第37話やっと、正式な求婚王子になれた

「お父さん、僕たち兄弟は、メロウが幸せになれるなら、それでいいです。メロウの幸せだけを考えましょう。その為なら、僕らは何でもしますよ。変わっていくものは、受け入れて、僕らも変わっていかなくてはいけない」とミオリが言った。

「ああ、そうだな」フロウトがうなずいた。

兄弟たちはそっと安堵のため息をついた。


「メロウよかったわね、これで、あなたは自由よ。求婚王子たちも、あなたに求婚して、正式に求婚王子になれる。貴方は、求婚を受け入れて、考えて、返事をする。

誰を選んでも、受け入れると、言ってもらっているから、断ってもいいのよ。」とエミナが優しく言った。

「エミナおばさま、ありがとうございます」

「さあ、お兄さんの気が変わらないうちに,これから、求婚の会をするわよ。関係者が全員揃っているしね。善は急げよ。隣の部屋に準備ができてるわ」



 それぞれの父親たちと、メロウの兄弟、エミナの夫と子供たちの見守るなかで、三人の求婚王子たちの求婚が行われた。

 メロウは白いガウンを着ただけで、飾りも花もつけていなかった。求婚王子たちもその日、着てきた服のままだった。

形式にとらわれず、自分たちのやり方でいこうということになった。それは、三人のメロウに対する気づかいだった。三人の中から、一人を選ばなくてはいけないのだ、仲間として絆が出来ている今、それがどんなに、悩ましい事か、求婚王子たちは知っている。

それでも、あえて選べと自分たちはいっているのだ。求婚を受けてくれるメロウに少しでも負担にならないようにしようとしたのだ。形より、内容が大事だ。

 三人で、メロウの前に並び、一人づつ、メロウのまえに立ち、赤い花を一輪手渡し、「私と結婚してください」と言った。

「ありがとうございます、良く考えてお答えさせていただきます」

とメロウが答えた。


 グオンが涙を流した。やっと、これで、正式に求婚王子だ。ギルディとアラオルは嬉しくて、笑ってグオンの肩に手を回して、「グオン、今日は、手放しで喜ぼうぜ。公表したら、大騒ぎになるよ。だからさ、今日は、この喜びにただ浸っていよう」ギルディが笑って言った。

「うん、うん、そうだね」

「はい、グオン先輩」メロウが、ハンカチを差し出した。

「ありがとう、メロウ」

「ゆっくり、良く考えて選んで。いつまでも、待つよ」とアラオルが優しい目でみつめた。

「俺は恋仲になれるように、頑張る」と、ギルディが拳を振り上げた。


 ラナンが良かったっと言ってミオリの肩に頭を寄せて泣いた。

メロウと一番年が近く、ずっと側で見守っていた弟を抱きしめて、「ありがとう、ラナン」とミオリも泣いた。

「これでよかったんだよな、ソル、」求婚をめぐって、泣いたり、笑ったりしている皆を見てフロウトが言った。「はい、おとうさん」


「おめでとう。やっと、正式な求婚王子になれたな。長い道のりだった」とアグナルが、四人にお祝いの言葉をかけた。

「まだ、やらなきゃいけないことがのこっているよ」ギラントが言った。

「そうだ、ナグに連絡して、この後、会うんだろう?公表するとなると、今回はどれくらいの反響があるかな、内容が内容なだけにうーん、しばらく、騒ぎが続きそうだね、まあ、心づもりはしておかなきゃね」とオルドが、考えこんだ。

「メロウ、君が一番大変だけど、頑張ろうな。俺たちが全力で守るから」

「はい、もう、こうなったら、何でも来いって気持ちです」


「よかった、これで、メロウが幸せになれるわ。私もずっと気がかりだったのよ、やっと肩の荷が降ろせるわ」とエミナが嬉しそうに言った。

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