第2話

目を覚ました。周囲は見慣れた病院の白い天井ではなく、鮮やかな青空が広がっていた。私はゆっくりと起き上がり、周囲を見渡した。どこまでも続く緑の草原が広がっている。風が吹き、柔らかな草がサラサラと音を立てる。

「ここは・・どこ・・・・?ってええええええええ」

勢いに任せて大声を出してしまったが、私にとってここがどこかよりも重要な問題に直面した。

「た、立ってる、私、一人で立てた」

介助なしで自分の足で立てたのはいつぶりか。慣れていないせいか不思議な感覚。

喜びに浸っている私の前にウィンドが現れた。

「なにこれ」ポチッと画面に指を触れるとメッセージが表示された。

__おめでとうございます!あなたを異世界へ招待します。__

ここって異世界なんだ。続きを読んでみると。

__まずは転生特典を差し上げます。__

目の前に小さなポーチが降ってきた。中を確認すると、カメラとナイフが入っていた。

__カメラは旅の思い出を撮影するために使ってください。撮りたいものを念じるだけで撮れるので難しい操作は必要ありません、ちなみにこれは私が魔法で作ったものですので壊れないのでご安心を、それとナイフは護身用です。この世界はモンスターが出ますので自分の身は自分で守りましょう。__

「さらっと物騒なこと書いてあるけど大丈夫かな、初日でゲームオーバーとか笑えないよ」

__あなたの職業は”旅人”ステータス画面も表示できるから空いてるときに目を通してください。あなたの旅の思い出話ができることをお待ちしております。それでは良い旅を__女神より

旅をすれば女神様に会えるのか・・・ちょっと気になる。私はステータス画面を開いた。

画面上にはname:ヒナと職業:旅人と表示され下にパラメータが表示された。

攻撃3

防御4

回避10

魔法0

道具操作∞

いかにもRPGの初期ステータス見たいだが、回避が異様に高いのと、魔法が0!?そして、道具操作が∞!?

「∞っていったいなんだろう」

「ひとまず街へ行って情報収集だな」

私は草原の奥に見える街を目指して歩き出した。長い旅の始まりだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界を旅人スキルで放浪する 梧桐 @aogiri0408

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画