第7章 極道で居候




翌朝

鉄火組総本部

「中々、落ちないな。」

朝早く旧家の縁側をシャーロットは雑巾で拭いていた。

「………。」

シャーロットは手を止めて固まった。

(……今日の夜の12時。)

シャーロットは今日の晩に起こる、イングス公国の襲撃のことを考えていた。

「……どうしたんだ?」

縁側の曲がり角から陣川が現れた。

「…あっ、副組長。」

シャーロットは陣川の方を向いた。

「……どうしたんだ、矢島達にいじめられたのか。」

陣川は首を傾げた。

「いいえ、違います。」

シャーロットは首を横に振った。

「……今晩の襲撃ですが。」

シャーロットは俯き、雑巾を握りしめた。

「……私のせいで、皆さんにご迷惑をかけて、申し訳ないと思っています。」

シャーロットは申し訳なさそうに下唇を噛み締めた。

「……ウチじゃ、こんなの当たり前のことだ気にするな。」

陣川はそう言い、シャーロットの頭を撫でた。

「……でも。」

シャーロットは反論した

「……前にも、お前と同じように法治の親がここに来たことがあるんだ。」

「………えっ、矢島さんの⁉」

「……あぁ、あいつの親は法治をヤクザに売って金にしたひでぇ親だよ。」

陣川は縁側に座り、懐かしそうに語った。

「……そんな、あいつを可哀そうに思ったのか、組長はあいつを可愛がって、自分の子のように育てた、そしたら、法治は組長に惚れて、あっという間に極道の道を進んじまって、今じゃ幹部をやっている。」

「……そんなことがあったんですか。」

「……あいつがヤクザになって暫く経ったある日、どこで聞きつけたのか、法治の親が法治の前に現れて、あいつに助けを求めたんだ。」

「えっ、なんでそんなことに。」

「……あいつの親、ヤバい所から借金を抱えていて、法治に泣きついたんだ、そしたら組長が現れて、『クソでも、ケジメはつけろ。』と言って親二人をマグロ漁船に放りだしたんだ、今はそのクソ親二人は海の上でマグロを釣っているらしいぜ。」

陣川は立ち上がると

「……法治以外にも、順や松人も同じようなことがあった、ウチじゃこういうのは普通のことだから、気にするな……。」

陣川はシャーロットに背を向けて

「………ありがとう、副組長。」

シャーロットはそっと胸を撫で下ろした。




そして、鉄火組の事務所では

本部長室

「ほう、あのネズミ達、ヒーローと魔法少女を20人近く引き込んだって。」

中本は自席に座り、眉をひそめた。

「あぁ、それに本国から装甲車を数台持って来たらしいぜ。」

多護はそう言い、これまで集めた情報が入ったUSBメモリを中本のデスクに置いた。

「他にも、歌舞鬼町の住民の避難勧告を通達しているそうですぜ。」

矢島が話に割り込んだ。

「……どうする、中本。」

力也が中本に問いかけた。

「……ふぅ。」

中本は深く深呼吸し、真顔になった。

「……矢島、東京中に散らばっている、事務局長達に増援を求めろ、壁島、お前は月村達をここに連れてこいあいつらをウチの若衆にする多少の戦力にはなる、多護は引き続き、情報収集に励めろ、野郎共、これは戦争だ!」

中本は勢いよく自席を立ち上がった。

「……売られたからには、絶対勝つぞ。」

中本は威勢を上げた。


「……今こそ、我らずっと粘ってきた鉄火組の底力を見せ付ける時だ!」


「……あぁ、任せろ。」

「…このことは、天沢にも伝えておく。」

「……承知した。」

3人は元気よく返事をし、部屋を出て行った。

すると、中本はポケットからスマホを取り出し、ある人物に電話を掛けた。

プルルルル プルルルル

「……もしもし、俺だ。」

「……中本本部長どうしたんですか。」

それは、買い出しに出かけていた綾部だった。

「……ちょっと、頼みがある。」

中本は険しい声で呟いた。




数十分後

鉄火組総本部 裏庭

和風の芝生庭園に

「……レトロな場所だな。」

「………ですね。」

「……武家屋敷かよ。」

月村達、新宿支部のメンバーが全員来ていた。

「おぉ、遅くなったな。」

そこに和士が現れた。

「おぅ、和士。」

「…日坂。」

「……久しぶりだな。」

月村達は和士を見るなり、口々に呟いた。

「……事情は壁島さんから聞いてよ。」

「……今日の夜、総攻撃があるんだろう。」

「……俺達も参戦するぜ。」

松田、影崎、山口の3人は自慢げに腕を鳴らした。

「……あぁ、頼むぜ、お前ら。」

和士はニヤリと笑った。

「……今日から、お前らは鉄火組の鉄砲玉衆だ。」

和士は若頭の権限で月村達に役職を与えた。

これを持って、月村達10人は鉄火組の若衆となった。


こうして、着々と準備が進んでいき



決戦の時が訪れた。



数時間後

午後12時

真暗な夜の冷たい風が響く中、大勢の謎の大群が鉄火組総本部に向かって歩いてきた。

イングス公国の軍隊、魔法少女、ヒーローを含めて合計3万人の大群が鉄火組の総本部に押し寄せてきた。




鉄火組総本部 西にある正門前

「……行くぞ、お前ら。」

リコッタは衛生兵と召集した兵士を引き連れて正門の前にやってきた。

そして

ドーン

正門は爆弾で爆破した。

「……それ、突撃だ。」

リコッタを筆頭に、30人くらいの部隊が建物に目掛けて、突入した。

しかし

ビリビリ ビリビリ

「……ぎゃぁ。」

「……ほげぇ。」

「………げほっ。」

隊員の数人が突然の落雷に襲われ、失神した。

リコッタ達の前に

「……悪いがここを通すわけにはいかない。」

ペストマスクをし、黒いロングコートを纏った怪人 ラピッド・クローが立っていた。

「……怪人。」

リコッタ達は身構えた。

「……まさか、こんなに早く出会うなんて。」

リコッタは冷や汗をかいた。

「……全員。」

リコッタは拳を強く握りしめ


「……攻撃開始じゃ!」


リコッタの雄叫びとともにラピッド・クロ―に目掛けて、襲い掛かった。




その一方で

ドーン

鉄火組総本部の東門がソロの率いる奇襲部隊に爆破された。

「……ゆくぞ。」

ソロが先陣をきり、突入していった。

「伍長に続け!」

「ゆくぞ!」

「おう!」

40人くらいの武装した兵士達がソロに続いた。


「……よく来たな。」


青い液体が人の形をした怪人ブルー・サーペントが立っていた。

「……お前は。」

ソロは銃口をブルー・サーペントに向けた。

「………ここの門番だ。」

ブルー・サーペントはそう言い、身体の液体を変形自在に操り、剣を作成した。

「………溺れ死にてぇ、奴だけかかってこい。」

ブルー・サーペントは

剣を握りしめ、身構えた。

「………行くぞ、突撃だ。」

ソロは雄叫びを上げて、ソロに突撃した。

ソロ「うぉぉぉぉ!」

ソロはブルー・サーペントにマシンガンの弾丸を浴びせるのだった。




北門では

「……ぐはっ。」

バリアント曹長は血へドを吐き、地面に倒れた。

そして、周りには70人近くいるバリアントの部下が地面に倒れていた。

「……やれやれ、騒がしい連中だな、まったく。」

黒い浴衣に身を包んだ、頭が菫の花びらで、顔から下が植物のツルで出来ていて、人の形をした怪人緋菫が腕を組んで歩いていた。

「まったく、たいしたことない奴らじゃな。」

緋菫はそう言い、地面に倒れ失神した、バリアントと他の兵士達を見つめた。

全員、緋菫にやられたのだ。

「……姫様。」

倒れた兵士の一人がシャーロットの名を呼んだのだった。




南門では

ドーン

南門が爆破され、門の周りには怪人(山口、玄蔵、降谷、沢辺)達が失神していた。

「……開きました。」

広瀬ことマジカル・ピンキーは破壊した正門跡をくぐった。

「……突撃だ!」

兵隊達が鉄火組の敷地をなだれ込んだ。

しかし

ドドドド

突然、地震がやってきた。

「なんだ‼」

「分からん⁉」

兵隊達は動揺した。

すると、地面の一部が巨大な腕に変形した。


ドン

「「「ぎゃー。」」」

兵隊達は巨大な手のひらで押しつぶされた。

この力は、ビル、タワー、アパートなどありとあらゆる建物と融合し一匹化して壁や地面を変形自在に動かす怪人城鬼の能力である。

今、鉄火組総本部は城鬼と融合しているのだ。

「まさか、こんな敵がいるなんて。」

ピュア・ピンキーは巨大な腕をジッと見つめた。

「……悪いけど、通してもらうわ。」

ピュア・ピンキーは魔法で剣を出現させ、巨大な腕に剣先を突きつけた。

「……サンシャイン・ブレイク。」

ピュア・ピンキーはそう言い、剣を振るい無数の斬撃を巨大な腕に目掛けて、飛ばした。

(……和士君。)

ピュア・ピンキーは殺意の籠った眼差しを差し向けた。




そして、鉄火組総本部 

ドン

旧家の大広間が揺れた。

「……始まったみたいだな。」

大広間の真ん中で正座をする城崎は呟いた。

そして、城崎の周りには数十人の組員達が居座っていた。

「‥…どうやら、そのようですね。」

和士は腕を組んで、城崎の左隣に座っていた。

「……組長は出ないんですか。」

松田が城崎に質問した。

「…でるぞ、組長は総大将は最後の方まで体力を温存してもらうんだ。」

松田の質問に壁島が答えた。

「…無礼だぞ。」

バキッ

月村が松田の頭に拳骨を落とした。

「……。」

松田は床に倒れ、失神した。

「………相変わらず、バカだな、松田。」

五十嵐が嘲笑った。

「……まったく、偉そうな質問をするなんて、アホ野郎すっね、爺さん。」

五十嵐はそう言い、城崎の方を向いた。

「お前もバカじゃねぇか!」

ドガッ

壁島が五十嵐の頭に鉄拳をかました。

「…………。」

五十嵐は松田の横で床に寝込んだ。

「……まったく、賑やかになっちまったぜ。」

城崎はニヤリと苦笑いをした。

「そう言えば、シャーロットはどうした。」

「あぁ、シャーロットは和士と一緒にいます」

またも壁島が答えた。






鉄火組総本部 正門前

「ぐはぁぁあぁぁ!」

リコッタの身体に電撃が走った。

電撃はラピッド・クローの技だった。

「……黒焦げになれ。」

ラピッド・クローは電流と電圧を上げた。

「……ぎゃぁぁぁ!」

リコッタは大きな奇声を上げた。

バタッ

地面に倒れた。

「勝負あったな。」

ラピッド・クローは失神したリコッタに詰め寄り、踏みつけた。

「…………くっ。」

リコッタは唇を噛み締めた。



東門

「ぶはぁ。」

バタン

ソロの率いる東門の奇襲部隊はブルー・サーペントの操る青い液体で水没させられ、壊滅させられていた。

「…雑魚野郎が。」

ブルー・サーペントは蔑んだ目でソロを見下ろした。

「…くっ。」

「一旦引くぞ。」

兵隊達は作戦を立て直すため、退却したのだった、




北門

「…ぎゃぁぁぁ。」

「…ぐへっ。」

「…ごばっ。」

刺客として、送り込まれた獣装戦隊7人と閃光戦隊11人が地面に倒れていた。

「…まったく、手ごたえのない奴らじゃな。」

緋菫は地面に胡坐を組んで座っていた。

負かした戦隊ヒーロー達の弱さに呆れていた。

「…普段相手にしている、フランスの怪人達は骨があったぞ。」

緋菫は深くため息をついた。

「おっ、臆するな、相手は一人だ、やっちまえ。」

バリアントと戦隊ヒーロー達の仇を取ろうと兵隊達は緋菫に突っ込んでいった。


こうしては、近衛部隊の三羽烏は敗れたのだった。



南門

「ぼへっ!」

応援に来た怪人鎧熊が爆発した。

ちなみに、城鬼は既にピュア・ピンキーに撃破されていた。

「…なんの!」

鎧熊は倒れないように気を引き締めした。

「…しつこい熊ね。」

ピュア・ピンキーは剣を構え、攻撃する姿勢をとった。

「ファイヤーボール!」

ピュア・ピンキーはファイヤーボールを鎧熊に目掛けて放った。

ドン

そして、ファイヤーボールは鎧熊の身体に直撃し、爆発した。




そして、鉄火組総本部周辺を取り囲んでいる兵隊2万5千人が武装して待ち構えていた。

「…どうする。」

「…俺達も攻撃するか。」

「いや、上からの合図を待て。」

コソコソと話し合っていた時だった。

バーン

突然、鉄火組総本部の塀が爆発した。

「…なっ、何事だ。」

「…分からない。」

「…取り乱すな、陣形を組め。」

兵隊達は困惑していた。

「…お前らの相手は。」

「…俺達だ。」

爆発した塀の上にはダイナマイ虎とスクラップ・ウォリアー、フレイム・ビートルが立っていた。

「…かっ、怪人⁉」

「…おい、ヒーローを呼べ!」

「りょっ、了解!」

兵隊達は慌てて、陣形を取り対応した。

「片付けんぞ。」

「…さぁ、戦闘開始だ。」

「…全員、まとめて倒してやる。」

3人は腕を鳴らし、群がる兵隊達に突っ込んでいった。




鉄火組総本部 縁側付近

「…準備はいいか。」

和士はストレッチをしていた。

「あぁ。」

「こっちは万端だ。」

和士の後ろには月村と武田が立っていた。

「はい。」

シャーロットも返事をした。

「じゃぁ、行くぞ…変身。」

和士は腕につけていたチェンジリングを発動させ

「…行くぞ、てめぇら。」

屑鉄仮面に変身した。

「…南門に行くぞ。」

屑鉄仮面は南門がある方へと歩いて行った。

「…おう、暴れてやろうぞ。」

「…援護は任せろよ。」

「頑張ります。」

ニトロ・リアクターと水晶騎士、ピュア・ロイヤルが屑鉄仮面の後に続いて行った。

「……広瀬。」

屑鉄仮面は強く拳を握りしめた。




南門

「……。」

固い装甲を纏った怪人 鎧熊はピュア・ピンキーのファイヤーボールを何発もくらってしまい撃破された。

「私の勝ね。」

ピュア・ピンキーはとどめを刺そうとした時だった。

「…そうはさせねぇよ。」

突然、聞き覚えのある声が耳に響いた。

声が聞こえた方に顔を向けるとそこには

「…勝負だ、ピュア・ピンキー。」

そこには殺気だった、屑鉄仮面が立っていた。

「…俺もいるぞ。」

「……俺達だろ。」

後ろには水晶騎士とニトロ・リアクターがいた、更には

「……私もいます。」

ピュア・ロイヤルが屑鉄仮面の横に立っていた。

「…兵隊は俺達がやる。」

「………任せてください。」

「………和士は魔法少女を頼む。」

3人はそう言い残し、兵隊達に目を向けた。

「……あぁ、頼むぞ、お前ら。」

屑鉄仮面はピュア・ピンキーの方を向いた。

「…広瀬。」

屑鉄仮面は少し懐かしそうに呟いた。

「…俺はお前のことをどう思う。」

突然、変な質問をした。

「…自分で言うのもあれだが、俺は外道の道に落ちたクソ野郎だ。」

「……。」

ピュア・ピンキーは何も言わず、黙り込んだ。

「……でもな、そんな俺にも守らなくちゃいけないものがあるんだよ。」

屑鉄仮面は拳を強く握りしめた。


「…奪いてぇなら、死ぬ気でこい!」


屑鉄仮面はそう言い、鋭い目をピュア・ピンキーに向けた。

「…和士君。」

ピュア・ピンキーは剣を強く降り

「…私はあなたを倒して、シャーロット様を連れていく……そして!」

剣の刃先を屑鉄仮面に向けた。

「……和士君を私のものにする。」

自分の願望を語った。

「…覚悟は出来ている、みたいだな。」

屑鉄仮面は了承した。

「……。」

屑鉄仮面は静かに拳を身構えた。

「……。」

深く瞼を閉じた。

そして

「……行くぞ。」

目を開き、ピュア・ピンキーに向かって、突っ込んでいった。



鉄火組総本部

旧家の縁側

「ぐはっ。」

「げへっ。」

兵隊達がバッタバッタと倒れて行く。

「…ちょっ、数が多すぎだろう。」

「…口を動かす暇があるなら手を動かせ。」

縁側の前で身構える、ジェット・ファルコンとバッター飛蝗が次々と兵隊達を蹂躙していった。

「…数が多すぎないか。」

「…それだけ、俺達の事を警戒しているってことだよ。」

ジェット・ファルコンの言う通り、アタナシアの怪人達はそれだけ優秀なのである。

順位が987位まである総合ランキング怪人でジェット・ファルコン達のランキング順位は


ジェット・ファルコン 45位

ダイナマイ虎     50位

サイボー熊      52位

バッター飛蝗     85位

ドリル・ブレイカー  33位

ニトロ・リアクター  32位

水晶騎士       30位

ロード・ボルト    47位

ターボ・ウィンド   69位

スクラップ・ウォリアー41位


と総合ランキングは100位以内に入る実力者達である。

彼らが相手にしているのは総合ランキングヒーローで上位20位以内に入る戦隊やヒーローばかりである。

総合ランキングヒーロー

閃光戦隊 18位

獣装戦隊 17位

ピュア・ピンキー 5位

とかなりの猛者ばかりである。

「…オラオラ!」

ジェット・ファルコンは兵隊達に連続パンチを繰り出した。

「「「……ぐあぁぁぁ。」」」

ボコボコボコ

殴られた兵隊達は奇声を上げて吹っ飛ばされた。

「かっ飛ばすぜ!」

カキン カキン

バッター飛蝗はバットを振って、兵隊達を野球ボールのように上空へ打ちまくった。

「「「…ぎゃぁぁぁ!」」」

打ち上げられた兵隊達は上空で悲鳴を上げた。

怪人はいともたやすく、兵隊達を倒していった。




そして、ピュア・ピンキーと屑鉄仮面達も拳を交えていた。

「ライジング光線!」

ピュア・ピンキーは剣先から稲妻を屑鉄仮面に向けて放った。

「遅い!」

屑鉄仮面は素早く、稲妻をかわした。

「…火炎放射。」

屑鉄仮面は腕の候の部分から火炎を放った。

「アイスシールド!」

ピュア・ピンキーは氷山を出現させガードした。

「…これならどうだ。」

屑鉄仮面は背中をジェットパックに変換させ、空を飛んだ。

「…ミサイルでもくらぇ。」

屑鉄仮面は体のありとあらゆる部位をミサイルポッドに変換させた。

「…くらぇ。」

ドドドドドド

一斉、発射した。

ミサイルはピュア・ピンキーに目掛けて、一直線に飛んでいく。

「…ダイヤ・シールド。」

ピュア・ピンキ―はダイヤモンドで出来た球体のバリアを展開した。

発射したミサイルは全てピュア・ピンキーの展開したバリアに着弾し爆発した。

「はぁはぁ。」

砂煙の中からピュア・ピンキーはボロボロの姿が現れた。

恐らくミサイルを防ぎきれなかったのだろう。

「行くよ、和士君!」

ピュア・ピンキーは剣を大きく屑鉄仮面に向けて振りかざした。



「たぁぁぁぁ!」

ピュア・ロイヤルは無数のファイヤーボールを兵隊達に向けて、放った。

ドン ドン ドン

「ぎゃぁぁぁぁ」

「ほげぇぇぇぇ!」

ファイヤーボールを食らった兵隊達は次々と倒れて行った。

「………バーニッシュ・キャリバー!」

水晶騎士は剣を振るい、無数の斬撃を放ち

「ニトロ・ダイナマイト!」

ニトロ・リアクターは炎の弾丸を発射し


『ぎゃぁぁぁ』


兵隊達を次々と倒していった。




鉄火組総本部

「…おい、力也。」

城崎は怖い顔で呟いた。

「…はい、何でしょうか。」

壁島は真顔で答えた。

「…ちょいと外に出て暴れてくる。」

城崎は立ち上がり、玄関へと歩き出した。

「…了解しました。」

壁島は深々と頭を下げた。

「綾部!」

城崎は綾部の方を向いた。

「…子分のことは頼むぞ。」

「分かってますよ。」

綾部はニヤリと笑った。

「おい、お前ら!」

壁島は怒鳴り声をあげた。


『…おう。』


鉄火組の鉄砲玉(アタナシアの隠密諜報部隊員)達90人が威勢を上げた。

「…組長に続け!」

壁島は怒号を上げて指示を出した。




数十分後

鉄火組総本部の塀の外

「ぐはっ!」

兵隊の一人が血を流して倒れた。

「…甘いな。」

水晶騎士は西洋の盾と剣を握りしめて、立っていた。

「このスケスケ騎士が!」

「取り囲め!」

「…インチキ野郎が!」

兵隊達は軍刀を構え、襲ってきた。

「…なめるなぁ。」

水晶騎士は盾で軍刀の刃をガードし、逆に持っている剣で兵隊達の急所をぶった切った。

「べっ!」

「ぼほっ。」

兵隊達は血へドを吐きながら、倒れて行った。

既に水晶騎士の周りには50人近くの兵隊達が倒れていた。

そして、少し離れた方角では


「でぃおりゃあぁぁぁ!」


ニトロ・リアクターは身体から高熱の炎を纏って、兵隊達をボコボコにしていた。

「ぎゃぁぁぁ!」

「あちぃぃぃ!」

「誰か水を持ってこい!」

兵隊達は燃えながら走り回って混乱していた。

ニトロ・リアクターの周りには20人近くの兵隊達の死骸があった。

「どんどん、かかってこいや!」

ニトロ・リアクターは雄叫びを上げた。

こうして、順調に次々と敵兵戦力を削いでいった。

更には

「…オラオラ!」

「くたばりやがれ!」

ダイナマイ虎とスクラップ・ウォリアーが戦っていた。

既に40人近くの兵隊が倒されていた。

「…お前ら!」

水晶騎は士大声で二人を呼んだ。

「……水晶騎士!」

「なんで、やっときたか!」

二人は水晶騎士の方を向いた。

「…加勢するぞ。」

ニトロ・リアクターはそう言い、敵を倒しながら駆け寄った。

「そう言えば、シャーロットは⁉」

「和士の所に行ったぞ。」




鉄火組総本部 正門前

バリバリ バリバリ

「…ぼべべべ。」

「ほげーーー。」

「びぎゃぁぁぁ。」

兵隊達が次々に電撃を受けて、倒れて行く。

「はぁはぁ、流石に数が多いな。」

ラピッド・クローはそう言い、汗を拭った。

「…少しやばいな。」

ラピッド・クローは少し危機感を感じ、一歩下がった。

「うぉぉぉ。」

「やってやるぜ」

「ぶちのめすぜ。」

しかし、兵隊達は気にせず、ラピッド・クローに目掛けて突撃してくる。

「くっ。」

ラピッド・クローは下唇を噛み締め、また、電撃攻撃をしようとした時だった。


「激鱗!」


突然、背後から叫び声が聞こえた。

突然、巨大な暴風が出現した。


「ぐあぁぁ!」




兵隊達は暴風と威圧に襲われ、失神した。

「…なっ。」

ラピッド・クローは声が聞こえた方に顔を向いた。

「…まったく深く入り込まれているじゃないか。」

そこには羽織を纏い着物姿に身を包み、刀を腰にさした、龍狐面をつけた万能対応怪人の龍狐が立っていた。

「組長!」

ラピッド・クローは戸惑いながら呟いた。

「…お前は下がれ、善治。」

龍狐はすれ違いざまにラピッド・クローの肩に手を置いた。

「ここからは俺に任せろ!」

龍狐は腰にさしてある刀を抜き、兵隊達に突き立てた。

「…度胸のある奴だけ、かかってこい!」

龍狐は威勢を上げた。

そして、その背後には

「…おう。」

「……了解。」

「……ぶっ殺してやるぜ。」

90人の鉄砲玉達が立っていた。

ゴリラやコオロギ、キリギリス、ロボットの怪人に全員変身していた。

「…暴れてやりましょうぜ、組長。」

「…全員、叩きのめしてやる。」

「…やっちまおうぜ。」

鉄砲玉達は腕を鳴らした。

それを一部始終見ていた、兵隊達は

「…かっ、かまうな。」

「叩きのめせ!」


「「「うぉぉぉぉ!」」」


怯むことなく兵隊達は龍狐達に襲いかかった。

「それはこっちのせりふだ!」

「全員、叩きのめせ!」

「やるぞ!」


「「「でぇおりゃぁぁぁぁ!」」」


鉄砲玉達は雄叫びを上げて、向かってくる兵隊達に向かって突っ込んでいき、ぶつかり合い衝突した。




北門

「ふぅ~。」

緋菫は深くため息をついて、撃破して積み見上げた数百人近くの兵隊の上に乗っかって座っていた。

「一息いれますか。」

緋菫は着物の懐からペットボトルのお茶を取り出し、飲み干した。

「にしても、手応えのないやつらだな。」

緋菫はボソリと愚痴をこぼした。

「…っ。」

「…どうする。」

「……一旦、引くぞ。」

それを遠くらか呆然と眺めていた、兵隊達は退散した。


こうして、北門は死守されたのだった。


東門

100人近く倒された兵隊達の上で

「流石にちょっときついな。」

ブルー・サーペントは汗を拭った。

しかし、兵隊達は休むことなくやってくる。

すると、そこに

「加勢するぞ。」

長宗我部が現れた。

「壁島さん。」

ブルー・サーペントはボソリと呟いた。

「…長宗我部さんだ。」

長宗我部、ブルー・サーペントの頭に拳骨を食らわした。


東門もなんとか、守りぬいた、



そして、南門では

屑鉄仮面、ピュア・ロイヤル、ピュア・ピンキーが衝突していた。

「…はぁはぁ。」

「…ふぅ~。」

「………ふぅふぅ。」

3人は荒い息遣いをし、ボロボロになりながらも身がまえた。

「……まさかここまで、やるとわな。」

屑鉄仮面は褒めた。

「…和士君もやるわね。」

ピュア・ピンキーも褒めた。

「タフですからね。」

ピュア・ロイヤルは屑鉄仮面を褒めた。


「さて……ここからは本気でやらせてもらう。」


屑鉄仮面はそう言い、腕を鳴らした。

「…えっ、本気。」

ピュア・ピンキーは驚愕した。

「………今までのは、手を抜いてたんですか⁉」

ピュア・ロイヤルも戸惑った。

「…行くぞ。」

屑鉄仮面は急に燃え上がり


「オーバーチェンジ!」


雄叫びを上げた。

すると、屑鉄仮面の身体全身が変形し始めた。

「…これが俺の切り札だ。」

そして。変形が完成し

「…イフリート・ドラグナー。」

龍を連想させるような赤い中世の鎧をまとい、頑丈そうな剣と盾を持って立っていた。

「…イフリート・ドラグナーですって。」

ピュア・ピンキーは戸惑いながら呟いた。

「…もう手加減しねぇぞ。」

屑鉄仮面は盾と剣を構えた。

「…くっ。」

ピュア・ピンキーも剣を構えた。

「………食らえ。」

屑鉄仮面の剣が激しく燃え上がった。

そして、燃え上がった炎の剣を大きく上に掲げ


「………オーバー・ブレイブ。」


ピュア・ピンキーに目掛けて振りかざした。

振りかざした刃から炎を纏った斬撃が飛来した。

飛来した斬撃はまっすぐにピュア・ピンキーに向かって突っ込んでいく。

「………熱い。」

ピュア・ピンキーは剣を構え、向かってくる炎の斬撃を受け止める姿勢を取った。

「………私は………絶対負けない!。」

ピュア・ピンキーは歯を食いしばった。

本気で炎の斬撃を受け止めるつもりだ。

「………私は魔法少女ピュア・ピンキー、ここで逃げるわけにはいかない!」

ピュア・ピンキーは強く名を名乗り、覚悟を決めた。

そして、炎の斬撃とピュア・ピンキーは衝突し

ドーン

とてつもない、砂煙がたち爆風に襲われた。



鉄火組総本部の塀の外

爆風の風は塀の外にいる水晶騎士の所まで襲ってきた。

「………なんだ。」

「………爆発。」

「………和士か。」

「……その可能性が高いな。」

水晶騎士、ニトロ・リアクター、スクラップ・ウォリアー、ダイナマイ虎は爆風に吹き飛ばされないように身を低くし、身構えた。

「うわぁぁぁ!」

「ぬはぁぁぁ!」

突然の爆風に飛ばされる兵隊達は奇声を上げていた。

「………今日の攻撃も威力あるな!」

「あぁ、そうだな!」

二人は襲ってくる爆風を堪えながら、語り合った。



鉄火組総本部 正門前

ここでも、爆風がやってきた。

「なっ、なんだ!」

「爆風!」

「誰の仕業だ!」

鉄砲玉達は戸惑う中で

「…やるな、若頭の奴。」

城崎は全て、察してニヤリと笑っていた。

「流石は若頭だぜ!」




南門

ボォォォ

南門の庭に巨大なクレーターのような窪みの中から土煙が出ていた。

仲を覗いてみるとそこには、ボロボロ姿の広瀬が地面に倒れていた。

ピュア・ロイヤル「………すごい。」

ピュア・ロイヤルは驚きのあまり、目を丸くした。

「…まだまだだな。」

屑鉄仮面は変身を解いて、和士に戻っていた。

「ピュア・ピンキー!」

「…よくもピュア・ピンキーを!」

その光景を見た殺意を抱いた兵隊達が和士に目掛けて、襲い掛かろうとするがジェット・ファルコンに死守された。

「…もう、これで終わりだな。」

和士がボソリと呟いた時だった。

ドーン

突然、暗い夜空の上に赤い花火が上がった。

それはイングス公国の軍隊の信号合図だった。

「赤い花火は確か。」

「撤退の合図やわ。」

つまり、幕引きということである。

そして、鉄火組陣営の勝利と言う意味でもある。

花火を見た兵隊は敗北したリコッタ、ソロ、バリアント、広瀬達を運んで撤収していったのだった。




数時間後

鉄火組総本部 縁側

戦いを終えて優越感に引っ立てはいなかった。

「おい、東門に木材を回してくれ!」

「バカ、西門が先だ!」

「…いやいや、東門だろ。」

壊れた門や塀の修理を行っていた。

「おい、そっちじゃねぇぞ!」

「…すっ、すみません。」

「…おい、突っ立ってないで仕事しろ。」

「はっ、はい。」

その中に五十嵐、松田、山口といった新参者達もせこせこと働いていた。

その一方で縁側近くの庭で和士と玄蔵が周囲を見渡していた。

「被害状況はどうだ。」

和士は隣にいる玄蔵に問いかけた。

「えぇ、被害状況は四方の門が破壊され、塀も一か所壊され、おまけに建物や建造物がボロボロです。」

玄蔵の言う通り、敷地内にある建物や建造物は少し崩壊し、無残な姿になっていた。

「さて、どうしたものか。」

和士が深く考えていると

「…おい、日坂。」

矢島と天沢がやってきた。

「…矢島さん。」

和士は考えるのをやめ、矢島達の方を向いた。

「…修理の方はどうですか。」

「…まぁ、再来週までにはなんとかなるって、壁島さんが行っていた。」

「そうですか。」

和士はほっと胸を撫で下ろした。

「…それより、シャーロットはどうする。」

矢島は縁側に座って、少し寂しそうな表情で固まっているシャーロットを見つめた。

「…あんだけのことがあったんだ、傷ついて当然だ。」

矢島の言う通り、昨夜の戦いには勝利したが数人の死傷者を出してしまったのだ。

意気消沈して当然である。

「…ここはやっとくから、お前は慰めに言ってやれ。」

矢島はそう言い、和士の背中を強く押した。

「…はい、ありがとうございます。」

和士は少し速足でシャーロットに駆け寄った。



つづく

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