『200本目―深夜エッセイ』

小田舵木

『200本目―深夜エッセイ』

 寝逃した感。週末。唯一の休みの土曜日の前の夜…ていうかもう土曜か。

 今週も週6で働いた。結構疲れている。

 だが、ネットフリック○で『ゴールデンカムイ』を見ていたら、すっかり夜が更けちまった。

 

 気がつけば2時。

 しょうがないから、エナドリを2本飲んでパソコンに向かう。

 なにせ。文章を書く時間、コイツを確保出来るのは、土曜日のみ。

 このまま寝ても良いが。起きたら夕方行きなのは分かってる。

 だから無理して起きて、テキストエディタを立ち上げた訳だ。

 

 とは言え。毎度の事ながらネタはない。

 大体、工場のルーチンワークを週5でこなし、サービス業を週1でこなす毎日。

 仕事に忙殺されど、ネタは降りてこない訳だ。

 一応、仕事をしていれば人とは関わる。しかし。俺は人好きではない。

 仕事をこなしていれば多少の事件はあるが。それも仕事の枠内で収まっていく。

 

 日々というのは埃のように積もっていき、何も残さない。

 残っているのは老けていく俺だけだ。

 全く、人生ってヤツが嫌になる。俺の手の中には何もない。

 

 人生ってのは失うプロセスである、と言ったのは誰だったか。村上春樹だったように思うが。

 俺はその意見に賛成である。日々、何かを失くしているように思う。

 寿命、と言えば、そうだ。

 俺は酒飲みで、睡眠薬ジャンキーで、タバコ吸いで、デブである。

 早死するのは目に見えている。そんな刹那のような人生でも、尚、俺は失いゆく。

 

 あの時、ああしていれば。こうしていれば。

 人生はもっと違った風景だったのかも知れない。

 何かを失わずに済んだのかも知れない。

 しかし。俺はうつになり、仕事を失い、また仕事を得、しょうもない非正規の仕事をしている。

 選択しちまった訳だ。こういう道を。失う道を。

 

 こういう事をウダウダ述べ立てれば。

「命だけは残っている」とか言い出す奴が居る。例えば俺の頭の片隅に居るヤツがそうだ。

 だが、しかし。こんな燃えカスのような『命』。残ったトコロで何になると言うのか。

 

 昔の俺は。

 『命』には意味があると信じていた。阿呆なフィクションに毒されたのだ。

 しかし。現実はそうじゃない。

 『命』に意味などない。『それ』は心臓を駆動させ、脳を活かしているだけだ。

 脳はストーリーってヤツが好きで。人生だってストーリー仕立てで理解したがる。

 だから、単純化したがる、己の人生を。

 単純化して考えると、俺は人生、失い続けているように思うのだ。

 さてさて。俺の人生というチャチな物語は今、何処らへんなのか。

 ヤマかタニか。できればタニが良いが。もしかしたらヤマなのかも知れない。

 失う事がクライマックスの人生。これはいかんともし難い。

 失った後は、薄汚れた燃えカスの『人生』とやらが残って。後は燻って消えるだけなのかも知れない。

 

 ああ。いっそ。

 燃え尽きて死んでしまいたい。

 そう、幾度考え、馬鹿らしいと却下してきたことか。

 しかし、こういう考えってのは頭にこびりつく。

 んで、寝る前に反芻してみたりして。やっぱアホらしいと思い直す。

 

 こうして。

 俺は『人生』ってクソみたいな三文芝居を打ち続けている。

 うん。シェイクスピアはいい事言ったぞ、『人生は舞台である』と。

 この芝居に。客は居ない。共演者も居ない。監督も居ない。

 一人芝居で。独演で。俺は誰も居ないステージで演じ、狂っている。

 それを唯一見守ってくれる存在が『神』とやらだが。

 そんな存在は居ないのだ。

 言っておこう。神とは『己』の外部化の他称だと。

 そう。自分の人生という舞台を、芝居を、見ているのは他ならぬ自分だ。

 自分を俯瞰視点で見ている。

 そして、時たま、自分に語りかけたり、啓示を与えたりする訳だ。

 それを勘違いした阿呆が。神を感じるのではないか?とか考える。

 ああ、言っておこう。俺は、君は。何処までも孤独な生き物なのだと。

 

 さてさて。

 ここまで寝不足気味で文章を書き殴ってきた。読み返す気も起こらない。

 しかし、こういう状態でしかかけないモノはある。

 

 作家ならば―『作品でモノを語れ』と誰かは言った。

 しかし、こういう深夜のエッセイでしか得られない知見はあるものだ、自分でも驚いている。

 

 あー。

 いい作品書きてえな。

 200本もカクヨムにポストし続けて、今、思うのは『何も得ていない』という事だ。

 あと何本書き続ければ。俺は満足出来るのだろうか?

 …一生満足出来ないかも知れない。

 だから、俺は書き続ける。誰も読んでいなくても。

 

 いい加減、小説書くか。

 クソ文章にお付き合い頂き、感謝。

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『200本目―深夜エッセイ』 小田舵木 @odakajiki

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