第1話 ベルティンブルグ公爵領 (後)

 




今、公爵家、公爵家関連の事業では、魔法使いを募集中です。

土属性の魔法が得意な人と、魔物を友達にできるテイマーを絶賛大募集中です。 


土属性の魔法使いは、ベルティンから5キロメートルほど離れた所に新しく街を造っているためです。街作りに必要な道路や水道などのインフラストラクチャー(インフラ)つまりライフラインを作るのにとても役に立つこと。

そして、この世界は、石や魔法で土を固めた建築物が多く、建設が捗るためなのです。


新しい街の場所は、皆様お気づきと思いますが、わたしが魔法をぶっ放して、山を削ってしまった場所です。

 ある程度の山が連なる森林地帯にわたしの爆裂雷魔法を投下したところ。 そこが新しく作っている街。

二度目の爆裂雷魔法は、街の造形を整えるのと防壁を作るためだったのです。

 西に連なる山々を防御壁にして、ベルティンのある北東と穀物地帯のある南東に街の入り口になる門を設置。

生活に欠かせない水源は、山からの湧き水を使用します。

井戸水を頼らないのです。

その下流に段々畑のような地形にして、宅地を造っています。

段々畑のようにしているのは、上水道を作るためです。もちろん下水道も作って水車も作成しています。

道路も幅を大きく作っていますが、有事に備え宅地の高低差のあるところで、可動できる柵をつくっています。

それは、道路を塞ぎ侵入者を足止めできるようにしているため。


 西側が山地なので、街の何処にいても西側が高くなっていて、日の沈みが速いのが欠点。

東向きの街ではなく、北に山を背負う南向きの街にするべきとの意見もありましたが、わたしに爆裂雷魔法を使わせたくないお母様とメリアの大反対があり、最初に魔法を落としてできた地形を利用する事で決着。

メリア曰く「エル嬢 本気 山脈なくなる 汗」

母曰く「私も攻撃魔法ぶっ放したいのに」

ヘルマお姉ちゃん曰く「女神様が作られた土地をこれ以上破壊すると天罰が怖いですわ」

とのこと。

男性陣は、「フレイヤ様から直接お話しできるエルーシアちゃんに、天罰が下るとは思わないが、ヘルマとメリアの意見を尊重しよう。

エルーシアちゃんは流行病を根絶させる能力(ちから)もあるが、全てを破壊する能力(ちから)もあるからな」

とのこと。

 わたしをどの様に思っているのかしら? プンプン。


お母様の台詞はスルーして、お話しは戻ります。

(最近元気になって、攻撃魔法が使えることが判明して自分も使いたいなんて…… お母様、心の声が出ていますよ)


テイマー募集の理由を説明しますね。

わたしは、プルプルとポヨポヨをテイムして、二人のスライムちゃんに浄化槽で汚物を綺麗するようにお願いしています。

このまま、水洗トイレが増えて行くとわたしとスライムちゃん達が忙しくなりすぎるため、スライちゃんをテイム出来て、指示系統のトップになるテイマーを募集しているのです。

数年前から募集しているにもかかわらず、残念ながらテイマーはまだ一人しかいません。

その一人も王都で勤務をしています。

ベルティンブルグの領地内では、テイムをもう一度したプルプルとポヨポヨがボスになり分裂した子供達を使って、その子達が浄化槽で頑張っています。

王都でも、プルプルとポヨポヨから分裂したスライムちゃんが活躍していますが、公爵家のテイマーとプルプルとポヨポヨの子供達だけでは、管理が大変なのです。

そして、他の領地で、水洗トイレを使ってもらうためには、もっと多くの優秀なテイマーが必要なの。


わたし個人の話しになりますが、冒険者ギルドの預金の残高は、恐ろしいくらいの桁になっています。

大人の目を盗んで、メリアと二人で魔物を狩り、その素材を売り続けたからです。


メリアは、攻撃魔法も使えますが、身体強化の魔法が得意です。

剣や槍を使わすとA級冒険者以上の能力があるそうです。

わたしとメリアが何故C級冒険者なのかですが、B級冒険者になると、冒険者ギルドによる指名依頼が出てくるため、二人ともC級冒険者登録以上の資格取得を拒否。

冒険者ギルドのギルド長は、もっとランクを上げて欲しいと、わたしとメリアに言い続けていますが、ギルドのお姉さんが止めてくれています。


 ベルティンブルグ領の産業として

お爺様とシュタインが先導して、アルコール度数の高いお酒を製造しています。消毒用のアルコールを造ったときの技術の応用です。

ワインを蒸溜してバーボンにし、ウォッカの製造にも成功しました。

今後は、ウィスキーと焼酎を作って、醸造酒の日本酒を造る予定です。

稲作をもっと大々的にして、日本酒の製造に成功して、みりんも作りたいな。

和食が食べたいのです。

シュタインの工場に食品部門を設置して、そこで生産しヒーナ商会の子会社で販売しています。

貴族達が購入してくれて、外貨を稼いでいます。

これも、お金持ちだけで無く、一般の人も手を出せるようにしたいです。

製造は、お祖父様で、シュタインが責任者。

運搬、流通は公爵家の運搬部門。

販売はヒーナ商会つまりわたしです。


続いては…… 子供や女性が求める物――それは、“甘味”

小麦を、パン用・麺用・お菓子用と選別して、粉にできるようになりました。

お母様は、お菓子用の小麦粉・砂糖・蜂蜜を使い甘味をいっぱい作りました。

(わたしも手伝っていますが、お母様の本気度が怖いです)


我が領にはミルクも豊富にあるので、なんと、ケーキも出来ました。

アイスクリームやソフトクリームができるのもあと僅か。 かも知れません。

賞味期限の長い甘味を製造して、王都などにも販売しています。

ケーキなどの痛みが早いお菓子はわたし達ベルティンブルグ領民が食べることができる特権なのです。(今のところは)

そして、発酵させた、ふわふわの美味しいパン。

これは、ベルティンブルグ領と王都で販売。

ヘルマお姉ちゃんが主体で、お母様が責任者。

販売は、ヒーナ商会。流通は公爵家の運搬部門です。

そんなこんなで生活水準が大幅に上がりました。

目指せ!ニートでも暮らせる世界です。


ヒーナ商会で金銀を集め、農産物の収穫がおおくなり、畜産物も生産、ベルティンブルグ領地の基盤ができてきました。

ここからは、人の成長。

領民の識字率を高めて、ベルティンブルグの成長に役立つ人材を育てていくのです。


わたしが目指すのは、心が豊かで生活に困らない公爵領です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る