最終章
「…………。」
シャーロットはずっと黙り込んで、青空を見上げていた。
そんな時に和士は
「………これから、どうするつもりだ。」
「………それは。」
シャーロットは深く考え込んだ。
「………昔、ある人が教えてくれたんだ。」
和士が急に変な話をしてきた。
「………………自分のやりたいこと、正しいと思ったことをやりたいのなら最後まで屈せずに貫き通せって。」
「………正しい事。」
「………あぁ、だから、お前が正しいと思うなら、ここにいたいと思うなら、やってみろ。」
和士は少し、意地悪そうに言った。
「………私のやりたいことですか。」
シャーロットは深く目を閉じて、考え込んだ。
今の自分に何ができるのか、そして何をするべきか、何が正しいのか思い悩んだ。
辛い苦痛の過去を理由に、国を出て行き、ヤクザの下でお世話になっている自分自身に何をすべきか、その混沌する考えの中から、一つの光を見つけた。
その光はシャーロットが見つけた自分のすべき、選択であり、新しい道でもある。
「………見つけました。」
シャーロットは目を開けて、少し微笑んだ。
「………私、家に戻ります。」
急な爆弾発言をした。
「………私には私を必要としてくれる人達がいる、待ってくれる人達がいる、苦しんでいる人達がいる、一時の感情で逃げてしまったけど、いつまでも、過去に縛られてなんかいられない。」
シャーロットは少し気楽そうに空を見上げた。
「………ちゃんと向き合わなくちゃ、それが私の今、すべきことかな。」
シャーロットはニッコリと微笑んだ。
「……そうか、どうやら、見つけたみたいだな。」
和士はやれやれと肩をおろし、少し微笑んだ。
そして
「………ったく、手間のかかる奴らだぜ。」
縁側の陰に隠れていた城崎が歯を見せて、笑った。
数日後
鉄火組総本部の正門前に人だかりができていた。
数人の鉄火組の組員達と大きなカバンを背負ったシャーロットが正門前で向かい合っていた。
今日は、シャーロットが母国に帰る日だ。
それを見送るため、城崎、陣川、矢島、綾部と言った幹部連中が見送りに来たのだ、その中には当然、月村達や和士もいた。
「元気でやれよ。」
「何かあったら、また、ウチに来いよ。」
「………踏ん張れよ。」
「……一発、かましてやれ。」
皆、口々に別れの挨拶を言った。
「………うぉぉ、悲しくねぇぞ。」
中には泣いている者もいた。
「おぉぉ、いたいた。」
すると塀の向こうからシャーロットが帰省する知らせを聞いた、リコッタが迎えに来たのだ。
「リコッタ大佐。」
「………姫様、迎えに来たのじゃ。」
リコッタは優しく、シャーロットを抱きしめた。
「………ヤクザの衆、色々と世話をかけたな。」
リコッタは和士達の方を向いて、謝った。
「………お詫びとして、迷惑料として8千万円渡すのじゃ。」
リコッタはそう言い、札束の入ったカバンを差し出した。
「門の修繕費にでも使ってくれ。」
「………あぁ、一応、貰っておくぞ。」
矢島はカバンを快く、受け取った。
「姫様、さぁ、帰るのじゃ。」
リコッタは優しく、シャーロットの手を掴んだ。
「うん。」
シャーロットはそう言い、手を繋いで帰っていく。
「………シャーロット。」
和士がシャーロットを呼び止めた。
「………和士さん。」
シャーロットは足を止めて、和士の方を向いた。
「………もう負けんなよ。」
とにやりと微笑んだ。
「………はい、負けません。」
今にも出そう涙を拭い、シャーロットはニッコリと微笑んだ。
「………次からは敵として勝負しましょう。」
「あぁ、いつでも勝負してやる。」
和士は少し意地悪そうに呟いた。
「……また、会いましょう、かずっ………屑鉄仮面。」
シャーロットは真剣な表情で宣言し、歩き出した。
「………負けねぇぜ、ピュア・ロイヤル。」
和士は消えていく、シャーロットの背中を見て呟いた。
数日後
新宿区 スクランブル交差点
光あるところに影があるように正義が悪も存在いする。
その二つはいがみ合いもあれば、分かり合うこともある。
「勝負だ、ピュア・ロイヤル!」
屑鉄仮面の率いる、怪人軍団と
「屑鉄仮面、今日こそあなたを倒す!」
ピュア・ロイヤルはそう言い指を刺した。
「……いくぞ。」
「勝負!」
そして、ぶつかりあうのだった。
おわり
ダークヒーロー怪人と家出姫君が歌舞鬼町で成り上がる 大根侍 @shogo522
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