第25話夏休みとお弁当
夏休みには、ほとんどの学生が家に帰る。寮に残るのは、運動部の部員達が多い。夏休み明けに大会があったりするので。
メロウは兄たちと今日の午後、早くに家に帰る。
ギルディは畑のかたずけや、植物の状態を見るために、二、三日残る。
アラオルとグオンは、メロウの見送りをしてから、午後の遅い列車で帰る。
メロウにしばらく会えないので三人の求婚王子たちは寂しさを感じたが、アラオルに、遊びにいくから、泊めてとちゃっかり、お願いした、ギルディとグオンだった。四日後にはアラオルの家に行くことになっていた。
(僕が、夏休み中にぬけがけするとでも思ってるのか?失礼な)アラオルは思った。
四日後に、ギルディとグオンが泊まりにきた、一人でメロウに会いに行けないアラオルは、「よく来てくれた」と歓迎した。
三人は毎日メロウに会いに行った。
夏はうだるような暑さだ。それでも、風があるので、ガジュマルの木の下に入ると、過ごしやすくなる。四人は、夏の午後をよく、ガジュマルの木の下で、話あった。「ギルディが、家の料理人と仲良くなって、朝から、一緒に料理して、お弁当を作ってくれたんだよ。おいしそうだよ」
「アラオルの家の料理人、とても料理が上手で、味付けが最高なんだ。今朝の、モズクときゅりの和え物がおいしくてさ」と手提げかばんから、お弁当を出しながら、ギルディが言った。
「ずっと、台所に入り浸って、瓶詰の蓋開けて、味見したりしているんだよ。明日の朝は、料理人のおばちゃんと、市場に行くって約束してさ、信じられないよ」とグオンが笑ってギルディを見た。
「明日の市場、楽しみだな。メロウなにか、おすすめのものってある?」
「おすすめなモノですか、魚、とても新鮮な美味しい魚、が売っています。私は、家に帰ってきてから、毎日魚たべています」
「魚か、明日の弁当に入れようアラオルは?」
「肉。豚、牛、鳥、なんでもおいしよ。あと、野菜、ニンジン、芋、オクラ、そうだよね、メロウ?うちの市場は美味しい物がそろっているよね」
「はい、お菓子とかもおいしいですよ」とメロウ。
「肉に、野菜、お菓子……、他に、入れてほしいものは?」
「果物ですかね、すいかとか」とメロウがお弁当のからあげをつまんで言った。
「ぼくにはきかないの?」とグオンが言った。
「グオンは、感覚重視だろう?うわっ、美味しそう。わ、気持ち悪い、あっ、かわいいって。この前、雑貨屋に行ったとき、綺麗なガラスのコップ見つけて,『これに、飲み物入れて、窓辺で、月を眺めるぼくを想像すると、買うべきだよね』って言っていただろ、おもしろいけど」とギルディが言うと、
「感覚重視って言うけどね、好き、嫌いは重要だよ。これ買って、お気に入りの服に着替えて、大好きな、あの場所で食べようって、それが買い物の楽しみだよ」と、グオンが言った。
「グオン先輩は好きな物にかこまれていたい人ですものね、おしゃれなお店の窓際の席でジュースを飲んでたら、かっこいいですよね、髪さらさらですし」とメロウがグオンにみかんジュースの入ったコップを渡した。
「なんだか、料理とか、容姿とか付加価値的なもので、負けている気がする」とアラオルが言った。
「そ、そんなこと、ないですよ。とっても頭がいいし、優しいしいんですから、もっと自信をもってください」とメロウがアラオルの方を向いて言った。
「そうだよ、俺やグオンみたいなのばかりだと、チームがまとまらないだろ?頭が重要だよ」
とギルディが器におかずを山盛りにして、アラオルに渡した。アラオルが、受取り、「わかったよ、二人だけだと、脱線してばかりで、大変だしな」
グオンが、「アラオルはへんな事で、気にしいなんだから」
「今度、皆で、市場にいきましょうよ、楽しそう」
「お、良いね、行こう、明日、皆でいく?」とギルディが笑った
「調味料もいいんだよ、ギルディは、味付けにうるさいだろ」とアラオル。
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