4% コボルトキングダムの伝説(1)
「レルー?今日も探検にいくの〜?」
「うん、どうしても......気になるんだ」
ルルファが気の抜けた表情でそういった。
小さい頃からずっと一緒にいる妹みたいなやつだ。隣の家に住んでいて、気づくとこうやって声が聞こえてくる。
ぼくたちの家は土や鉱石を固めて作っている。頑丈で、たとえ魔物に襲われても簡単には壊れないってルルのおじいちゃんがいってた。
壁にはぼくたちが通れる大きさの穴が空いていて、ルルがその穴からヒョコっと顔出していた。
彼女の青いおさげが肩に落ちて垂れている。
「あの...おっきな抜け殻のこと?」
「うん......御伽話にもあったでしょ?」
「うーんと......へへ、忘れちゃった」
ぼくはベッドに座って装備を整えていた。その近くの石の机には松明とナイフ、そして食べ物の入ったリュックが置いてあった。
「ね!今日は私も連れてってよ〜!」
「む、無理だよ〜!魔物だって出るし......それに......とにかく!危ないんだ!」
「むぅぅ!」
不満げな表情を浮かべたルルが、不満げな呻き声を上げた。
「ちょっと!窓から入って来ないでってば!!」
「いいじゃーん、だめ〜?」
「だめ!」
ルルは珍しく、ショックを受けたように、しゅんとした表情になる。ちょっと言い過ぎたかな?
「......えーと、せめて、ぼくの寝てる時にベッドに入って来ないでよ!」
「じゃぁ!いま入るのはセーフだね!」
「......分かったよ。ぼくの負け!」
ルルはそう言いながら、ニコニコした表情でぼくの家の窓から部屋に入って来た。
女の子ってよくわからない。
「じゃぁ!連れてってくれる!?」
「それはだめ!そんな顔をしてもだめだよ?」
「むぅ、グルードおじさんに言いつけちゃうよ〜?」
「それは...!困るよ!!」
「にへへ!!でもレルのお話し聞くのも楽しいからやっぱなし〜」
「あはは、なんなんだよもう」
ルルは冒険するときの服装だった。
少し前までは一緒に洞窟を冒険していたけど、今のぼくじゃ......そうはぐらかすしかなかった。
あの場所はもう、魔物が出るんだ。
僕はコボルトの子供の中では戦えるほうだけど、それでもまったく歯が立たない。
たしかに!ルルファだって運動が出来ないわけじゃない。でも、運動ができることと魔物と戦えたり、身を守ったりするのは全く話が違う!
そうやって伝えてもダメなんだ......まぁ、ルルはよく迷子になるから、うまく街中に置いて一人でいくんだけどね?
「ほんとに、本当にだめ〜?」
「だーめ!ルルファも怒られるよ?」
そこは立ち入り禁止の場所だった。
大人でさえ無断で入ることは許されない場所なんだ。僕はあのことをいってバレちゃったけど、また反省せずに通ってることが見つかったら......まったく恐ろしいよ。
「じゃぁ......一緒に怒られよ〜?」
「い、いやだよ〜!ルル、また何か見つけたら喋っちゃうでしょ〜?」
「あれは!レルも喋ってたでしょ〜!」
「そ、そうだけど!やっぱりだめ!」
それに比べてルルは能天気だ。それに、僕はもう見つかるつもりはない!
あの日、僕たちは大人に見つかったわけじゃない!思わず喋っちゃったんだ!ルルもぼくも!!
あんな恐ろしい抜け殻を見つけたら、誰だってそうなるに決まってるよ!!
「むぅぅぅ!!わかった!でも、あの抜け殻の正体はルルも知りたい!」
「あれは......絶対にグロウディアスだよ」
「ぐろう...でぃあす......?」
ルルが間抜けた顔でそう言った。本当にふにゃふにゃした顔だ。
「なんで!?覚えてないの??」
「なんかあったっけ〜?」
「伝説だよ!で、ん、せ、つ!僕たちがこの場所に移り住んだ歴史だよ!たった二百年前のことなのに、みんな覚えてないんだもん」
「だって、ルルもレルも生まれてないもん!」
「たしかにそうだけど......」
それは、ぼくたちコボルト族の中で語り継がれる昔話の1つだった。
白く輝く鱗現れし時、黒く轟く大槍出る。
黒く轟く大槍現れし時、黒く輝く鎧出る。
黒く輝く鎧、白く光る者、彼の名をアリュマと呼ぶ。
黒く輝く鎧、我らと共に大槍を折りて、あらたなる地出る。
大槍戻る時、白く輝く鱗出る。
あの日、その抜け殻を見つけたんだ。
ぼくの松明を反射して、白く輝く鱗の魔物...!!その抜け殻を!!
ビックリして声も出なかった。ぼくも、ルルも、思わず腰が抜けて動けなかった。
もしもあれが生きている魔物だったら!!お前たちはとっくに死んでいたんだぞ!?って、二人でグルードおじさんに怒られたっけ。
でも、おじさんのいう通りだ。ぼくにルルは守れない。
正直、自分一人も無理だって思う。
だけど......もしもあれが白く輝く鱗だったら、黒い大槍が戻ってきたってことでしょ!?それとも、みんながいう通りに......ぼくが、考えすぎなのかな?
「とにかく!ぼくはあれが伝説の!白く輝く鱗なのか確かめたいんだ!」
「う〜ん......おじいちゃんに相談しちゃ.........だめだよね?」
「勿論!ぜったいに怒られるよ!!」
「でも、一番ながーく生きてるよ?」
「そうだけど......うーん......とりあえず、帰ってから考えるよ」
ルルファだけは、僕の言葉を信じてくれた。多分、そっちの方が面白いからだと思うけどね?
今日はソレを確認するためにいく。もしもそれが起こったら、みんなに知らせて避難するために!二百年前の伝説のように!!
「ルルファ、今日もお留守番?」
「うん!でも......ぼくが全然帰って来なかったらみんなに伝えて!」
「それはやだ!」
「な、なんで?」
「レルが帰って来ないのはいや!」
ルルファがムスっとした顔になる。ぼくにはそれが、なんだかよく分からなかった。ルルの表情はすぐに解れた。そして、少し寂しそうにいった。
「じゃぁ、またお話し聞かせてね?レルと一緒にいると楽しいから!」
「うん......分かった!帰ってきたらね!!よーし!!」
準備を終えた僕はそういって窓から家を飛び出した。この家にはもう僕しかいないけど、ドアからだとすぐに僕がどこに行ったのか見つかっちゃうんだ。
僕が向かう先は警備する大人たちがいっぱいいて、魔物や僕みたいなイタズラ好きをこらしめるためにずっといる。
「いつもの道は......行けそうだね」
細い道を通って街の外へ、外へと抜け出す。
するすると大人を掻い潜り、子供しか通れない大きさの通路を通って、上の方に、先にへと進んだ。
崩れた岩で通れなくなった通路に出た。天井に崩れた跡がある。
「魔物が溢れたから崩したって、グルードおじさんがいってたっけ」
だけど!その岩は子供が通れるサイズの穴が空いていた。ぼくがそこを通ったからか分からないけど、今度は板で塞がれていた。でも、その上から通り抜けられるもんね!
岩を登ると、隙間に体を預け、その岩の壁を通り抜けた。
ボッ......持ってきた松明に火を灯す。
ぼくはその火を頼りに先の進んだ。水が滴る音があちこちから聞こえる。足元に溜まった水を蹴って、あの場所を目指した。
「あった......やっぱり幻なんかじゃない」
そこにはやっぱり抜け殻があった。
ザァァァ......左からすごい水の音がする。
松明で辺りを照らす、どうやら魔物はいないみたいだ。
やっぱり、恐ろしい姿だった。今すぐそこから逃げ出したかったけど、グッと我慢してそれをジッと見る。
「動かない...よね?」
持ってきた短剣で叩いてみるけど動かない。生きているように綺麗な抜け殻に、ぼくは思わず見惚れた。
辺りを照らして道を探す。これが、いつから、そしてどこから来たのかが気になった。
足元を照らす、土が抉れた跡がある。きっと、そこから来たんだ。ぼくはしゃがんでその跡に触れた。
「ま、まって!?これ......まだ新しい!?」
指で触ると、わずかに湿り気がある。
「何かがここを這いずったんだ!!でも、そんな道なんてどこにも......滝?」
その跡を辿ると、大きな滝の前に出た。
音がうるさい。ぼくの独り言も、ザァァァという音に飲まれて消えていった。
その跡は滝の中から現れていた。ぼくは、この先に何かがあることに気がついた。だけど、ぼくの体ではそれは無理だった。
息をするのも困難な風圧がぼくを襲った。
「ぷはぁ...はぁ...あれは......無理だよ」
諦めるしか無かった。その滝の奥しか道はもうなかった。いや、まだもう一つある!
「この跡は......どこに向かっているんだろう?」
危険だと分かっても、その好奇心を殺すことはできなかった。その跡をなぞるように、ぼくは松明で行く先を照らした。
辿り着いたのは壁だった。いや、その上に向かって跡は続いている。
ぼくは松明を咥えると、梯子のようにその跡に手をかけ、一つ、二つと上がっていった。
慣れた手つきで上がり切る。すると、目の前にまた大穴が現れた。その中を照らすと、今度は下に向かう段差が待っていた。
「ふ、深いなぁ......」
思わず呟いた。だって、下が見えないんだよ!?
だけどこれも慣れっこで、ぴょんぴょんと飛び降りながら下を目指す。すると、また通路が現れた!跡がそこに続いている。
ぼくはそこで少し怖くなった。もし、もしも何か出て来たら、ぼくはこれを登ることができるかな?
後ろを振り返ってそんなことを考える。
松明を前にかざして進む。この通路は大きく、まるで壁を壊したように岩肌はボコボコと膨らんでいた。
「あれ......また別の通路??」
ぼくは大きな分岐にいた。右と左で、跡は左に伸びていた。それは、大きな横穴だった。さっき通って来た通路と違って、とても綺麗に整えられていた。
「ここ......ここだ!!二百年前にぼくたちのご先祖さまが、黒く輝く鎧の守護者と一緒に作った通路!!やっぱり、伝説は本当だったんだ!!」
間違いない!それはぼくの中で確信に変わっていた。
黒く輝く鎧の守護者、アリュマ...!
きっと!きっとそのアリュマがどこかに居るはずだ......分からないけど、昔話なのかもしれないけど、ぼくは、この目で白く輝く鱗を見たんだ!!
感情が昂っていた。冷静な判断も、恐怖心も消えて、今はそれを証明することでいっぱいだった。
ぼくは松明でその先を照らす。多分、右に行けばグルードおじさんたちが見張っている門に出ると思う。だから左に進むけど、一体どこまで続いているんだろう?
ドォ......!!
遠くで重い音が響き渡った。まるで岩が崩れるような、そんな音だった。
「ひぅっ!?」
その恐ろしい音に反射的に身を小さくする。
なんだ?何がいるんだ??
奥を見ても何も見えない。松明を向けても足元だけが灯され、その先に続く暗闇は晴れない。
もしも魔物が近くにいるなら、きっとぼくはすぐに見つかってしまうだろう。
ぼくの目はその先が見えないけど、魔物の目は暗くてもぼくを見つけることができるから。
反対の通路に走って逃げようかと思った。怒られてもいいから、とにかく安心したかった。
ドォォォォォォ......!!
さっきよりも...大きい!
鼻の奥が熱くなる感覚に襲われた。
さっきまでの威勢は消えて、今は恐怖だけがぼくの心を捉えている。
怖い...怖くてたまらない...!!
何も映らない。何も......起きない?
「静かになった...?なんだよ!驚かさないで......よ.........!?」
ぼくは咄嗟に身を隠した。すぐに松明の火を消す。
何かいる!!違う!何かいた!!何かがいた!!何かがいた!!
パニックになる体を押さえつけるように、ぼくは岩に身を隠した。隙間がないように、ぴったりとくっついた。
なんとか、なんとかやり過ごせないか...!?
「パキ...ピキ......」
『ち...近いよ!近い、近い!!』
落ちている石の破片が割れる、乾いた音が聞こえる。
バクバクと鳴る心音が、骨を伝わって耳にまで振動した。
奥に行き過ぎた...油断した......!!
「あ......」
ぼくは思わず、誰にも聞こえない小さな悲鳴を上げた。
暗闇から飛び出したのは、美しい魔物だった。黒く長細い胴体には、キラキラと光った宝石のような模様があり、スラッと伸びた羽は剣のように鋭く艶がある。
青黒い目は闇の中でも艶やかで、思わず見惚れてしまった。
大きく伸びた大顎が、まるで死神の鎌のように見えた。
ぼくの右目が魔物の目とあった。
「く...来るなぁ!くそ...!!どっかいってよ!!」」
僕は咄嗟に手に持っている短剣で応戦する!!
ほとんど何も見えない。適当に目の前を振り回した。カチカチと硬い感触が手に伝わる。
怯むどころか、ダメージすら負っていない様子だった。
ガチガチガチガチ!!その音にぼくは手に持っていた短剣を落としてしまった。
もうダメかな?ダメなのかな?
突然、魔物がピクリとも動かなくなった。
何があった!?もしかして、僕の一撃が急所に入ったとか?
そんなことはない。
気づくとそこには、淡い光を放った半透明の光の玉が浮かんでいた。そんな魔物、聞いたことも見たこともなかった。
黒い鎧の守護者......??
その魔物の姿は、まさにその言葉に相応しい姿をしていた。
でも変だ、聞いていた姿とは全く違う!!もっとゴツゴツして、まんまるした人だって、ルルのおじいちゃんがいってた気がするけど......きっと!!これがアリュマなんだ!!
「ありゅま...?なんだ...驚かさないでよ!!あはは!!」
やっぱり敵じゃない!ぼくの目の前で様子を見るようにふわふわと浮いている。可愛い!!そうだ、自己紹介をしてみよう!!
「僕はレリュータ...レルだよ!君は?」
アリュマに言葉がわかるのかな?
そう思っていると、また黒い魔物の中にふわっと戻った。そして、壁をガリガリと前脚で削り出した。
すごい!ちゃんと言葉が通じるみたいだ!!
だけど途中で手が止まった。どうしたんだろう?文字が分からないのかな?
「どうしたの...?」
ぼくはその姿を見て声をかけた。アリュマはその怖い顔をゆっくり上げると、困ったような表情でぼくを見た。
ぼくも困った。きっと文字が分からないんだ。どうしよう......そうだ!!
「...こっちにきて!アルマ!」
僕はすくっと立ち上がった。
とりあえず!あの抜け殻をアリュマに見せてみよう!そうしたら、何か思い出すかもしれない!!
少し走って振り向くと、アリュマは困った様子で立ち止まっていた。
「きーてーよー!!」
胸をトントンと叩いて合図をする。きっと魔物だから、ぼくたちの言葉や文字が理解できないんだとおもう!
もしかしたら、ジェスチャーもアリュマには無いのかもしれないけど......お願い!伝わって!!
「パキ......パキ......」
やった!やった!こっちに来た!早く、早く見せないと!!
ぼくは元来た道を戻った。デコボコした右の通路に戻って進むと、段差を登ってアリュマを待った。
「こっち!」
アリュマがトコトコと付いて来た。なんだか......可愛い。
僕は登りきったところからアリュマを呼ぶと、急いでその先の目的地に向かった。
ブゥゥゥ......背後でそんな音が聞こえる。その音に驚いて振り向くと、アリュマがもうそこにいいた!!すごい!!
「こっちだよ!急いで!」
僕は少し驚きながらも更に先へ進む。
割れた岩の足場をぴょんぴょんと飛び移って先へ、奥を目指す。
ブゥゥゥゥゥゥ!!そんな音が後ろから聞こえる。ちゃんとぼくの後をついて来てるみたいだ。
目的の場所に辿り着いた。目の前にはグロウディアスの抜け殻がある。
アルマはそれを眺めて固まっていた。しばらくすると、アルマが僕を指差して、その後にあの抜け殻を指差した。
どういうことだろう......あ!もしかして?
「僕...?ち...違うよ!違う!グロウディアスだよ!恐ろしいんだよ...本当に......!」
そう伝えると、アリュマはトコトコとグロウディアスの抜け殻のある場所まで歩いていく。そして、脚先でツンツンと突いていた。
やっぱり、やっぱり気になるんだ!!
しばらくすると、またトコトコと歩いて帰ってきた。
「グロウディアスはぼくたちの脅威だよ。ぼくたちを追ってきたんだけど...みんな...ぼくを信じてくれないんだよ...!!」
一気に説明したけどわかるかな?そう思っていると、アリュマが両前脚を上下に揺らす。きっと、理解するために時間をくれみたいなことなのかな?
なんだか...ほんとにコボルトみたい!
すると、アルマが絵を描き始めた。にょろにょろとした太い線が、一つの箱?に集まっていく絵だ。
きっと、ここにグロウディアスが集まるのかって聞きたいみたい。
「違う!違うよ!」
僕は少し大袈裟に首を横に振っておいた。
今度はぼくが絵を描く番だ!とりあえず、ぼくたちの伝説と、ぼくがここに来た理由を描いてみよう。
アルマはそれを見て固まっていた。その絵が何かを理解しようとしていた。
トントン、アリュマが四つ目の絵を叩いた。どうしたんだろう?
「......!!分かった!!」
ぼくは黒く輝く鎧の守護者を描いた。ルルファのおじいちゃんがいつも言ってた姿だ。アリュマは固まっていた。
また首を横に傾けると、もう一度トントンとそれを叩いた。
ぼくは、それが同じアリュマであることを伝えた。すると!今度は両前脚を上と横に伸ばして、動かし始めた!?
「.........分かった!!分かったよ!!」
時間!きっと、それがどれだけ前に起こったことかを知りたいんだ!!
ぼくは急いで200年と、床に文字を刻んだ。
すると、次はアリュマが床に数字を書き出し始めた。
すごい!もう数字が分かったみたいだ!!
2と0以外は空白で、ぼくはその空白に残りの数字を書き足していった。
またアリュマが固まった。前脚で頭を抱え出したり、体を捻って悶えたり、なんだか......本当にコボルトが中に入ってるみたいだ!
「ふふ、あはは!」
ぼくは笑いを堪えきれなかった。
声を出して笑っちゃった。
アリュマはぼくを不思議そうに見つめていた。
チリーン......!!
透き通った音がした。
ぼくは、その音がした方に目がいった。
ぼくの笑い声は恐怖で引き攣った。
「にゃ...なんで......アリュマ!!」
グロウディアスの幼体がそこにいた。
どうして?抜け殻から......なんで!?
チリーン。チリーン。その鋭い音と共に、次々と産み落とされていく白く輝く鱗たち。それはモゾモゾと蠢くと、仲間の近くに集まっていく。
「だめだ...まずいよ...」
アリュマがトコトコとグロウディアスの近くに歩いていった。何をしているの!?
チリーン。その間にも次々と産み落とされる音が響き渡る。
ぼくはその昔話を、伝説の始まりを思い出していた。
“白く輝く鱗現れし時、黒く轟く大槍出る“
本当の脅威はグロウディアスなんかじゃないんだ!!
きっと、きっと、まだ見えない何かが潜んでいるんだ!!
そう思って顔を上げた時だった。ぼくのその考えを、一瞬で白紙にするような恐怖が出来上がっていたことを。
アリュマ...?まだ、まだ気づいていないの!?
「アリュマ!!危ない!!逃げて...!!はやくぅっっ!!」
鱗と鱗が集まって、一つの大きな魔物がぼくとアリュマを見下げていた。
「ま...まずいよ......グロウディッ...!?」
気づくと僕はアリュマに運ばれていた。安全な高台に降ろされると、アリュマはすぐにグロウディアス目掛けて羽を震わせた!!
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