第2話 シンデレラ?

「わー!!!!!お兄ちゃんの部屋すっごいエロい!!!!!」


何を言っているんだこの次女。

俺は汗をかきながら隠し損ねたアニメのポスターとかエロゲのフィギュアとか見る。

冷や汗が止まらない。

まさかいきなり女子に見られるとは。

この部屋を...。


「お兄ちゃん。でも私は嫌じゃないよ」

「え?...いや。キモいだろ。2次元の女の子の...その。下着が見えるし。ゴメン。隠し損ねた」

「まあまあ。あの短時間でよく隠したと思うよ。お兄ちゃん」

「...そ、そうか」


するとニヤッとし始めた明菜。

それから「で?もっとエッチなものは?」と聞いてくる。

漁る気満々だ。

俺は青ざめながら「待て。止めてくれ」と言う。

明菜は「はーい」と言いながら漁るのを辞めながら「でもさ。お兄ちゃんってアニメ好きなんだね」とニコッとする。


「あ、ああ。すまない。こんなだらしない兄で」

「いやいや。キモくないよ?だって私もアニメ好きだし」

「あ、ああ。そうなのか」

「そうそう。でもお姉ちゃん。三葉がアニメはあまり好きじゃ無いの」

「そ、そうなんだな」


明菜はぽよんぽよんとベッドで跳ねながら俺を見てくる。

そして「どんなアニメが好き?お兄ちゃんは」と笑顔になる。

俺は「そうだな。...ラブコメ系なんだが...受け入れれるか?」と言ってくる。

すると明菜は「奇遇だねぇ。私もラブコメ系!」と笑顔になる。

それからモジモジし始める。


「?」

「...わ、私ね。将来、小説家になるのが夢なの」

「ああ。そうなのか」

「で、えっとね。...ネット上に公開しているの。自分の作品」

「ジャンルは何なんだ?」

「ラブコメ!」

「...そうなんだな」


「やっと話せる人が現れた」

そういう感じで楽しげに話す明菜。

それから笑顔になる。

その八重歯のある顔が凄く可愛かった。

俺は椅子に腰掛けながら話を聞く。


「何で将来は小説家なんだ?」

「私、ライトノベル界を救いたいの」

「...?...それはどういう意味だ?」

「最近、ライトノベル界は...印刷費用の高騰とかの問題でなかなか難しいの。色々と。それで貢献したい」

「...お前煌めいているな」

「そうでしょ!」


明菜はそう言いながら満面の笑顔を浮かべる。

それから夢を語る。

俺はその顔を見ながら思っていた事を聞いた。

「他の姉妹とは仲が良いのか」と。

すると苦笑する明菜。


「良く無いね」

「...それは思春期の問題か?」

「そうだね。みんなバラバラだよ」

「...そうなんだな」

「そう。...だから決して良いとは言えない」


「想いがバラバラだね。昔はこんなんじゃなかったんだけど」と言う明菜。

それから悲しげな顔をする。

俺はその顔を見ながら「...そうなのか」と言う。


「そうそう。だから私、夢がもう一つあるの。欲張りだけど」

「...何だ」

「私、元の仲の良い3姉妹になりたい」

「...良い夢じゃないか」


俺は笑みを浮かべながら話を聞く。

するとベッドでぽよんぽよんしていた明菜は「でしょ?」と言う。

そうして納得していると「あれ?」と声がした。

それから明菜は何かを見つける。

それは...エロ同人誌だった。


「待て!明菜!!!!!」


俺は大慌てになる。

手を伸ばした明菜に掴みかかる。

すると押し倒してしまった。

明菜は目をパチクリしながら俺を見上げる。


「...ぁ」

「...!」


中学生。

だけど...大人びた身体をしている。

へそも見える。

そして顔がみるみる見つめると真っ赤になっていった明菜。

それから胸が無い筈なのに...大人びていた。


「すまん!!!!!」


俺はばっとそのまま起き上がり逃げる。

それから地面に崩れ落ちながら明菜を見る。

起き上がった明菜は「い、いいや。ゴメン。お兄ちゃん。私も悪いね」と苦笑する。

そして真っ赤になっている明菜はそのまま立ち上がる。

そうしてから「ちょ、ちょっと喉が渇いたから降りるね」と駆け出して行く。


「...」


心臓がバクバクした。

女の子を押し倒すとは何事か。

それも未成年。

そう思いながら俺はベッドを見る。

するとそこに見慣れない生徒手帳が落ちていた。


「明菜のか?」


そう思いながら持ち上げる。

すると写真がするりと落ちた。

それはいつ頃かの明菜が写っており更にそれ以外の人物の姿が破られた写真だった。


明菜以外は認識できない。

これは...何だ?

明菜が持っているとは不思議な写真だった。


「...」


見なかった事にするか。

そう思いながら俺は写真を生徒手帳に挟んだ。

それから(後で渡そう)と。

そう思いながら生徒手帳をポケットに入れた。

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