第6話 リーサ達と登校




わたし達は、馬車に乗りました。

車中で他愛もないお話しをしていると、学校に着きました。


因みにメリアのお父さんのワグナーが御者をしたのは入学初日だけです。


わたし達は馬車から降りて教室に向かいます。

先に登校していた皆さんが、わたしとリーサお姉ちゃんを見て目をまるくしています。


「聖女様が二人いる?」

「領主様のお嬢様が二人いる?」

「え? 目の調子がおかしい? 聖女様がダブって見える」

「あの格好いい男の子誰?」

「聖女様、今日も可愛いな♡」

「聖女様。今日もお綺麗ね」

「エルーシア様とヘルヴェル様は、噂と違って別人だったの?」


などなど、そっくりなわたしとリーサお姉様の噂話で持ちきりです。


わたし達は、違う学年のライナー兄様と別れ教室に入りました。

教室は、日本の大学のように個人の机はありません。

長いテーブルが横3列に並べてあります。そのテーブルに3人で使うようになっています。

個人の机はありませんが、リュックサックのような鞄がはいる鍵付きのロッカーがあります。カギは首に通すためのチェーンが付いていて長さが調整できます。プレートも付いていて、教室によって色が違います。

わたし達はロッカーに鞄を預け、一番前の真ん中のテーブルに着席しました。


今日は、再び担任と副担任の挨拶。そしてここで学ぶ児童の自己紹介です。

先生達の自己紹介が終わった後、生徒達の自己紹介が始まります。

最初は領主の長女のわたしです。


「皆様ごきげんよう。ご存知と思いますが、わたしは領主のベルティンブルグ公爵の長女エルーシアです。趣味はテイムしたスライムちゃんと遊ぶこと、特技はオーク狩りです。ちょっと前までハマっていたのはおままごとで~す」

(この歳でおままごとは、幼稚っぽいかな?でもおままごとは、相手が何を考えているかわかるし、人柄もわかるんだよね。そしてなにより距離を縮めるし)


わたしは、できる児童を演じ自己紹介をしました。

ちょっとシーンとした後、バチバチと盛大な拍手が起きました。

(おままごとでみんな引いたのかな?)


続いてリーサお姉様です。

「皆様ごきげんよう。

昨日の入学式は間に合いませんでしたが、今日から皆様と学ばせていただく、オッドリア領から来ましたリーサ=オッドリアですわ。

エルーシア様とは、従姉妹ですわよ。

そっくりで皆様驚いていたようですが、これからよろしくお願いしますわ」


リーサお姉様は深々と頭を下げると、盛大な拍手が起こりました。


「こんにちは、わたし メリア よろしく」


メリアは、短い言葉で挨拶をしました。

相変わらず、単語での短い会話です。


そうして、皆の自己紹介が終わり、休憩時間になりました。


お花を摘みに言った後、わたしはクラスメイトの皆様に囲まれてしまいました。


「聖女様!」 

「エルーシア様」 

「お嬢様」

そう言ってクラスメイトが迫ってきます。

あまりの人数に固まっていると、メリアがササッとみんなを散らしてくれました。


「ふふふ。エルちゃんの人気は本当にすごいわ」


「リーサお姉様。そんなことはありませんよ。

貴族で領主の娘ですから、それが珍しいのでしょう。そのうち珍しくもなくなり静かになりますよ? 」


「お嬢様 人気 大丈夫。メリア 守る」

メリアは、握り拳を高く上げてわたしに言いました。


「それは、頼もしいわね。でも、すぐ落ち着くわよ」


その一言に


リーサお姉様とメリアが 「「はぁ~」」 とため息を吐きました。


2人が何故ため息をしているのか不思議に思ったのですけれど、授業が始まるまで3人でお話をしていました。




そして、無事に授業が終わり、お屋敷に帰って、夕食時にお父様やお母様に学校でのお話をしました。

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