2% 序盤に出てくるヤバい奴(3)
とりあえず危機は去った。
今俺が何をしているのかというと、この問題に直面していた。
右と左の選択肢。そう、ダンジョン攻略にありがちな分岐点だ。
行って戻ればいいじゃーん!なんて、気軽にはいけない。
・完全初見!
・事前情報なし!
・大体の敵の攻撃が一発アウト!
・詳細なマップも何もない!
・そもそもここが何かも分からない!
・アットホームなピリピリした空気感!
分岐点の間違い=即死もこの状況ならあり得なくはない。
いくら車が派手に壊れても問題ない状況でも、自ら進んで壊すアホはいないだろ?
まぁ、そういうことだ。たまに居るけどな?
『右か左か......どっちにするか』
分岐点は、真っ直ぐに続く右の細い道と、下層に向かう左の細い道に別れている。
細いといっても広めのトンネルくらいのサイズ感はある。
下層にはまだ向かわないので、消去法的に右の道を進むことにした。
『マップも埋めたいし、何よりルールがわからねぇー』
仮にこのダンジョンが、下に行くほどレベルが上がるルールで作られているならば、恐らくはザトウヌシクラスの化け物かそれ以上がゴロゴロ出てくるってことになる。
つまり!さっきの地獄のような逆境が、微笑ましい思い出に変わる可能性がある。
逆に下に下がるほどにレベルが下がるなら、ここからは比較的安全な旅になるってことになる。
それを踏まえても、今すべきことは一つだった。
『上層部のマップ埋め!!』
どんなゲームにしたって攻略者の定めだろう。ダンジョンが短く、何度もクリアしているならマップ無しでも問題はないが、流石にこれだけ広いときつい。
俺は右の道を蜘蛛の脚を使い、トコトコ?いや、ピョンピョンと進んでいく。
壁を歩いて道中でエンカウントする敵を交わしながら、ガンガンマップを埋めていく。
≪...+1...≫
よし来た!MPの回復タイムだ!!
実はMPの回復は時間制だということが判明した。これが共通のルールなのかは不明だが、大体5分に1P程度回復する。
『久しぶりに飛ぶか...!!』
早速、行く先の天井を目掛けて糸を飛ばしたいところだが、そう簡単じゃない。
俺はキョロキョロと辺りを見渡すと、近くに落ちていた石に尻をくっつけた。これで糸が石に固定される。
今回は通常糸だ。通常糸は尻から出る一点しか粘着性がない特性がある。前回カースハベルタスに使った変質糸は面白い効果が多いが消費するMPも3Pと多い。
変質糸の効果は簡単に説明すると以下の様。
『硬質化』...硬い糸。丈夫。
『粘質化』...全体がベタベタな糸。触る場所間違えるとやばい。
『硬粘変化』...よく分からない。名前的に硬質糸のベタベタ版?
『粘硬変化』...よく分からない。何が違うんだ?
実験したいが消費MPが多く、遊ぶ余裕があまりない。それに、当然手首から飛ぶなんてスタイリッシュな方法ではないから、自由に扱うことも難しい。
俺は糸をくっつけた小石を、ハンマー投げの要領で尻を振って回すと、勢いを乗せて飛ばす!
高速で吹っ飛ばされた石に引っ張られる形で、俺が釣られる!!
ある程度飛び、勢いも落ち着いたら糸を切り離して離脱する。この流れだ。
これが割と速く、着地を一度でもミスるとミンチになりそうだが、普通に移動するよりも2倍程度速い!!
レアエネミーのような素早さだが、スペックはその辺にいるような雑魚キャラだ!
『......ん?』
そんな強引な移動をしていた道中で、不意に横道を発見した。そして、その奥から更に何かを見つける。
細長く、黒い大きな何かが、その場でモゾモゾと動いていた。
これは.........敵か!?
ぴろっ!!
【バルガーペンドピード 脅威度C】
バルガーと名のつくムカデみたいな敵だ。
実は度々、バルガー〇〇というスタルタスやハチみたいな魔物がいた。
恐らく、この『バルガー』はこの場所の地名か何かだろう。まぁ、ゲームや現実でもよくある名前の付け方だ。
地名を付ければ地名の知名度が上がるってな!
『ははは......くだらねぇ!よし!暫定的にここを、≪バルガー山脈≫としよう!』
ぴろッ!
例のSEだ。
脳内マップを開くと、ちゃんと地名が『バルガー山脈』と充てられていた。ビンゴだ!
なるほど、こうやって限られた情報から推測したり考察するのも面白い!今のゲームはなにかと親切だからな!
さぁ!どうする?あの体に乗り換えるか?
ゲームだったら乗り換えるが...正直。
『脚がいっぱいある体は嫌だなぁ......』
思わず心の本音が溢れてしまった。どう考えても操作性が悪い。しかし、情報を得るには一度は入らなければならない。
バルガーペンドピードはアゴが発達しており、恐らく毒持ち。サソリのように尖った尻尾は、槍のように鋭く長い。
『そんな役割だったっけ?ムカデの尻尾って?』
まぁいいや、とりあえず壁沿いに移動して、ターゲットの様子を伺う。
不意打ちも狙えるが、恐らく今の俺のこの弱々しい毒牙では、奴に耐えられる可能性が高い!
この蜘蛛が俺の転生先の本体だったら出来たかもな。レベル上げとかしてな?
『おっと!あちらさんもこちらに気づいたか!?』
その鋭い槍のような二又の尻尾で威嚇...?
ムカデの尻尾ってそういうもんじゃないと思う。やっぱり。
しかしもう遅い!なぜ俺が蜘蛛の体を愛用するか?答えは簡単だ!!
奴は俺の”巣“に入った。途端、奴は脚の不自由さを感じ、もがく!もがく!暴れ回る!!
『残念〜!むだだ!』
俺はもがく奴の体を、更に糸でぐるぐると巻いて固定する。そして動かなくなった奴の上に乗ると、一部だけ剥き出しにしておいたある場所に向かってトコトコと歩く。
その場所とは、生物共通の弱点である頭だ!!
俺は毒牙を構える。
こいつは動けない。
周囲にこいつの味方もなく、呆気なくそれは進んだ。
ブジュッ!!潰して終わり!!一撃必殺!!
『...って!!おぃぃぃぃぃ!!駄目だよ潰したら!!』
奴の頭は原型なく崩れており、もはや手遅れにも見えた。
俺は蜘蛛の体を飛び出そうとする。どうすればそれが可能なのかがわからず、相変わらず蜘蛛のまままごまごと動いていた。
『で、で、出たい!!』
そう強く思った瞬間、出てた。蜘蛛の器は力無く床に座り、俺はその様子を見ている。
なるほど、どうやら出ることを意識して、覚悟すると出られるらしい。
ふわふわと半分頭のないムカデの元に辿り着くと、ゆっくりと乗り移った。
『よし!なんとかなった!!けど、駄目だこりゃ......HPは既に0!対応限界値だ......』
やはり動かない。壊れたラジコンのような状態。動かそうとしても何も動かず、そもそも視界も安定しない。ノイズと黒い視界で、そのほとんどが見えない。
どうしたものかと考えたが、少しして気づく。
『まぁ...蜘蛛に戻ればいいか!』
再びそこから出ることを意識する。そしてそのまま蜘蛛の中に戻っていく。大丈夫だ。ちゃんと動くし、視界も安定している。
どうやら仮に一度離れても、器が壊れない限りは出入り自由なようだ!便利だな!
とりあえず新しい器を得ることには失敗したが、新しい情報と発見を得ることには成功した!
そう、コイツの器のステータスだ!
ピロッ!!
【朽ち果てたバルガーペンドピード ランクD】
≪ステータス≫
HP 0/120
MP 0/52
ATK 110
DFE 53
MDF 17
SPD 32
≪固有スキル ペンドピード≫
【多足】...脚部の痛覚を無効化する。また、最大HPの10%を消費して自己再生を行う。
【槍の尾】...尾での攻撃時、相手に追加のダメージを与える。
【殻纏】...痛覚を軽減し、被ダメージ時の攻撃乱数が低くなりやすくなる。
【鋭い猛毒牙】...牙の攻撃に猛毒を付与する。また、牙での攻撃時に相手に追加のダメージを与える。
朽ち果てたって......やっぱりHPもMPも0だな。
どうやら耐性や弱点などは見れない仕様らしい。あるとは思うが、これに関してはいちいち表示しないのだろう。
現にコイツ(フロートスタルタス)は経験則上二つの耐性を持っている。
『多分、≪毒耐性≫と≪落下耐性≫...だな』
そして
その代わり、頭はこの通りの弱点で、貧弱な俺でもしっかりと狙えば、HPとか関係なく一撃で倒せるマイナス特性もある。
HPとかはあくまでもその器の耐久値で、普通に今回のように頭部破壊みたいな部位破壊ができれば、割とさっくり敵の処理は出来るようだな。
『ゲームだと時間かかるのに、ムービーだとあっさり倒しちゃうし、倒れちゃう現象だな』
しかし、器が原型を留めないレベルで壊れると、今みたいに器は動かなくなるから注意ってわけか。
要するに、捕獲したい奴はHPを0にして弱らせて、どうでもいい奴は一撃必殺で体ごと吹っ飛ばせば万事OK〜!!
『んで、この不味そうなムカデは食った方がいいのか?』
空腹感はないが、もしかしたらこれがHPの回復手段とかなんじゃ?なんて思った。
俺の目の前で、今も頭部が溶けて爛れる巨大なムカデの体。
見ていられるものでもなく、普通にグロいし気持ち悪い。モザイクが必須。
『......いや、やめておこう』
少し考えてやめた。腹壊しそう。というか食べたいと思わない。俺の本能が全力で首を横に振っていたのでやめておく。
......食育経験?
真っ平ごめんだね!!俺は俺の固有スキル、≪食わず嫌い≫と≪偏食≫を発動させてもらう!!
そうだそうだ!これも報告しないといけない!
『スキルは引き継がれない!』
いや、正確には一部引き継ぎで、種族として合致するスキルの幾つかが手に入る?と予想する。
例えばこのムカデからは≪鋭い猛毒牙≫を引き継いだ。
確かに槍の尾なんてフロートスタルタスには要らないし、殻なんてまとってないからな!≪毒牙≫スキルが1つレベルアップしたと見ていいだろう!!
因みに蜘蛛だから、≪多足≫もちゃっかり引き継いだが......絶対要らない。
最悪、脚を囮にして逃げる戦法に使える程度だと思う。疲労感とかは感じるけど、どうやら俺は痛覚を感じないみたいだし!
というか既に肉体は死んでるから、疲労感を感じるのも変だけどな?
とまぁ、ゲーム感覚で行けばいいのだろう。構わずマップを埋めていく。
『案外、敵も少ないなぁ......』
上層部はやはりそこまで広いわけではなく、敵もあのハベルタスとかいうザトウヌシの子分と、さっきのペンドピードぐらいだ。
『そろそろ新しい敵来ないか〜?』
実はザトウムシことハベルタスシリーズは、前倒した奴と同じだが、カースハベルタスの乗っ取りには成功している。
ただし、動きにくいわ!歩くたびに脚が刺さるわ!でヤメタ。
どうやらスキル≪刺足≫が悪さをしていたらしく、地面をサクサクと切り裂きながら歩きやがる。
これを引き継いだらどうしようかとヒヤヒヤしたが無事だった。
壁とか崖はこれで、コストも無く、難なく登れるので便利だが、やっぱり脚が遅いから不便だ。
『ん?そういえばあのムカデ、脅威度がCでランクはDだったよな?どういうことだ?』
マップ埋めに励む途中、俺はその事実に気づいた。
魔物図鑑を開いて確認する。
ぴろっ!!
≪魔物図鑑≫
ペンドピード種 ランク不明〜???
劣等スモールペンドピード ランク 不明
L劣等ペンドピード ランク 不明
Lスモールペンドピード ランクF
スモールペンドピード ランクF
Lペンドピード ランクE
Lバルガーペンドピード ランクD
ムカデ系統 ランクE〜???
Lペンドピード E
L ??? 脅威度???
L ??? 脅威度???
L ??? 脅威度???
L ??? 脅威度???
???系統 ランクE〜???
Lペンドピード ランクE
L ??? 脅威度???
L ??? 脅威度???
L ??? 脅威度???
L ??? 脅威度???
L ??? 脅威度???
L ??? 脅威度???
???系統 脅威度???〜???
L??? 脅威度???
L??? 脅威度???
??? 脅威度???
やっぱりそうだ。脅威度とランクの値が合致しない!!
ということは、脅威度は今の俺に当てはめた相対的な数値で、ランクは全体的に当てはめた絶対値ってことぉ??
...となると話が早い。つまり、脅威度で俺のランクに勝る相手は、基本的に俺よりも格上と見ておけばいいってことだ。
じゃぁ脅威度が上振れて不明の奴ら、ザトウヌシとかバルカはどんな強さしてたんだ?
実際のランクにしたら、それ以上の器ってことだろ?それか、俺が雑魚すぎたのか??
『まぁ、なんにしても逃げて良かったなぁ〜.........お!?』
ヤスデか何かは知らないが、奥から何か丸っこいたこ焼きみたいな物体が転がってきた。
あれは......間違いない!!
『ダ...ダンゴムシィ!?』
ぴろ!
【ローリーポーリー 脅威度E】
それは、一見すると岩のような見た目をしていた。
ゴツゴツとしており、大きさもそこそこだ。
小さく見積もってもバスケットボールボールサイズで、ゴロゴロと、質量感のある音を立てて転がっていた。
きた!!これだよ!!この自由度!!転がって移動とかまさに攻略の幅が広がるだろ!?
奴は俺にその勢いのまま、渾身のタックルをお見舞いしようとしていた!!
しかし!俺も俺でやられる訳にはいかない!即座に≪硬質糸≫を、右端の壁から左端の壁にくっつける!すると、俺の目の前に糸の壁が出来上がった!
目の前まで迫ったダンゴムシが、その糸に引っかかる!!
キリキリキリキリ...!!金切音のような鋭い音が目の前で鳴ると、徐々に敵の勢いが落ちていく。
プツンッ!プツンッ!重ね掛けた糸の何本かが耐えられずに切れる。
大丈夫だ!切れたのは恐らく通常の糸...!
俺はその間にもMPが許す限りの糸で頼みの硬質糸を補強していった。
ぐぐぐっ...!!と、糸が完全に敵の勢いを殺すと、バチュン......!!
解放された力で、ダンゴムシは元いた場所まで飛ばされて行った。
『......っていや!どこにいくぅぅん!?』
まるでパチンコのように綺麗に弾けた。
≪粘着糸≫で止める方法もあったが、本当にベタベタなんだ。万が一仕留めてもまともに動けない可能性があるのでやめて、こっちの勢いを殺す方法にしたのだが......もう奴は見えなくなった。
『しまった......!!そりゃそうなるか!!』
しかし!だからといって毒牙を使えば、器をさっきのように壊す可能性もある。
なんとか外傷をつけずに器を頂く方法はないのか......??
そんなふうにしばらく考えていると、再び奴が目の前まで迫っていた!!またしても速い!
だがしかし!ビヨーン!バチーン!!既に完成された俺の糸のバリア前には、その勢いも儚いものだった。
さっきのダンゴムシこと、ローリーポーリーは、そうやって行ったり来たりを繰り返していた。糸は......大丈夫、どうやら≪硬質糸≫で強度は十分らしい。
どうやら、この先の奥は行き止まりらしく、コイツはここを通るしか道がないようだった。
『あれ?アイツ......もしかして詰んでる??』
案の定だった。もう、いっそ殺してくれ!
高速で回転するその刹那の瞬間に、奴は光のない虚ろな目で俺を見てくる。
やめろ!そんな目で俺を見ないでくれ!!
『いや...諸悪の根源、俺なんだけどね?』
といっても、素直に通す気はない。
こんな美味しいチャンス逃す訳がない!!
7並べでルートをせき止める嫌がらせの如く、≪硬質糸≫が切れそうになったら貼り直すプレイをひたすらに続けていた。
奴も意固地になってそれを突破しようと勢いをつけるが、ボヨーンと跳ね返される無慈悲。俺はそれを眺めるだけ。
しばらくすると、ぴょこぴょこと動いていた奴の触覚が動かなくなった。
『あー......』
どうやら、餓死している。
なるほど、餓死寸前だから俺を狙うしかなかったのか......そりゃ悪いことをした!
しかし都合がいい、スタミナ勝ちしたわけだ。リアルな世界ではそういう攻略もありなんだな。いわゆる兵糧攻めってやつか。
未だに惰性でビョンビョンと遊んでるアレを止め、早速器を頂いた!
ピロッ!
【ローリーポーリー ランクE】
≪ステータス 弾丸状態≫
HP 70
MP 5
ATK 20
DFE 255
MDF 170
SPD 60
≪固有スキル ペンドピード≫
【多足】...脚部の痛覚を無効化する。また、最大HPの10%を消費して自己再生を行う。
≪ユニークスキル ローリーポーリー≫
【弾丸移動】...丸まって移動できる。
【弾丸状態】... ステータスを弾丸状態に移行する。
【鎧纏】...痛覚を大幅に減少させる。また、被ダメージ時の攻撃乱数を中央値にする。
【収納】...持てるアイテムが増える。
『いや、なにぃ?スキル構成がよく分からないぞ?いや!運び屋か?君はポーターなのか!?』
痛覚の大幅軽減はどーでもいいとして、攻撃乱数が中央値ってことは、一定のダメージ量しか喰らわないってことだろ?
ゲームなら高乱数で乙るって場面はよくあるからありがたいが......この状況なら全部が高乱数近いダメージなんだよなぁ!
高乱数で1100のダメージが、通常時では100とかあり得...ないな。それ、どんな倍率だよ。壊れすぎだろ。せいぜい高乱数で110のダメージが100に収まる程度の差だろう。
少なくとも序盤には要らない。
『なるほど、全体的には防御力特化なのか』
防御力はまさかのカンスト!別ゲーム基準だけど。つまり、攻撃力はうんちでも、防御力はメタル級ってわけ!
何発か......せめて、せめて一発はスキルありきでも耐えるだろう!そうだろう?なぁ?
もう一つ気になることがある。それが、≪弾丸状態≫を解除したステータスだ!
解除するぞ?さて、どんなもんなんだ??
俺は丸まった体を元に戻した。相変わらずゴツゴツしており、暗闇ならその辺の岩と見間違えるレベルだ。
ぴろっ!
≪ステータス 通常時≫
HP70
MP5
ATK10
DFE85
MDF57
SPD20
うん。≪弾丸状態≫スキル、どうやらまぁまぁ強い。
強化倍率は2倍から3倍って所か?いや、普通におかしいレベルの倍率だな??
大抵のゲームなら、1.1倍の倍率でさえ大分重宝するレベルなのにそれが2倍?3倍!?
それでも生き残れないのは世知辛いな。
『それで...?何?この≪収納≫って謎スキル......え??』
俺はそんなことを思いながら、どこに収納するのかを考える。
モゾモゾと脚を動かしてみたり、触覚をピコピコと動かしてみたりするが、特に運べそうなイメージはない。
そんな時だった。腹部から、何やら妙な感触が伝わってくる。
『あ、もしかして、丸まった中に収納するのか!?』
そう仮説を立てると、俺はその場からトコトコと歩いて移動する。何か硬いものが腹部に当たり、コロン...!!
正確にはコトっと音を立てながら何かが落ちた。それは、俺の肝を冷やす物だった。
『げっ!!ムカデの頭じゃねぇか!!それだろ敗因!なんで肉の多い部分じゃなくて殻しかない頭なんだよ!お茶目かよ...ぉぉぉ。』
しかし、ムカデの頭でそこそこデカいさえも収納出来ることを知れた。
このスキル、意外と有用かもしれない。
どういうことか?まぁ、そのうちわかる。
俺は再び弾丸状態に移行すると、そのままその先に向かってコロコロと転がっていく。
『おぉ!!スゲェ!速い!蜘蛛も速いとは思ったがその比じゃないぞ!』
ものすごい勢いでマップが埋まっていく。
フロートスタルタスと比べて、実質的なSPDのステータスは下がっているが、スキル≪弾丸移動≫のおかげか、体感だとかなり速く感じる!
慣性が強く、少々操作と方向の調整が難しいのが難点だが、この調子で行けばこのフロアの突破も楽勝だ!!
ゲーム感覚で行けばいい。そうだ、いつも通りにな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます