶揄いはじめました。


「ライナー様 必死な顔 怖い だから にげる?」


お!メリアも兄様を揶揄いはじめました。

メリアはいつから毒舌になったのでしょうか?


「そ、そんなに必死な顔をしているかな?」


「どうでしょうか?

ライナー兄様は、綺麗でクールなお顔をされているので、女の子はドキドキして逃げるのでは、ないでしょうか?」

(そして男の子達は 爆発しろ、この貴族の息子が! ――って思っているかもしれませんわ)

わたしは顔を斜めに傾けました。

(我ながらあざといです)


ライナー兄様を見るとお顔が真っ赤になっています。

熱でもあるのでしょうか?


「お兄様、顔が真っ赤になって魔物のようですわ!」


そう言ったリーサ姉様は、走って逃げて行きました。

顔を真っ赤にしたライナーお兄様がリーサお姉様を追いかけて行きました。

その姿はまるで、仲良く喧嘩しているネコとネズミのようです。




「ねぇ。メリア。何故、ライナー兄様は、お顔を真っ赤にしてお姉様を追いかけていったのでしょうか?」

わたしは、隣にいるメリアに聞きました。

「きっと(エルーシア様に顔が良いと言われて、照れたので) 顔が火照った。 (それを妹に冷やかされたライナー様が怒った顔をしたから、それを見て、リーサ様が)逃げたから(ライナー様が) 追いかけた」

メリアは追いかけっこをする2人を指さしながら、ケラケラ笑いながら答えてくれました。




そんな話があった数日後、わたし達はライナーお兄様の教室を隠れてこっそり見ています。


(でも、わたし達のまわりには、沢山の男子がいて、その隙間から兄様を覗いている感じです)


想像したとおり、兄様のまわりには、女子がいっぱいいます。

その女子のまわりを男子が囲んでいます。


ライナー兄様が、女子達に話しかけようと、振り向いたとき、振り向いた先にいた女子達が ぽっ と顔を赤くしてふらふらと後ずさりします。

そして、ライナー兄様が違う方を向くと、そちらにいる女子達が カァっと顔を赤くしてふらふらと後ずさりします。

ライナー兄様が、話しかけようとすると、女の子達が意識を飛ばしてしまいます。


「「「 ライナー(お)兄様は鈍感なだけなの? 」」」


私たち3人は揃って叫んでしまいました。

そしてわたし達は、ライナー兄様を放っておいておこうと思いました。


でも、まわりにいる男子は、やはり兄様に、『爆発しろ!!!!』と思っているでしょうね・・・ 

きっと――

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